2010年01月29日

米国ウィキはそれをどう説明してるのか - 2ちゃんねる その1-

第3回米国Wikipedia特集でございます。

今日のお題は、おそらく日本のネットユーザーでここを一度も訪れたことがない人はもはやいないのでは、と思われる2ちゃんねる。今日と明日、来週月曜の全3回でお送りいたします。

では、早速。


2channnel
2ちゃんねる


2ちゃんねる(2ちゃんねる、ni channeru、略して2ch)は、世界最大と考えられている、日本のインターネット・フォーラム。1999年創設、テレビやラジオ、雑誌といった伝統的なマスメディアに比べて、日本社会に非常に大きな影響力をもつようになってきている。2008年時点で、創設者、西村博之は、年間1億円以上の収益を2ちゃんねるから生み出させているが、法律上は、シンガポールのTelok Ayerに本社を置くPACKET MONSTER INCが運営している。


概要

2chは、1999年5月30日、アーカンソー州コンウェイにあるセントラル・アーカンソー大学のキャンパス内大学寮で、簡便に「ひろゆき」として知られる西村博之によって創設された。

サイトの規模と運営方法は、独創的である。「ニュース」、「コンピュータ」から「料理」まで、600以上のボード(日本語で「板」)が活動中で、日本で最も包括的なフォーラムになっている。各板には、通常、「東京の次の選挙:4投票目」、「P4対アスロン:オーバーヒート51回目」、「ピザに最適な小麦:3切れ目」といった、600のスレッドがある。スレッドは1000までのコメントを書くことができ、コメントは無記名である。

2ちゃんねるでは革新的なフォーラム・ソフトウェアが使われており、これは1980年台の掲示板システムか、vBulletinのような1990年代のフォーラム・ソフトウェアから発展させたものだろう。最も重要なことは、こうしたもののほとんどすべてが、匿名の人々によってボランティアで行われていることだ。

スレッドに投稿すると、age(上げること。日本語の「ageru」から)、またはsage(上げない。日本語の「sageru」から)によってスレッドの順位が上下する。sageの投稿では順位は変わらないが、スレッドが嫌われている場合や、現在のスレッド順位をかき回したくない場合、順位が上のスレッドに見られるレスの洪水や釣りを避けたい場合などに使うことができる。

各スレッドの最大コメント数は1000までに制限されている。そのため、議論を続けるには、次のスレッドを立てなければならない(匿名のユーザー、議論中に自ら立候補する)。このおかげで、古いスレッドが根腐れすることもなく、活気のある話題が常に鮮度を保てる。また、こうした巨大フォーラムの最大の関心事である、回線容量の節約にもなっている。古いスレッドは、有料閲覧のアーカイブに移動され、その後、削除される。


文化

2chの最も特徴的な機能の1つは、無記名投稿の完璧な自由度だ。これは、ほとんどの英語のインターネット・フォーラムが、登録とともに通常はメールによる確認を行い、より踏み込んだ身分証明を要求している現況から大きくかけ離れている。
2chでもコメントに名前欄は設けられているが、使われることはほとんどない。名前欄に名前を入れることは、目的もなく、なんとなくそうする場合以外は、フォーラムを理解していない新参者か、管理人か、ネットで有名人になりたい者ということになる。
無記名の投稿を許可していることについて、2chの創設者はJapan Media Reviewとのインタビューでこう答えている。


Q:ユーザー名すら必要ない、完全な匿名性で行こうと決めたのはなぜですか?

A:理由は、リスクを負わずにニュースを配信することが、僕たちにとってとても重要なことだからです。2ちゃんねるには、多くの暴露ネタや機密ニュースが集まります。そんなニュースを、あえてリスクを冒して投稿する人はほとんどいません。
さらに、お互いが何者かを知らないからこそ、忌憚のない議論ができるのです。
ユーザーにIDをつけると、議論は、批判という言葉のゲームになりがちです。一方で、匿名システムのもとでは、たとえ自分の意見や情報が批判されたとしても、誰にむかって怒ればいいのかもわからないというわけです。

また、ユーザーIDをつけると、サイトに長くいる人が権威をふるいがちになるというのもあります。これは、そうした古い人々に賛同できない人にとっては、面倒なことです。完全な匿名システムだからこそ、本当につまらないときは「つまんない」と口に出せる。すべての情報が平等に扱われ、きちんとした議論だけが進んでいくことになります。


とはいえ、公開プロキシを使った投稿は、2ちゃんねるではアクセス禁止である。


言論の自由と誹謗中傷

唯一、許されていない投稿は、荒らし行為(たとえば、スパムや大量のレス)と日本の法律で名誉毀損に当たるかもしれない投稿である。こうしたものが結果、2ちゃんねるへの法的措置になる可能性もある。また、ネオ麦茶の事件が原因で、犯罪を予告する投稿は警察へ通報されることになっている。

このような匿名コメントが引き起こした事件は過去、2ちゃんねるでは枚挙に暇がない。公的人物、機関、マイノリティ、特殊な人種への名誉毀損、憎悪発言、中傷などなど。2ちゃんねるには、日本の法律で非合法とされる投稿を削除するという規則はあるが、サイトの規模が迅速な対応を難しいものにしている。

あるケースでは、中傷をなかなか削除しなかったとして、2ちゃんねるを非難する人たちもいる。名誉毀損や中傷が原因で、西村は、個人や団体から数多くの民事裁判を起こされている。これまでのところ、西村は、初期の2、3の裁判に姿を見せただけで、すべての出頭命令を無視している。彼がすべての民事で負けているのは、ほとんどが不戦が理由である。

西村は、日本国内に多額の資産を保有していないし、すべての財政利益が差し押さえの対象となっている(裁判所が生活に必要と認めたものは除いて)。ただ、2ちゃんねるの資産はすべて海外で保有されている。サーバはカリフォルニア、ドメインは米国の登録。そのうえ、西村は表向きには2ちゃんねるの所有者ではない。
民事裁判で、西村から金銭を回収できた勝利者は一人もいないのだ。

2007年1月、日本のある名誉毀損事件の裁判において、2ちゃんねるを所有する会社が破産し、この会社が差し押さえになるだろうと公表された。この申し立てを西村は、2ちゃんねるのスプラッシュ・ページで公然と嘲笑し、実際、2ちゃんねるの日本のISPが運営を終了しただけで、差し押さえにはならなかった。


右翼思想との親和性

2ちゃんねるが、「ネット右翼」(インターネット右翼)という国家主義者や愛国主義の支持者たちの大きな地盤となっていると指摘する日本のインターネットのニュース・メディアやソースがある(J-CAST NEWS(2009年))。2ちゃんねると血統的に繋がっている、人気のある動画共有サイト、ニコニコ動画が行った調査によれば、当時の、右翼的保守政権(訳注:麻生)、自由民主党の支持者は、政権崩壊前に新聞社が行った調査時より著しく多かった。

この数年間、日本の老舗新聞やメディアは、2ちゃんねるの名前を出すことを避けてきた。関連事件が起こった場合は、かわりに、間接的に「インターネットの匿名掲示板」と呼んできた。
人権活動家は、しばしば2ちゃんねるでは嫌悪や嘲笑の対象であり、「アンチ日本」(非愛国主義)、「韓国人」、「共産主義者」と、軽蔑的な意味合いで言われることもしょっちゅうだ。アメリカ生まれの人権活動家、Debito Arudouは、2ちゃんねるを、彼自身の名誉毀損裁判で「言論の自由の悪用の温床」と呼んでいる。


性的に露骨な内容、その表現

2ちゃんねるはまた、露骨な性表現や内容のアスキーアートでも知られている。多くの場合、憎悪的な発言の流れと絡んでいる。
このため、2ちゃんえるの広告の多くは、2ちゃんねる独特のリファラル・システムを使って、(訳注:間接的に飛ばす形で)商業的な性的サイトへアフィリエイト・リンクするようになっている。


参加

2ちゃんねるのユーザーたちは、United Devices Cancer Research Project(訳注:UDプロジェクト。パソコン使用時のCPU余剰処理能力を使用して、がんの進行に関係するタンパク質と、そのタンパク質の働きを妨げそうな分子の相性をパソコンによる計算で確かめて、薬の開発に役立てるプロジェクト)や地球外知的生命体探査なと、さまざまなネットを通じたコンピューター・プロジェクトに参加している。2ちゃんねるは、最大メンバー数のチームであるのはもちろん、結果とポイント合計ともに、UDプロジェクトのリーダーである。


英語版スピンオフ

4chan BBSは元は別サイトだったが、今は4chanに統合されている。フォーラム構成は2chとはわずかに違うとはいえ、匿名要素などは同じである。
多くの画像掲示板があり、希少な、匿名ディスカッション・ボードを提供している。


リファラル・システム

2ちゃんねるでは、フォーラムに投稿された外部サイトへのリンクはすべて、このリファラル・システムを使っている。あるリンクをクリックすると、まずime.nuドメインの広告だらけのページへ飛ばされる。実際のリンクがあるのはこのページなのだ。2ちゃんねるのビジターから収益を集めるのとは別に、広告の統計を確認できることや、2ちゃんねるへ戻るリンクがないことは、リンク先のウェブ・ページのオーナーたちには魅力的でもある。

2ちゃんねるのユーザーたちは、しばしば、URLのhttpの最初のhを抜いて、リンクをコピペすることで、リファラル・ページを避け、このシステムをショートカットしようとする。たとえばhttp://ja.wikipedia.org/なら、ttp://ja.wikipedia.org/というふうにである。



かなり突っ込んだところまではっきりと書いてあるなあと思いました。
良いか悪いかは別としても、これに限らず、日本の事件や人物に人種問題や精神疾患が関わっているときは、米国のWikipediaのほうがあからさま、といいますか、率直なことがあります。

最近では某殺人事件の記述に、日本では絶対に伝えないことが書かれてあり、驚きましたが、ずいぶん前、某有名クリエイターの項目にはっきりと障碍名が書かれてあったときも、これは日本だったら即刻削除ではなかろうか…と思ったりいたしました。


Debito Arudouさんには、あまり良い印象がありません。北海道の銭湯でのロシア人お断り問題を人種差別と言ったのはこのかただったと思うのですが。
ルールを無視して、酔っ払って大騒ぎする人だらけの銭湯に行きたいなどと誰も思いませんし、出入り禁止になるのは当然なのではないかと思うのでございますが、いかがなものでしょう。この人は、銭湯を楽しむ日本人たちの権利をどう考えてるんだろう?……と当時、思った記憶があります。



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posted by gyanko at 23:41 | Comment(75) | TrackBack(0) | その他 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする