2010年01月12日

海外で高評価、Xbox360版『ベヨネッタ』の海外レビュー

1月5日に北米、8日に欧州で発売されたばかりの『ベヨネッタ』。
本日は、レビュー記事です。


すでにあちこちで伝えられてる通り、海外ゲームサイトはどこも、『ベヨネッタ』にかなりの高得点(Xbox360版)を出しています。
年が明けたとはいえ、鬼が笑うぐらいにまだ気が早い話ではございますが、2010年のゲーム・アワード候補に名を連ねるのは間違いないだろうなあという印象。

ひょっとすると、今年は、『ベヨネッタ』(日本のゲーム+Xbox360)vs.『ゴッド・オブ・ウォー』(洋ゲー+PS3)という面白い展開も、どこぞの海外ゲームサイトで見れるかもわかりません。

IGN:9.5/10.0
IGN UK:9.6/10.0
1UP:A/A+
GAMESPOT:9.0/10.0
Game Trailers:9.0/10.0
EDGE:10.0/10.0

(その他のゲームサイトのスコアはこちらで)。

参考までに、『ベヨネッタの』PS3版は、ロード時間やグラフィックなどの、移植の際の不手際が響いて、点数が落ちているサイトが少なくありません。これはもう致し方ございませんなあ…。
IGN:8.2/10.0
1UP:A-/A+
GAMESPOT:8.0/10.0

(その他のゲームサイトのスコアはこちらで)。


一方で、一般ゲーマーの評価は、レビュー掲載直後から相当に荒れました。
ゲームサイトのスコアを集計しているGameStatsでは、プレスのスコア平均が9.2に対して、ユーザースコア平均が7.5。
Xbox360版とPS3版の同時発売(しかも、一方は話題の劣化版)ということもあってか、発売前から『ベヨネッタ』の記事は荒れ気味ではあったのですが、IGNのユーザーレビューなどは10点満点がある一方で、0.1などというありえないスコアも続出

理由もなくXbox360版を謗るレビューから、天使型モンスターを殺すという設定を「まともな人間がやるゲームではない」と断じるもの、6時間でクリアできるつまらないゲームという、とても実際にプレイしているとは思えないレビューまで、もう「ひょー…」としか言いようがございませんでした。

現在はだいぶ落ち着きを取り戻してきて、一時、6点台だったIGNユーザースコア平均もやっと7点台に盛り返してきたところ。時間が立てば、肯定的レビューにしろ、否定的レビューにしろ、もっと冷静なものが出てくるだろうとは思いますが、…いや、一騒動ではございました。


そんなわけで、またしても前置きが長くなりました。『ベヨネッタ』のレビューです。


『ベヨネッタ』、レビュー
地獄の悪魔がキミの遊び相手だ。…遊びまくろう。


『ベヨネッタ』は、これまで僕がプレイした中で最高のアクション・ゲームの1本だ。

アクション・ゲームと言うとき、僕が指すのはもちろん、『デビルメイクライ』や『ゴッド・オブ・ウォー』、『NINJA GAIDEN』といったゲームのことだ。(明らかな違いはあるとはいえ)こうしたゲームが似ているのは、ほとんどのゲーマーが同意するところだと思う。そういう意味では、僕が、この手のゲームと比べた上で、『ベヨネッタ』が僕のお気に入りなのだと言っても、大丈夫だろう。

プラチナ・ゲームズのチーム・リトル・エンジェルス(訳注:『ベヨネッタ』制作チーム)が送り込んできた、このド派手なゲームは、卓越した最高の戦闘システムの1つを運んできてくれただけでなく、Xbox360ユーザーに、その戦闘システムをエキセントリックで超スタイリッシュな演出で経験させてくれる。

ディレクター、神谷英樹は、これまでも『デビルメイクライ』、『大神』、『ビューティフル ジョー』といった伝説的ゲームを制作してきたが、彼の素晴らしい仕事ぶりに関しては賞賛されてしかるべきだろう。神谷と彼のチームはまたしても、アクション・ゲームの傑作を作り上げたのだ。

デビルメイクライ Play Station2 the Best 大神 PlayStation 2 the Best Viewtiful Joe

『ベヨネッタ』の核となっているのは、伝統的な光と闇の均衡に関する話だ。昔、ルーメンの賢者とアンブラの魔女という、対抗する2つの勢力の間で光と闇は均衡を保っていた。ルーメンは、天界の神と協調し、光の力を操る。一方、アンブラは、魔界の悪魔から力を借り、闇を監視する。双方の勢力はお互いに深く敬意を抱きあっていたが、悲劇が起こり、2つの勢力は凄惨な戦いへとなだれこんでしまう。残ったのは、アンブラの魔女、ベヨネッタ、ただ一人だった。

この背景の最も素晴らしいものの1つは、2つの勢力の描かれ方だ。アンブラの魔女は、必ずしも邪悪というわけではなく、宇宙の均衡の重要な部分ですらある。もちろん、ベヨネッタが、真実の前に立ちふさがる天使の軍団を殺すのがゲームの中心ではあるのだが、僕はプレイしていて、これを邪まな行為だとも、悪魔的だともまったく感じなかった。天使との戦いは単純に、ベヨネッタの目的でしかない。卓抜な技術で目的を果たしているだけなのだ。

ベヨネッタは、僕がゲームで出会った中で最もクールな女性キャラクターの一人でもある。ほぼ毎度、彼女のセクシーさは強調されるし(ステロタイプなヒロイン像だと思い込むかもしれないが)、ものすごくパワフルで、冷静で自信にあふれている。僕にとっては、ベヨネッタ自身が、ゲームをプレイする理由になりえた。ただもう、見ているだけでめちゃめちゃ楽しい。

当然、物語のすべてがグレートというわけではない。プロットはごちゃごちゃしていて、登場人物の動機と過去の出来事のつながりがはっきりと説明されていない部分もある。クリアしてしまえば、腑に落ちる話だとはいえ、『マス エフェクト』や『アンチャーテッド』のように巧みに物語られてはいない。

とはいえ、だ。物語だけを『ベヨネッタ』を買う理由にすべきではない(『NINJA GAIDEN』だってそうだ)。これはアクション・ゲームだ。目的はアクションだ。戦闘システムはかなりわかりやすいが、その深さといったら、ちょっと想像できないほどだ。ボタンは、パンチ、キック、ハンドガンの銃撃に使われる(装備している武器が何であっても)。他に重要になるのは、Rボタン。これでベヨネッタに攻撃を避けさせるのだが、『ベヨネッタ』の戦闘システムを覚えるにあたって、ほぼ間違いなく、プレイヤーが必ず覚えねばならない最も大事なテクニックだ。

攻撃を避ける際には、タイミングが鍵になる。攻撃が当たる直前にRボタンを押せば、ベヨネッタはスロウモーションのモードに入る。ウイッチタイムが発動するのだ。敵がのろのろと動く中、ベヨネッタは信じられないスピードで動き回れる。ウイッチタイムの実装は素晴らしい。戦闘場面を変える特殊効果というだけでなく、ここでプレイヤーは一息つけるし、体勢を立て直し、タフな敵に、待ちに待った数撃を食らわしてやれるのだから。



↓両手足の拳銃。足は、ヒールが銃口になっております。

bayonetta.jpg


攻撃面でも、ベヨネッタはスバ抜けている。この美貌の魔女は、手足両方に武器を装備できる。おかげで、戦闘システムにとても独創的なテイストが生まれている。ゲーム序盤では、セットできるのは4丁のピストル、スカボロウ フェアだ。この武器は、両手両足に1丁ずつ使える。
ゲームが進むにつれ、武器は増えていく。妖刀 修羅刃、ドゥルガ、オデット(スケート靴だ。マジで)などなど。それぞれの武器は組み合わせ次第で、新しいコンボが出るようになる。これには本当に驚嘆させられるよ。スケート靴でスケートしながら、きらめく刀を装備するなんて、出来すぎてる。

コンボの膨大な種類には、あるいはびびってしまう人もいるかもしれない。でも、幸いなことに、ほとんどのコンボは入力が似ている。たとえば、プレイヤーが思いつく、ほぼすべての武器の組み合わせで、パンチ+キック+パンチの連続技を打てる。新しい武器になっても、スキルが引き継げるのだ。これは素晴らしい。
それと、攻撃は1つのボタンを押すだけでもできないことはないし、うまく敵の攻撃を避けたり、ハイスコアをねらってコンボを繋げれば、攻撃スキルの要素が生きてくる。

もちろん、戦闘は、攻撃をよけたり、コンボを出したりするだけではない。もっとたくさんある。多くの敵と戦う場面では、魔力ゲージがいっぱいになると、パンチとキックを同時に押すことで、トーチャ・アタックを発動できる。通常は、敵の天使の種類によってトーチャのタイプは異なり、与えるダメージ量は膨大だ。たとえば、ギロチンや巨大な車輪といった残酷な器具が呼び出されて、哀れな天使型モンスターを粉砕する。これは、通常の、スキルを基とした、時間制約のある戦闘に素晴らしい物理要素を加えてくれている。プレイヤーは、ボタンを連打して、攻撃をパワーアップさせ、お金もより多く稼ぐことができるわけだ。。


↓ギロチン・トーチャ。

torture.jpg

お金稼ぎは、ミッションを何度も何度も繰り返す、最高の理由になる。『ベヨネッタ』には買うものがたくさんあるのだ。ロダンは、残酷で悪魔的な武器の商人であり、同時にバーテンダー(これも、マジで)として、薄汚れたサロン、ゲイツ・オブ・ヘルを経営している男だ。ベヨネッタのアイテムと武器の主要な供給先である。
ここで、プレイヤーは、戦闘中に使う回復用ロリポップや、ベヨネッタの能力を倍増させるアイテムを購入する。また、通常のコンボ以外のテクニックを買うこともできる。僕のお気に入りの「ブレイクダンス」は、誘惑ポーズにカメラのシャッター音がつく。古典的だね。

ボス戦でも、ベヨネッタはちゃんと見せてくる。これが本当にかなり楽しい。ベヨネッタが立ち向かうのは、自分と同サイズのパワフルな敵ばかりでなく、天界の使者であり、聖なる意志の最も力強い現れである四元徳(訳注:プラトンが説く4つの徳、知恵、勇気、節制、正義)とも大接戦を演じる。
戦闘は、最高の荒唐無稽さであるばかりでなく、クライマックスは、ベヨネッタのファンタスティックな最後の決め技だ。魔界から悪魔を召喚して戦いにケリをつけるのだ。これはクライマックス・アタックといい、ザコ戦で使うトーチャ・アタックと似ているが、もっとスケールが壮大だ。


↓四元徳の一人、フォルティトゥード。これは怖かったです…。

fortitudo.jpg

『ベヨネッタ』は、最後のシーンだけでも、値段の価値がある。これは、特筆するべきことだ。ラスボス戦は真に、非凡で、どうして自分がゲームを愛しているのかということを思い出させてくれるほどの驚愕の瞬間でもあった。もし、クレジットロールが流れるまでに、キミがこのゲームの大ファンにならないとしたら、キミがなにか間違っている。

そうは言うものの、『ベヨネッタ』に問題があることも認めなきゃならないだろう。前に言ったように、ストーリーは、昨今のゲームを見渡して、最高に歯切れが良いものとはいえない。が、それでもなお、『ベヨネッタ』の世界は経験する価値がある。
もっと解決が難しい問題点としては、あたりを探索しているときに起こる、スクリーンのティアリング。それから、激しい連続アクションで発生する処理落ちだろう。これが『ベヨネッタ』のゲーム体験を台無しにすることはないだろうが、多少ウザったくはある。

また、『ベヨネッタ』には、このゲームの精巧な美学に反しているも思える、違和感のある部分が数箇所ある。特に指摘したいのは、映写スライド風のムービー。『ベヨネッタ』のチャプターの多くで頻繁に出てくるのだが、完全に動くムービーではなく、キャラクターの静止画でイベントを見せてくるのだ。動きを見せる意味で、他の静止画も使いながら、カメラは動きつづけるのだけれど。
JRPGで台詞シーンに使われる、時代がかった「紙芝居ムービー」よりはぜんぜんマシとはいいながら、僕は『ベヨネッタ』のすべてのイベントを完全なムービーで見たかった。

前述のビジュアルの欠点と、この静止画ムービーを考えると、プラチナ・ゲームズは、もう1本の(プラチナ・ゲームズの)驚嘆すべきゲーム(訳注:たぶん、海外で高評価されている『Mad World』(日本未発売)のこと)で白状している以上に、予算がきついのではないかという疑問がわいてくる。あきらかに、この会社は、その提携相手(訳注:セガ)ほど潤沢な資金をもっていなかったのだ。それを考えると、『ベヨネッタ』の秀逸なクォリティがさらに感動的に思えてしまう。

こうした問題を、このゲームをプレイしない理由には間違ってもしないでくれ。『ベヨネッタ』は絶対的に「購入必須」のゲームだ。こんな些細な欠点が、『ベヨネッタ』が提供してくれる膨大な量の楽しみを帳消しにすることはないと、僕が保証する。

最後に。

『ベヨネッタ』は『デビルメイクライ』との類似点が少なからずあるが、このゲームは、それでもなお「プレイ必須」だと僕は心の底から信じる。が、技術面では、Xbox360版のほうがPS3版よりはるかに優れている。Xbox360も所有しているPS3のユーザーなら、PS3版は絶対に避けること。Xbox360版とPS3版の相違についての詳細は、僕の『ベヨネッタ』PS3移植のがっかり点の記事を読んでくれ。

全体として、『ベヨネッタ』はゴージャスで、スタイリッシュで、楽しくて、味の良いユニークなゲームだ。僕の一番のお気に入りゲームだと言うのは、控えめな言い方だ。
神谷とプラチナ・ゲームズの彼のチームは、この信じられない仕事に関して、拍手喝采を受ける価値がある(それと、何度かの心の抱擁も)。『ベヨネッタ』は、ゲームってものがどれほどクールなものになりえるかってことをキミに思い出させてくれるだろう。●



私はPS3版をクリアしましたが、Xbox360をもっていたら、Xbox360版をもちろん買ったと思います。PS3版の一番の問題はロード時間ですが、パッチが出るという噂はどうなったのかなあ…。

レビュー中でプラチナ・ゲームズの予算に言及していましたが、……プラチナ・ゲームズは、『大神』を最後に、売上不振から親会社のカプコンに閉鎖されたCLOVERスタジオの主要スタッフが設立した会社です。国内での据え置きゲーム第一作が『ベヨネッタ』ですので、シリーズ化できるものが出てくるなり、ある程度の売上が見込めるまでは、予算枠はタイトなのじゃないかなあと想像します。

『ベヨネッタ』は、現在、国内売上約27万本。
わたくしは、個人的にプラチナ・ゲームズをずっと応援しているので、いつかプラチナ・ゲームズのミリオンヒットの記事を読んでみたいなあと思っております。



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posted by gyanko at 19:00 | Comment(21) | TrackBack(0) | ゲーム | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする