2012年01月17日

お知らせ

なかなか落ち着かず、勝手ながらしばらくお休みいたします。
誠に申し訳ございません…。
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2011年12月24日

海外の反応:日本人とヘアスタイル

皆様、メリークリスマス!でございます。
やってみたれば、できたので、初めての同日更新。
なせばなる。なさねばならぬなにごとも。



早速、前回の記事についたコメントです。


前回、貼り忘れたので。坊主頭の海兵隊っぽいゴツいキャラクターというのは、こんなかたがたです↓。

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■すごいヘア・スタイルって言った?これだろ↓。(『下妻物語』から。とにかく、見てくれ)。

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 ■↑人生で一番好きな映画!

 ■↑すげえ写真だ。あの映画大好きだが。あっちじゃこうなんだろうが、やりすぎだよな。

 ■↑DQN文化も、日本のクレイジーなものの1つだよな。……新宿(訳注:原宿)にポンパドールみたいな髪をした暴走族がいるんだが、あれは見るべき。……気が狂っとる。

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■オレなんかボサボサ頭だぜ。ヘアカットは年に2回だけ。6月と12月。シャンプーとコンディショナーは使うが、クシで梳かしたりはしないね。赤毛の巻き毛のまんま。手間要らずよ。

■この動画が、かなり関連性が高いと思うんだが、どうか↓。

アニメキャラは白人、それとも日本人?


(訳注:↑以前、ご紹介した動画ですが、未見のかたがいらっしゃればぜひ)。

 ■↑ありがとう。これは、ずっと僕が言おうとしていて、言葉にできなかったことそのものだ。

大学で、あるアート・プロジェクトをやったことがあるんだ(訳注:このかたは香港のかたのようです)。バカデカいダンボール紙のマスクを二つ用意して、1つには、アメリカ人が描くようなステロタイプなアジア人(出っ歯でつり目)。もう片方には、日本人が描くようなステロタイプなアメリカ人(ブロンド、青い目、デカい鼻)。それで、みんなに好きなようにかぶってもらったんだ。

そこでわかったのは、みんな(訳注:日本人が思い描くステロタイプな)白人顔のマスクを差別的だとはまったく思ってなかったってことね。ただの、普通の白人男のカリカチュアだろって感じで。興味深かったよ。

  ■↑このコメントをみんなに薦めたいんだが、どうすればいい?(訳注:このコメント欄には、推薦するという機能があります。)

   ■↑僕はもう「星付き」コメンテイターだから、不要だよ。

    ■↑なんという。このコメントに推薦が必要ないだなんて。このコメントはみんなに薦めるべきだよ!
動画も良かった。僕自身アジア人。非アジア人にこういうことを説明するには、この動画が一番手っ取り早いな。

■アジアって、…中国とかも、こんななの?

 ■↑(訳注:前述の香港のかたから)北東アジアの流行ってのは、日本と台湾から流れてくる傾向がある。っていうか、こんなことができる余裕があるのがそのへんだけなの。中国の大多数は貧しすぎて、こういうヘアスタイルを考える余裕なんてない。
東南アジアは、浸透しはじめてはいるけど、やっぱり貧困が問題なのは同じ。

オレの住んでる香港じゃ、イカれたヘアスタイルのやつがたくさんいるけどね。でも、奇抜なヘアカラーはあんまりいないな。

 ■↑アメリカが中国に借金してるってのに、中国はヘア・スタイルにかまける余裕もないって?

  ■↑あれは、興味深い共生関係ってやつなんだよ。米国の市場なしじゃ、中国の経済は破綻するんだから。

中国では、小銭をためてるのがビジネス・リーダーってやつ。少数ではあるけど伸びてきてる中産階級の人たちは、オレたちが当たり前のように手にしてる、いくばくかの金や消費者製品を使える能力をようやくもちはじめたところ。

中国はデカい国ではあるが、大部分はいまだに田舎なんだよ。どっちかっつうと、発展途上だし、極貧とみなしてもいいぐらい。

■実に面白い記事だった。僕なんか、女の子たちがライトニング(訳注:『FF XIII』)のヘア・スタイルみたいにしたがらないことのほうが不思議なんだが。あれは、カッコいいよなあ。

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 ■↑理由はだいたいわかるじゃん。あのヘアスタイルにするのが、どれだけ大変か。マレットっていやマレットだけど、片側のほうがもう片側より長いっていうさ。自分の長い髪を、このために片方切るとか怖すぎる。

 ■↑友達のガールフレンドがやってるよ。ヘアカット価格、350ドル。

■嫁が言うには、地方の秋田市でも5000軒ぐらいのヘア・サロンがあるって。秋田市の30万人の人たちそれぞれに贔屓のサロンがあると仮定すれば、そう法外な話じゃない気もするが。

……ただ、日本じゃ平均的にどのぐらいの頻度でみんなサロンに通うのかねえ?3ヶ月に1度とか?

ま、ちょっと大胆に、みんなが毎月ヘアサロンに通ってると仮定するとして、だ。それでも、各店舗に毎月60人だろ。
べらぼうな料金をふっかけたとしても、ビジネスが成り立つには程遠いように思うんだがなあ。
(今、僕は東京に住んでる。駅からアパートまでの徒歩5分の間に、9軒のヘアサロンがある。そのうち、8軒は、ベーシックなカットで5000円が最低価格(60ドルぐらい)。個性的なスタイルにしたり、カラリング、マッサージがつけば、2万円以内ってところ。)

 ■↑髪やスタイリングに熱心な人たちってのは、週に一度は普通に行くよ。男性の短髪でも、ちゃんと手入れの行き届いた状態に保つには、最低でも月に1度はカットにいかないとダメ。じゃないとボサボサになる。

でもって、かなり手の込んだスタイリングで、奇抜な色に染めてて、エクステなんかも使ってる場合は、これはもう維持するには時間も金もとんでもないことになる。カット、エクステ、ヘアダイで、ゆうに1000ドルのレンジ。

そんなことやってる人なんてほとんどいないように思うでしょ?ところが、驚くぐらいヘアに金と時間をかける人たちってのが存在するの。
たとえば、黒人女性。「これぞ」っていうヘア・スタイルにしようってなったら、月10万以上を使う人たちがなかにはいるんだよね。

髪型に対してアホのように金を使う文化や階級ってのがどれだけのものかを伝える記事はたくさんあるよ。
秋田市の5000軒ってのは誇張かもしれないにしても、あなたは一人当たりが使う金額を過小評価してるね。

私の女友達のだって、髪をスタイリングしてる子たちは、カットとスタイリングで楽に月100〜200ドル使ってる。そのうえ、ブリーチしてヘアカラー?金額は2倍だよ、それでもう。

  ■↑いいこと聞いた。僕の妻も確かに、贅沢なトリートメントにお金を払ってる。いっつもかわいいヘアスタイルしてるんだけど、料金までは知らなかった。

職場の若い子たちは、明るいオレンジ色に染めてるね(日本人ね)。ここで働きだして18ヶ月だけど、彼女の染めた髪が伸びてきて、根元の地色を垣間見たことなんてこと一度もないや。……キミの話を聞いて、これから彼女の髪をなにげなく見るなんてできなくなったよ。「これ1000ドル!」って思っちゃいそう…。

  ■↑秋田の例は特殊じゃないかな。数日前にテレビでレポートされてるのを見たけど(僕も東京住まい)、秋田の地元ではよくあることだとかで、ヘアといっしょに、メークアップしてもらって、ネイルもやってもらってたよ。毎週とか毎日行く女性もたくさんいるみたい。

■正直、『ファイナル ファンタジー』みたいなチャラ男より、坊主頭の男のほうが断然好き。シェマー・ムーアみたいな人とか、………もうお願いしたいわよ。

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 ■↑確かにね。……ブルース・ウィリスは、みんな大好きだもんな。

 ■↑結局、文化的好みの問題に行き着くんだと僕は考えてる。

西欧人の大多数は、控えめなルックスのほうが好きなんだと思う。坊主頭とか、クルーカット、かなり大人しめのヘアスタイルね。でさ、これに銃をもつイメージなの。デザインが、より現実的なアプローチなんだ。

かたや、日本は正反対な感じ。髪は、色もいろいろ、ちゃんとスタイリングされてる。で、これにデカい剣なのね。もしくは、銃でも顔がついてたり、ファンタジー・ベース。

こういうことが、それぞれの国のゲームで、キャラクターなり武器なりプロットなりに反映されてるわけだ。

もちろん、例外はあるけど、多数派の話をしたらこうなるんじゃないかな。

■今年は6回、髪の色変えたよ。黒から青、紫、また青にして、栗色、ブラウン、それからまた黒。こんな僕は、すべてがうまく運べば、来年は日本!ひょー!

■日本で『スカイリム』が売れてて、あのゲームのヘアスタイルの酷さを思うと、なんかほろ苦い気分になるなあ。

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ベセスダ(訳注:『スカイリム』の制作会社)よ、このコメントを読んでたら、もちょっとマシなヘアスタイルの修正パッチを出してくれないかな?

■19の頃から髪が薄くなってきてて、ヘコんでる。今23歳。たぶん数年後には頭頂部はマジでハゲる。そしたらもう、残りは剃るしかない。
ヒゲは腐るほどあるのに。
どうして、「奇抜なヒゲ」が流行ってくれないんだよ?

 ■↑キミの苦痛はよくわかる。ハゲていくことは、頭部の外観がゆっくりと損なわれるのと同じことだ。
今、30歳だが、髪ということでは30歳以上だ(情けないことに、僕の頭蓋骨は形が妙なんだ。坊主頭がうまいこといく人もいるが、僕は無理だ)。

ああ、僕も19歳のときは、もう薄かったんだよなあ…。

■ああ、この記事で、毎朝起きるたびに、奇想天外なアニメ並みの髪になってた時代を思い出した。アフロにしてマジでよかった…。

■『ファイナル ファンタジー』について、「アニメにありがちなヘアスタイル」だとかコメントを書くのは簡単なことだ。
でも、ゲームを見れば、あの世界らしいキャラクターだってことがわかるだろ。ヘアは、『FF』世界では大きな役割を果たしてるんだ。

僕は好きだ。日本のゲーム・キャラクターは衣装が手が込んでるけど、それにしたって、もし、いわゆる「リアル」なゲームに出てくるみたいなヘアスタイルだけの世界だったら、記憶に刻み込まれなかったと思う。

全般的に、日本的なスタイルがもっと好意的に見られる時代になってほしいもんだ。ゲームに個性を加えてくれるから。

やっぱ、ゲームだもの!ゲームが全部、オレたちが毎日暮らしてる現実をモデルにしたものだったら、楽しみがなくなっちゃうだろ?

■この記事なら、やっぱX JAPANに触れなきゃ。

xjapan.jpg

 ■↑すげえバンドで、すげえ髪だったよな。

 ■↑去年、トロントに来たとき見たよ。もーーーーーすごかった!!

 ■↑オレは、今年の9月チリに来たときに見た。……めっちゃ良かった。(訳注:チリでは、ファンに髪の毛をひきちぎられるほどの熱烈歓迎ぶりだったようです)。


↓X JAPAN、チリ・ライブ。盛り上がってますなあ。日本語でよく合唱できるなあ…。コメント欄でも、驚かれていました。
X JAPAN WORLD TOUR 2011 / Rusty Nail @ CHILE


■ゲーマーでアニメ好きの女の子が高校にいてさ。面白いヘア・スタイルしてるんだ。黒髪ロングなんだけど、頭頂部の後ろ側あたりをブリーチしてて、寝起きみたいにスタリングしてるんだ。
あれを見て以来、なんか風変わりなヘア・スタイルに興味が出ちゃってねえ。

■3ミリに刈った坊主頭とか、マジで大っ嫌い。現実世界で軍隊に入ってるってんなら坊主頭が最適だろうだろうけど、現実世界を味わうためにゲームやってんじゃないし。

あれって、坊主頭のほうがゲームで動かしやすいからっていう、ゲーム開発側の都合でしょ。

そんなわけで、ありがとう、日本。あなたのおかげで、ますますコスプレにハマりこんでってます。コスプレ中心の生活だよ。つまり、ウイッグをスタイリングする日々ってことね。

 ■↑同意。動かしやすいし、モデリングしやすいもんなあ、坊主頭って。『マスエフェクト2』のミランダの髪型とか見ろよ。バイオウェアは、なんの努力もしてないよな。ミランダ、頭に粘土の塊がくっついてんのかと思ったわ。

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■どんなヘア・スタイルをしてるかで、その人がどんな人なのか、いろいろわかる。そういう意味では、昨今のゲーム・キャラクターが坊主頭ばっかなのは面白い話だよ。いかに中身がなくて、つまらないかっていう象徴。

 ■↑ファンフィクションが存在するぐらいだから、坊主頭の兵士が大好きってやつも世間にはいるんだろ。

まあ、でも、架空の世界で1つの事実を語った例ではある。多くの軍事関係者ってのは(地域にもよるが)、きれいに刈り込んだ頭か、ちゃんと整えた髪形を要求される。ボディ・ピアスもタトゥーもダメ。

それに、男にとっては、丸刈りとか坊主にするのって楽だしなあ。「ハゲるから」って肉体的事情もあったりするし。

 ■↑いつも思ってたんだが、西欧人はいつも「ハゲ進行中」のやつが多いから、「フサフサをうらやましいと思いたくない。だから坊主で」ってのが理由じゃないの?

アジア人ならハゲ問題に大急ぎで取り組まなくていいってわけでもないんだろうけどさ……。

 ■↑ヘア・スタイルさえ気をつかえばいいって話でもない。今世代でお気に入りのキャラクターの中には、控えめなヘア・スタイルのだっている。でも、少なくとも、どんな人格なのかがちゃんと描かれてる↓(訳注:『龍が如く』)。

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ただ、なし崩し的に「坊主頭にしとけ」ってのは、キャラクターに人格を与える努力をほとんどしてないということだ。

この手のゲームの開発者は、台詞やストーリーでキャラクターを作ろうっていう努力もしない。キャラクターは魂のない人形同然。
そんなものを動かして、くだらない、意味のない、子どもじみた暴力的ファンタジーを経験するはめになるんだからさ。

■みんな、西欧のゲーム・デザインをいろいろ言うよな。「軍事もののシューティングだから」とか、「リアリズム」とかさ。

これって大きな理由として、人気ジャンルがシューティングで、そういうゲーム用に作られたキャラクターが一般に軍事関係者的立場にいるからでしょ。軍事関係者なんて普通、作戦遂行のために頭を剃ってるわけで。

かなり大雑把な一般論で言っちゃうけど、西欧のユーザーの大多数は、東洋の派手なゲーム・デザインより、この手の現実的なデザインのほうに魅力を感じるんだよ。

一方で、東洋のゲーム・デザインは、よりファンタジーを基盤にしてて、ヘアだけじゃなく、武器、防具、プロットですら、よりきらびやかだと思う。
重力に逆らうカラフルなスパイキー・ヘア、巨大な剣や銃剣…。こういうのって、東洋のゲーム・デザインに不可欠なものってだけじゃなくて、現代東洋文化の特徴のようなものだと思う。

とはいえ、こっちじゃ、街のいたるところに武器やらなんやらを見かけることはないかもしれないが、日本じゃ、いろんな色に染めたり、ざまさまな形にスタリングしたヘア・スタイルってのが珍しいもんじゃないんだよ。アニメとか、Gacktや初音ミクみたいなアイドル、そういう文化現象を反映してるんだ。

 ■↑良いとこついてる。

■日本に住んでた頃、アパートから駅までの間にヘア・サロンが5軒あった。徒歩15分の道のりなのに。

あの環境が恋しいよ。

■良い記事だった。西欧人は、髪型なんてさして真面目に考えてないと思うね。でも、日本社会では、これまでも今も、いつもヘアってのは大きな関心事なんだな。記事が言うように、起源はかなり古くまで辿れることなんだろう。

実際、黒澤明の『七人の侍』を見ると、階級や階級間の紛争を描くためのモティーフの1つとして髪型が使われてる。この重要性に気づいてないのなら、この映画の微妙なあやを見落としていることになる。

 ■↑侍が髷を剃り落とすシーンとか?(訳注:勘兵衛が髪を剃り、僧に化けて、人質に取られた子どもを救い出す場面)。

  ■↑その通り。あれが一番わかりやすい例だ。侍が自らのステータスである髷を落として、僧侶になりすます。これは概念的には、考えられないことなんだ。

もう1つは、娘が男になりすますところ。あそこでも、娘は髪を切るよね(訳注:村に侍たちがやってくることを知り、若い娘の身を案じた親が無理に髪を切らせる場面)。

 ■↑北米の人間からすると、十分に興味深い。少なくとも僕が知るかぎり、外見ってのは、みんなが気を使ってることじゃないもんな。それでお金をもらってるとか、人に見られてるとかなら、とにかくさ。少なくとも、男でそれはない。

カジュアルな格好と仕事ときの格好なんて、昼と夜ぐらい落差があるしね。同じ人を最初に食料品店で見て、その後、職場で見たらわかると思うよ。

日本でそういう(落差のある)場面に出くわしたことがないから、どうなのかわかんないけど。

■日本みたいに文化的な伝統が深すぎる場合、変わったヘア・スタイルを使うことで、(訳注:文化的に複雑な)キャラクターを完璧に掘り込む時間を節約できるんじゃないかな。
目につく風変わりな装飾で、ユーザーを楽に楽しませられるし。日本のゲームとかアニメの多くがそうだろ。

 ■↑単なる「風変わりな装飾」じゃないよ。髪は、どんな人格なのかもちゃんと定義してる。マンガやアニメの言語の一部なんだ。当たり前の話だが、さしたる理由もなく、変わったヘア・スタイルを取り入れているわけじゃないんだよ。

どんなアートもそうだが、そこには決まりごとがある。その決まりごとを飲み込めるかどうか。(奇抜なヘア・スタイルを取り入れる)一番大事な理由はそこにあるんだから。



>西欧人は、髪型なんてさして真面目に考えてない
……この場合、「西欧人」で一括りにされるのは、反発を感じる国のかたもいるんじゃないかなあ…と。フランスあたりのかたとか…。


↓パリのストリート・ファッション・スナップ。お洒落なかたを選んで撮っているのだろうとは思いますが、さすがでございます。(写真はこちらから。)

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posted by gyanko at 16:53 | Comment(151) | その他 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

海外記事:日本人とヘアスタイル

年末も差し迫ってまいりました。はや、クリスマス・イブでございます。

本日はこちらから。


ワイルドでワンダフルな、日本のヘアスタイルの世界

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まずは、日本のゲームを起動させてみてくれ。それでわかる。
僕の言葉を信じないなら、たとえば、発売されたばかりの『ファイナルファンタジーXIII-2』だ。そこにあるのは、そう、ヘアスタイル。

西欧のゲームだと、海兵隊のごとき坊主頭のゴツい連中が出てくるところだが、坊主頭がクールとはされない日本では、ワックスで整えられたロマンティックなヘアスタイルが出てくる。

日本人のヘアスタイルに対する気の使い方と細心さは、リアルでもバーチャルでも、度肝を抜かれる。
東京や大阪のような都市部におけるヘア・サロンの数といったら、これ以上の数を誇れるものは自販機かコンビにぐらいしか思いつかないほど。それほど、どこにでもある。

そのうえ、アニメやゲームに登場する、あのヘアスタイル。衣装と同じぐらい念入りな、あのヘアスタイルだ。日本は、ヘアに取り付かれている。スタイルにおいても、色合いにおいても。
だが、日本において、ヘアとは単なる「髪」ではない。

日本では、髪はいつも「単なる髪」ではなかった。
「昔の日本の人々にとって、女性の髪は命を伝えるものでした」と27歳になるスタイリスト、Akiは言う。「そのあたりから、日本人は髪を大事なものとして考え始めたようです」。

そこから考えれば、たとえば、2009年の『ベヨネッタ』のように、髪で出来たボディスーツを身にまとい、その髪が変幻自在にコミカルな巨大武器にもなるといった作品を、日本のゲーム・スタジオが生産するのは不思議な話ではないだろう。

この国のヘアの文化は、ただの美容ではない。ヘア・サロンとは、Chopsticks NYが指摘するように、日本のomotenashi(おもてなし)という概念を具現化した場所だ。つまり、単純に髪を切る場所という概念を超えているのだ。細部にまで気を配った、念入りなサービスをきちんと受けられる場所なのだ。

「(ヘアサロンの)トレーニングは長い時間がかかります。なので、途中でやめてしまうこともあるんです」とAkiは言う。
彼は、秋葉原のFuwatというヘアサロンで働いている。このヘア・サロンは、ライバル店に向けて皮肉たっぷりに「メイドがいない、秋葉原のヘア・サロン」というスローガンを掲げている店だ。
オタクのメッカで真っ当なヘア・サロンを開くことが狙いだったとAkiは言う。

日本では多くのことがそうだが、スタイリストになるためのトレーニングも決していいかげんなものではない。専門学校で2年学び、厳しい試験を経て、アシスタントとして5年働く。
シャンプーをし、ヘアカラーの方法を学び、マネキンで練習しながら、じっと機が熟すのを待つのだ。その後、やっとお客と向き合うことができる。

西欧では、日本の人々の圧倒的多数が普通は髪の色が暗く、髪を染めるのは西欧人のまねをしようとしているからというイメージがある。これは、実に気持ちの悪い短絡的発想だ。

この国は確かに、いつだって自国のものと海外からの影響を混ぜ合わせるのが得意だ。千年以上前も、中国のヘア・スタイルを取り込んでいた。

歴史を通じて、日本はいつも日本たらんとしてきた国だが、一方で、海外に目を向けたり、いいなと思ったものをつまみ食いすることにためらいもなかった。中国だろうと、韓国だろうと、アメリカだろうと、気に入ればつまみ食いだ。そして、つまみ食いされたものは、自国のスタイルに混ぜ合わされ、これまでとはちがう新しいものが創りだされる。

西欧的なヘア・スタイルが日本に取り込まれたのは、第二次世界大戦後の占領時代ではない。増え始めたのは、19世紀後半。日本が鎖国を解き、当時の権力者たちが西欧の髪型を誇らしげに取り入れ始めた時代のこと。

これが、1920年代になると、おしゃれな日本女性なら、パリのファッション・ショーの最新スタイルを伝えるファッション雑誌を読むようになっていた。
が、これにしても、さして新しいことではない。数世紀前から、ファッショナブルな日本人は、海外のファンションからヒントを得ていたのだから。要は、5世紀〜8世紀あたりの中国に影響を受けたスタイルだ。

歴史を通して、日本のヘア・スタイルは、海外の影響と自国の伝統のミックスだ。これこそが、究極に日本的なものを誕生させてきた源だ。

こんにちでさえ、日本は信じられないほど西欧化されていながら、実はまったく西欧ではない。日本の本質には、なんの変わりもないのだ。

西欧でもそうだが、髪型をあるスタイルにすることは、1つの主張だ。日本の若い女性たち、つまり女学生たちが髪をブリーチし、染め始めたのは、1990年代のことだった。
日本の多くの学校には厳しい校則があり、髪を染めることは、単に西欧的に見せたいというより、若い女性たちの社会に対する果敢な抵抗といったほうが近いものがあった。

この潮流が広がっていき、20世紀の終わりまでに、大人たちも髪を染め始めた。とはいえ、依然、ヘア・カラーに関する校則は厳しく、学生といえば黒髪ではあった。今でも、若い女性や男性たちは、高校を卒業するやいなや、地元のヘア・サロンに直行する人が多いぐらいだ。

人々がみな髪を染めるようになると、(社会への反抗という)もともとの動機づけは薄れていったのだろう。ヘア・カラーは、1つのトレンドとして成立するようになる。

(訳注:こうした流れの上にある以上、)ヘア・カラーを単純に「西欧化」とみなすのは正しくない。「アメリカ人男性のヒッピーが長髪にするのは、女性のように見せたいからだ」と言うのに等しい話になってしまう。

さて、ヘアにこだわるのは、なにも女性ばかりではない。重い兜をかぶるために頭髪を剃り、ちょん髷を結っていた侍もそうだ。

髪型は、日本の封建主義と密接に関わっていた。19世紀半ばから後半にかけて、ちょん髷は武士階級であることを明示するものだったが、日本が近代化すると政府は帯刀やちょん髷を禁止した。
例外は1つだけ。相撲の力士だけだった。が、力士もまた、引退すると断髪式で髷を切る。

ヘア・スタイルはまた、団結心を鼓舞するものでもある。現代でも、日本の高校野球の球児たちはみな丸刈りにし、自分たちがただのグループの1人ではなく、野球チームの一員であることを示す。

この10年ほどで、日本ではかつてなかったほど次々にヘア・サロンが出来てきている。Akiによると、「10年以上前、『シザーズリーグ』というテレビ番組があり、そこからヘア・スタイリストのスターというブームが生まれました。これが、ヘア・サロンの増加に結びついていったのです」。

つまり、この番組が、「ヘア・スタイリストになることが夢」という若い一世代を生み出したわけだ。
そして、ヘア・サロンの増加によって、客になるはずの人々は、ヘア・カットをする場所として多くの選択肢をもつこととなった。

昔も今も、(訳注:ゲームなどの制作側)アーティストがヘア・スタイルを作り出すという流れは、こうした状況を背景としている。
スクウェア・エニックスの野村哲也のようなデザイナーは、何にも影響を受けずに孤島で仕事をしているわけではないのだ。彼らは、他の人気キャラクターや従来の流行りだけなく、ちまたで人気のあるヘア・スタイルに応えて、キャラクターのヘア・スタイルを作り出しているのだ。

こうしたことから、日本のヘア・サロンでは、人気俳優が見せびらかすヘア・スタイルを頼まれることもありえる。
秋葉原のFuwatの客となると、ゲームにヒントを得たヘア・スタイルにしてくれと言われることも、別に驚くような話ではない。

Akiは、「ゲーム・キャラクターでは、『戦国BASARA』、『ペルソナ4』、『ファイナル ファンタジーVII』あたりが人気」と語りながらも、ゲーム・キャラクターと本物の人間では髪の生え方や重力の違いが大きいことも付け加える。

Fuwatのスタイリストたちがカットするのは、髪ばかりではない。コスプレイヤーたちが、きちんとそれらしく見えるウイッグをほしがるため、彼らはコスプレ用のウイッグもスタイリングする。
これは、Fuwatのスタッフたちがゲームやアニメを知っているうえに、彼ら自身がみなコスプレイヤーであるせいもある。

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ウイッグは、現実世界とファンタジーの間の溝を埋めてくれるものだ。「私の場合、コスプレはほぼRPGやファンタジー系ゲームのものなので、実際の自分の髪とはまったくちがうんです」と語るのは、コスプレサイト、Akasha-Chronikの犬本まおだ。

ウイッグは、犬本の『ファイナル ファンタジー』や『ドラゴンクエスト』のコスプレで重要な部分だ。ウイッグを選ぶときは、「呼吸する」ような(訳注:軽さと通気性に優れた)品質の良いものを選んでいるという。

日本のゲームやアニメのキャラクターのヘアは、黄色から緑、ピンクにジェット・ブラックとレンジが広い。髪の色は、現実世界との究極の断絶であり、ピンクやアクアの髪の色があるのと同じ次元で、ブロンドやブラウンの髪がある。ブロンドもピンクも、同じレベルのことなのだ。
「仕事柄、髪を染めることはできないんです」と犬本は言う。「でも、カラフルなゲーム・キャラクターの髪にしてみたいので」。

(訳注:日本人にとって)髪は、毛根から生えているだけの何かではない。女性の強さの象徴であり、男性の力の印であり、海外や国内の影響を反映する鏡でもあった。
「髪は、顔の形や、まなざしや、着る服と同様に、その人のアイデンティティを作っているものなんです」とAkiは言う。髪は自分がどんな人なのかを語る白紙の紙のようなものなのだ。
街を歩いていても、レストランや店に立ち寄ってみても、まだまだ多くのヘア・スタイルがあるのはそれが理由だ。それはもう、インスピレーションをかきたてられるほどに。

髪は日本の人々にとって、自分を表現するものであると同時に、自分がどんなふうになりたいと思っているかをも表現するものだ。
日本では、髪はただの髪ではないのだ。これまでもそうではなかったし、これからもきっと。●



この記事についたコメントは、明日か明後日に。



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