2010年10月16日

海外の反応 - 日・アラブ首長国連邦合作マンガ、『ゴールド・リング』 -

本日は、日・UAE初コラボによるアラビア語マンガ単行本『ゴールド・リング(アラビア語タイトル『スワール・アッザハブ』)』でございます。

goldring.jpeg

UAEのページフリップ出版社カイス・セドキ社長による原作・脚本をもとに、セドキさんから依頼を受けた日本のマンガ家・姫川明さんが作画。制作を請け負った小学館スクウェア社が2006年に制作を開始して以来、約3年をかけて、出版に至りました。
2010年ザーイド・ビン=スルターン・アール=ナヒヤーン児童文学作品賞を受賞。

第1巻のストーリーは、ハヤブサ狩りの競技会にもぐりこんだ少年が、その妙技に感動→野生のハヤブサとの出会い、交流→鷹匠を目指すという成長譚のようです。
詳しくは、ドバイ千夜一夜さんで。

記事はこちらから。


日本のマンガのヒーローが、アラビア文化を救う闘いに参戦

goldring2.jpg

銃声がスタジアムにこだまする。ロボットの鳥が、鉤爪に金の指輪を引っ掛け、急降下する。それを熱く追う、ハヤブサたち。

15歳の少年、スルタンは、度胸試しにとスタジアムにもぐりこんでいたのだが、この光景を見て、思わず隠れ場所から身を乗り出させてしまう。

これが、マンガになったハイペースの成長譚、『ゴールド・リング』のでだしの場面だ(マンガは、日本の輸出品の中で最も世界に知られる1つとなった、超ドラマティックな表現スタイル)。

だが、マンガ文化をまねて作ったコミックとはいえ、『ゴールド・リング』の著者は、この目の大きな登場人物たちが、地球を半周した先にある、まったく日本とは異なるアラブ首長国連邦の文化を奨励してくれることを期待している。

「我々の娯楽の独自の形態、これを今、提示しなかったら、子どもたちにとても危険な信号を送ることになってしまうと思います」とカイス・セドキは言う。彼は元ITコンサルタントで、『ゴールドリング』の制作者だ。

アラブの伝統を奨励するために(訳注:日本の)マンガを使うのは、おそらく矛盾ではある。だが、セドキにとって、古典アラビア語で語られる国産ストーリーに子どもたちをひきつけるために、マンガは絶対に不可欠なものだ。

「私たちがこうしたものを製作しない限り、「クールなものがほしいんなら、(訳注:ここにはないから)他の場所を探しなさい」って言うのとほとんど同じ状態になってしまうんです」と彼はCNNに答えた。

「私は、子どもたちにあんな文化の中で育ってほしくない。我々には我々のコンテンツがある。クールだって思える、私たち独自のものがあるんです」。

中東地域は、反応は鈍いながらも、こうした独自のコミック・ブックをこれまでまったく作ってこなかったわけではない。一番、有名なのは、イスラム教を取り入れた『The 99』(訳注:イスラム教の変身ヒーロー99人が登場する漫画)だろう。制作したのは、クエートの心理学者だ。


『The 99』↓。
99.gif

とは言っても、『The 99』の場合、マーヴェルだとかDCコミックといった現代のアメリカのスーパーヒーロー・スタイルを採用している。セドキのほうは、伝統的なアラビア文字と物語を採用し、それをマンガという形式の中にぶち込んでいるのだ。セドキは、マンガ形式なら、子どもたちをより惹き付けられると言う。

「私自身、いつも日本文化に魅了されてきました。ポップカルチャーの部分だけではありません。日本人のあり方、つまり、労働倫理、芸術、宗教観、歴史にです」。

「マンガとアニメももちろん、それに入っています。アラブ首長国連邦の私の世代は、マンガやアニメで育ったんです。ですから、マンガの美意識に慣れてるだけでなく、マンガの中の非常に日本的な奇異な部分にも慣れているのです」。

日本のスタイルを忠実に取り込むために、セドキは、日本の有名なマンガ家2人にアプローチした。ペンネーム、姫川明で知られる2人組の女性マンガ家である。彼女たちは、『ゼルダの伝説』や『アストロボーイ・鉄腕アトム』といった古典作品で仕事をしてきた人たちだ。

「彼女たちは、このプロジェクトでとても重要な人たちです」とセドキ。「日本では、描き手は書き手でもあり、彼女たち自身にファンがついているんです」。

一方でセドキもまた、2010年ザーイド・ビン=スルターン・アール=ナヒヤーン児童文学作品賞を受賞し、自身のファンも作り出した。

「本の反応が凄いんです。常にメールがきます。「子どもが読まなきゃいけない本はあったけど、自分から進んで喜んで読める本は今までありませんでした」って。こんなの今までなかったんですよ。本当に子どもたちみんな興奮しています」。

「私は、Facebookやメールを通じて、子どもたちが自ら私と連絡が取れるようにしてあるんですよ。(訳注:子どもたちの反応を聞くのは)とっても心が温まります」。

第2巻は2011年早くに長編で出したいとセドキは言う(「手書きのハヤブサの羽根はきめ細かく、とても時間がかかる」という)。が、セドキはテレビ化や映画化にはあまり乗り気ではない。

「この本で私は古典的なアラビア語を使っていますし、古典的アラビア語が退屈で楽しくないという誤解と闘おうとしています。古典的アラビア語なんて、宿題でうんざりさせられることぐらいが関の山なんて意識と闘おうとしてるんです」。

「子どもたちが古典的なアラビア語にどこで触れ合うか。まず宿題です。子供たちが大嫌いな。それから、ニュースです。これも子どもたちにはつまらない。古典アラビア語が子どもたちと関われるチャンスがこれまであまりなかったんです。これを私は変えたい」。

アラビア語の専門家、Aleya Rouchdy博士は、悪くないアイディアだと言う。博士によれば、コミックの中に古典的形式を取り込むことは、子ども達の古典アラビア語の使用を促進するという意味では意味がある、と。

「今、非常に強い流れがあります。学校でのアラビア語の教え方に関する議論です。特に、私立の学校では、ほとんど外国語ばかりを教えています。そうすると、子どもたちは大人になったとき、アラビア語を格下に扱うようになってしまうんです」。

セドキは一方で、『ゴールド・リング』が財務上の目標金額に到達できるかどうかは、まだ見通しが立っていないと認めている。Rouchdy博士は、古典アラビア語を採用した商業的な価値を指摘している。つまり、中東で国境を超えられる唯一の言語だということだ。

「アラブ世界中に流通させようと思ったら、これが唯一の手段なんです」と。●



この記事についたコメントです↓。話題が逸れているものもございますが、数が少ないので、すべてお送りいたします。


■イスラムのオタクか、素晴らしい。アジア文化の力に栄光あれ。(+9)

■興味がある。読んでみたい。……英語に翻訳してくれないかなあ…。(+13)

■↑彼は、もうすぐ英語版を出せるよう作業中だよ。(+1)

■死ぬほどアニメとマンガが大好きなんだ。最近、くだらない作品が多いけど、まだまだ日本がクリエイティブなのがわかってうれしいよ。(+10)

■すっごく面白そう。(+3)

■日本はキリスト教の国でもなければ、ユダヤ教の国でもない。西欧でもない。保守的な社会の文化を紹介するには、日本が良いのかもしれないね。(+5)

■日本のアニメの魅力の1つに、ヒーローが特定の宗教に縛られないってことがある。それと、いろんな人種、いろんなテーマが融合されてること。ディズニーじゃこうはいかないよ。ディズニーはペンギンですら、目が青いとくる。(+7)

■↑ディズニーのキャラクターって、黒髪、黒い目が多いよ。

それから、日本のアニメがいろんな髪の色や目の色を採用するのは、キャラクターの違いを色によって際立たせるため。実際の日本人は、黒、青、ダークレッドの髪(訳注:なにか勘違いがあるようです)。それに黒か茶の目。自然な色だけだと、たくさんのキャラクターを表現しきるのが難しくなっちゃうんだ。(+2)

■マンガはもう中東にあるってば。70年代以降、マンガのキャラクターはすべて、アラビア語の名前に置き換えられてはいるけどね。このアラビア的テーマのマンガ制作に関して言えば、悪くない、悪くないよ。個人的には、アニメのほうがよかったけど、ブロンドや青い目のヒーローが出てこないからね。(+8)

■↑これは中東で制作されたんだよ。日本版の翻訳じゃないんだ。それから、アニメにはブロンドも青い目もたくさん出てくるって。アニメでは、そういうふうにしてキャラクターを描き分ける。(+1)

■↑アニメに青い目のブロンド・キャラクターが出てこない?こんなバカバカしい話、初めて聞いたわ。(+4)

■↑正しいだろ。アニメにはブロンドのビッチは出てこない。お前、アニメ見たことあるのか?(+6)

■絶対、このマンガの悪党は、アメリカ大統領を髣髴とさせる感じで描かれるんだろうね。(+13)

■オレの印象ってだけだけど。西欧のメディアのイスラム国家に対する態度を改善させようとしてる?いっつも西欧諸国は、テロ文化の前に降伏することになってしまうことに僕はイライラしてるんだ。オレたちは彼らを現代世界に導こうと教えてあげてるのに、やつらは、批判せずにはいられないようなことしか教えてくれない。(+16)

■↑テロ文化は、西欧のほうだろ。スペインは南米を侵略した。アフリカの人々を奴隷にしたり、南アジアで奴隷制を敷いたのは、西欧の奴隷制っていう価値観のタマモノだ。暗い地下室に引きこもってないで出て来いよ。そうすれば、たぶん、自分の本当の肌の色がお前にもわかるさ。(+7)

■↑地下室ひきこもりはお前のほうだ。無知だな。奴隷制度の根源として、西欧文化を非難する前に、歴史書を読んでみろ。(+13)

■↑まず、キミが書いていることはすべて数百年も前の話だ。ただ、今はもう存在しない文化に基づいて暮らしている人々は少しはいるだろうが。

1600〜 1700年代の英国の奴隷商人は西欧文化とは言えない。キミはそうしたいようだが。アメリカの奴隷商人たちはシステムを変え、奴隷制度をやめた。

それに。世界を見渡せば、アジア、アフリカ、南米、すべての場所で、それぞれの文化を蝕んで、レイシズムは侵食している。たとえば、中国人に韓国人をどう思うか聞いてみろ。性奴隷制度も、恥ずかしいことにいまだ、中東だとスーダン、エリトリア、アジアだとバングラディッシュ、カンボジアで横行している。

僕たちは西欧世界にいる。今日の西欧世界だ。400年前の西欧世界じゃない。常に申し訳ないと思ってきたし、自分たちの文化のどんな局面も自ら進んで変革してきた。数世紀にわたって犯した罪のために、他の国家の言いなりになってもきた。キミのような人たちの思うつぼになってね。

僕は1968年生まれだ。キミのような人たちや、メディアにうんざりしている。なぜ、自分自身を、自分の社会を憎めなんて言われなきゃならない?この国がおそらく、この2000年間で初めて奴隷制度を撤廃した国だっていうのに。他の大陸の国と比べたって、痛みをもって、ほとんどのレイシズムを撤廃しようとした国なのに。

もちろん、西欧文化圏の国から、キミは遠慮なく出て行ってくれていい。それで、キミの罪悪感がなだめられるなら。キミのスタンダードに合った国に引っ越せよ。世界には235カ国あって、西欧文化圏なんて25カ国程度だ。で、出て行くときは、キミがどの国を選ぶのか、教えてくれよな、興味があるから。(+11)

■90年代、オマーンに住んでたよ。アラビア語のテレビ番組で一番人気の1つが、日本のアニメだった。『Captain Majid』っていうんだ。日本では、『キャプテン翼』としてかなり人気があった。……だから、基本的には、別に目新しい話題じゃないんだよな。(+6)

■↑でも、今回は中東が自ら制作したんだぞ。(+1)

■誰か、ここのところのCNNがイスラム、アラブ、中東関連に記事を集中させているの気づいてるか?やりすぎだよ。おい、CNN、お前はなかなか信じないかもわからんが、ニュースを教えてやるよ。あのな、世界には、お前がみんなに伝えたり、教えたりできる文化や宗教が他にもある。

差別されてるのだって、イスラムだけじゃない。いまだに、文化や宗教が原因で、殺されたり、民族浄化されてる宗教があるんだ。お前の伝え方じゃ、世界で差別されてるのはイスラム教だけみたいじゃないか?お前がやってることは、極端に現実をゆがめてるってこと!イスラムのことを伝えたいなら、他の宗教や文化も伝えろ!(+22)

■オレはどうしようもない、文化的愛国主義者なんだけどさ、これは言わなきゃな。この著者が自身の文化を振興しようとがんばってるのに感動した。……オレ、コミック・オタクでもあるから。(+5)

■キュートなアイディアだと思う。他の文化もそうだけれど、アラブ文化も、自分たちの文化に子どもたちが楽しく触れ合える方法を持っていいよ。それだけの価値ある文化。
アラブ文化っていえば、漠然とした知識で、銃とかイスラム過激派組織だとかテロしか思い浮かばないようなアメリカ人が騒いでるのは無視しましょう。(+13)

■僕はフランス人で、アニメとマンガが大好き。今、ちょうど『BLEACH』と『NARUTO』、『CLAYMORE』の新刊を読み終わったとこ。

これは良い考えだよね。これなら、みんなアラブ文化を違った角度から見ることができるでしょ。特にアメリカ人。旅行なんかしないくせに、俺たちは世界中を知ってる気分だからなあ。(+42)

■↑海外旅行に米国民は、他の国より(ドイツ以外だけど)よりお金を使ってるってば。アメリカ人は旅行しないなんて、モノを知らなさすぎだよ。(+37)

■↑米国民は金を使ってるかもしれないが、パスポートをもってる人となると比較的少ないんだよ。米国内に観光地がたくさんあるから、海外に行く人はあんまりいないんだよね。(+21)

■↑欧州やその他の地域の人なら、そりゃ、アメリカ人はよその国に行かないって簡単に口にできるよな。米国に来たことあるかい?米国を旅行したことある?沿岸の都市以外だよ。

フランス人やイギリス人が気楽に「僕たち国際人ですから」って言えるのは、鉄道で数時間で他の国に旅行できるからじゃん。国境をすぐ越えられる。米国人は、欧州やアフリカ、アジアに行くのだって飛行機で一人往復で最低1000ドルはかかる。多くの米国人にとって、これは大金なんだよ。だから、頼むから、そんな見当違いな責め方しないでくれよ。(+32)

■中東の人がどう感じているのかわかって笑える。自分たちが最初にアニメを見たと思ってんだな。中東では70年代からアニメはもうやってた、だって(笑。

アニメ制作は子どもの遊びじゃない。才能のある作画アーティスト、作曲家、プロのスタッフたち……手の込んだスケッチが描ける人……。

『ファイナルファンタジー』を誰もコピーできないのと同じこと。マンガだって、コピーできないよ。若い時期から、日本で暮らして呼吸してない限りね。(+2)

■これ、どこで買えるの?

■金の指輪を質に入れないといいけどな。(+5)

■怒り、レイシズム、傲慢さ、無知、恥知らず。ここのコメントは、そんなんばっかりだな。うんざり。(+27)

■カイス・セドキはがんばったね。素晴らしいマンガストーリーだし、次の章がとっても待ち遠しい。無知な人、レイシストは、コメントを書く前に記事をよく読んで理解しよう。中東文化への理解の浅さや狭さを改善できる。
完璧な文化も国もないんだ。そこの文化、宗教、地域を代表しているわけでもない少数の人の行動を一般論にしたところで、偏見にしかならんよ。(+10)

■イスラム世界が好きだ。イスラム圏のいろんな国に行ったよ。人間が良い。こういうコミックには、憎悪やレイシズムがないのがいいね。ありがとう、日本。(+26)



こういうとき、アラブの人の反応が読めたらなあ…と思います。
アラビア語の記事の検索の仕方も見当がつかないとき、国の遠さを感じますなあ。


   
posted by gyanko at 18:00 | Comment(139) | TrackBack(0) | マンガ・アニメ | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
×

この広告は1年以上新しい記事の投稿がないブログに表示されております。