2009年08月29日

外国人による外国人のための「日本のゲーム業界で働く方法」 その2

昨日から引き続き、参りたいと思います。では、早速。


言語も多様化しているなら、制作や娯楽も多様化している。ウェールズ生まれのDewi Tannerは、七音社(『パラッパラッパー』や『ウンジャマ・ラミー』の松浦雅也の制作会社)の急速な国際化をなんとかするために助っ人として2007年にここへ着いた。『Musika』(訳注:iPod用ゲーム)と『メジャマジ・マーチ』を海外の発売元を通じて、滞りなくリリースさせた後、Tannerは、七音社でゲーム開発のディレクターの職を引き受けた。そこで、彼はゲーム開発のすべての面を監督している。コンセプトの原案作りから、資金調達、管理、宣伝まで、すべてだ。

彼の助言はこれだ。

パラッパラッパー パラッパラッパー2 PlayStation 2 the Best ウンジャマ・ラミー メジャマジ・マーチ


期待しすぎるな。現実的になれ。

最近、日本の会社は多くの社員をリストラしているってのに、キミを雇うだ?

キミが、社員候補としてアピールできるもののリストを作ってみてくれ。それと、見栄えのしない部分は何なのかも意識してみてくれ。グローバリゼイションや海外売上の活性化に焦点を合わせるような美辞麗句を煽る会社は多いけれど、それが日本での外国人の雇用を増やす証拠などほとんどない。多くの人事担当者にとって、外国人からの履歴書など厄介事と同義語だ。キミがそうした厄介事を減らしてくれるなら、そのほうが良いに決まってる。

古典的な、この厄介事の例をあげようか。

「キミは日本にいるわけではない。それで、キミは彼らにキミのビザの申請を手伝ってくれと頼む」。
キミが経験者で、スキルがあり、かつまた日本語が話せる開発者でない限り、キミのビザ取得を手伝ってくれる日本のゲーム制作会社があるなどと考えることすら、やめてもらいたい。それと、旅行ビザで就職活動に来るのもやめてくれ。教師ビザならまだましだろうね。英会話学校が喜んでビザをほどこしてくれるだろうから。
キミが日本に定住しているなら、それならここで周りを見渡そうか。住んでる場所が東京の下町に近ければ近いほど良い!

「キミは日本語がほとんどか、まったく話せない。流暢に話せるようになる予定ではあるけれども」。
ゲーム業界は、多くの金がかかったプロの世界だ。堪能な英語を話せる日本人はほとんどいないし、学ぶ気はない。

この2つの要素を考え合わせれば、ここに大きな意思疎通の危機があるのがわかるはずだ。信じてくれ。少なくとも、現状を90%は理解していなければ、この危機は起こるんだ。

周りがすべて日本という環境の中で2年は働いた経験があることが理想。これがなければ、日本語検定のレベル2の認定。それにくわえて、多少日本を旅行をした経験があれば助けになる。

プロのように応募すること。

履歴書を英文のメールに添付して送っても(それが翻訳されたものであっても)、おそらくキミは無視されるだろう。簡潔な履歴書、標準形式の雇用履歴(これにはテンプレートがある)、それに、きちんとした敬語のメールがあればこれは必ず役立つ。

謙虚で、大人で、学ぶことに前向きであること。

日本で就職活動をすることは、実際に日本で働くことと同じぐらいに、長々と続くし、フラストレーションがたまる。日本のビジネス文化と西欧のビジネス文化は、いろいろな場所で不協和音を奏でている。キミが日本を「現代化」したいとどれほど思っていようとも、物事はここでだってそうそうすぐには変わりゃしない。だから、ほとんどの場合、キミは笑って耐えるよりなくなるだろう。仕事に情熱を失うことなく、口を閉じるときを知ることだ。忍耐、尊敬、そうして不平を言わないこと。これは、情熱や、諦めないこと、そうして個人主義といった西欧のビジネス的美徳よりもっと価値があることなんだ。こうした対照的なスタイルを扱える内部バッファを頭の中に作れれば、将来、日本の会社と取引するときに必ず役に立つはずだ。キミが、(訳注:上記の、定住やビザ、日本語能力に加えて)すでにこういう外交的スキルをもっているなら、なお良いね。

老練なスナイパーのように応募書類をターゲットにしろ。

ここまでやったらあとは、ぜひ、ゲーム会社のサイトを見て、キミのスキルに合ってると思われる職務に応募してみてくれ。中には、はっきりと英語が流暢であることを採用条件にしている会社があるはずだ。履歴書を微調整して、その職務にいかに自分がふさわしいかをアピールするメールを添える。それに、キミを採用したくなるような役立つことを書くんだ(日本在住であること、労働ビザをもっていること、日本語が話せることなど)。それから、キミが会社をリスペクトしていることもね。小さい会社なら、たとえ募集広告を出していなくても、怖がらずに直接、応募すること。彼らには、大きい会社より断然、リスクを冒す心意気があるってわかるはずだよ。大会社は、しばしば外人スタッフを海外支社から引っ張ってくるぐらいだからね。

何を知ってるかじゃない、誰を知ってるか、だ。

個人的な推薦があれば、ここでは大変役に立つ。GDC(訳注:ゲームデベロッパーズカンファレンス。ゲーム開発者が集まる米国の大規模なイベント)で日本人の開発者に会って、連絡を取り合う努力をしてみよう。彼らの会議や講演が終わったら、自己紹介するんだ。名刺を交換した後、2、3日したら、フォローする簡単なメールを送ろう。ゲーム業界内の誰かを知っていれば、事は大幅に楽に進むものだ。



次回が長くなりそうなので、本日はここまでで。

こちらのかたは昨日のかたとは逆の立場で、海外からの応募の窓口として苦労なされているのかもしれません。とはいえ、最初は厳しい言葉を連ねつつ、最後には非常に丁寧な日本就職ガイドになっているあたり、良い方なんだろうなあと想像してみたりいたしました。

この特集、あと、お二人分のアドバイスが控えています。
お一人はカプコンからプラチナ・ゲームズに移ったJean Pierre Kellams(予測ですが、おそらくCLOVERスタジオがカプコンに閉鎖された際、独立された主要スタッフとともに移籍されたのではないでしょうか。このあたりの事情はこちらのエントリで)。もうひとかたは、米国SCE、日本SCEを経て、キュー・ゲームズ(今年初めて東京ゲームショウに出展。オンライン配信ゲーム『PixelJunk モンスターズ』でIGNのベスト・プレイステーション・ストア・ゲーム賞を受賞)を設立されたDylan Cuthbert。

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↓プラチナ・ゲームズの今年のリリース作品。と、PS版とWii版(10/15発売)の『大神』。『FF XIII』の前に『ベヨネッタ』(10.29発売)でPS3を買おうかなあと思っております。『ベヨネッタ』もWii版『大神』も、発売になったら海外記事をご紹介いたす予定。

   
posted by gyanko at 21:00 | Comment(8) | TrackBack(0) | ゲーム | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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