2010年11月12日

海外ゲーマーが日本のデフレを考える

2010年10月17日付けのNew York Timesに関するNeogafのスレッドから。


流れのままに最初から全体の半分ほどをお送りいたします。


New York Timesの記事、『元気だった日本、意気消沈』について

■これは、稲船(訳注:『ロックマン』、『鬼武者』シリーズで知られる元カプコンのゲームクリエイター)の「日本のゲーム業界は終わっている」という発言とはなにも関係ないよ。ここ20年の日本の経済状態に関する記事であり、それがこの時期に育った世代にどういう影響を与えたのかっていう話。

この記事を読んで、僕らが見てきた日本市場の変遷って、こういう経済状況が影響していたのかなって考えざるをえなかったんだ。日本市場はずっと、より安価な携帯ゲームへ向かっていってたし、日本の開発は、西欧の開発とはちがって、予算が大きいHDゲームへ頭から飛び込むことには乗り気じゃなかったろ。

でも、これって、もしこういう経済問題が西欧を直撃したら、西欧の市場がどんなことになるかっていう青図を日本が見せてくれてるのかもしれない。

考えてもみてくれ。ネオジオやPCエンジンDuoみたいな、信じられないぐらい高価なコンソールが投入された頃って、日本は経済ブームの狂乱時代だったんだよ。確かに、世の中が変わったんだ。

日本人のNeoGafer(この掲示板のメンバー)がいたら、この記事をどう考えるのか、超聞きたい。この20年間の日本のゲーム産業の流れと経済状態がリンクしてるって感じてるかどうか。

記事は全部読むことを奨励。

■今朝、記事を読んだよ。ミニハウスってのは信じられん。300平方フィート(訳注:約27 m2)の3階建?これじゃ、デカいHDテレビやデカいコンソールは人気ないはずだよ。

ただ、皮肉に響くだろうけど、僕自身は、消費を拒む若者たちには拍手を送りたい気分だし、世間の人たちは「もっと金にだらしなくなれ」って考えてるのかなって思って戸惑っちゃったよ。

■↑>消費を拒む若者たちには拍手を送りたい気分

同意!オレもそう思うね。

■↑なんで?消費は良いことだろ。経済を助ける。

■↑質素であることが、どう悪いっての?お前の言い方からすれば、街の窓ガラスを壊して歩けば、ガラス産業が助かるって理屈になるわ。

■↑まったくちがう。消費がないということは投資がないということ。つまり、クソったれな経済を意味する。経済という点から見れば、質素は経済を弱らせる、馬鹿げた行為なんだ。

東京はかつては今の香港のような街だった。経済成長と産業の中心地のひとつだったんだ。今、彼らは見当違いの方向へ育ち続けてる。その潮流をなんとかしようともしてない。

この非消費のイデオロギーが今の時代に存在する理由は、僕にはわからない。でも、効力はないんだ。それを日本が証明してる。

■↑倹約することは、消費を止めることではない。資本主義は消費主義とはちがうんだから。実際、倹約は、資本主義への道だ。

■↑消費主義は資本主義の一部だよ。誰も何も買わない、何にも投資しないなんていう状態で、資本主義が民間を前進させることはできない。

■↑消費への欲求はゾンビみたいなもん。すぐに蘇ってくる。それをわかってる人たちもいるさ。他方で、キミのように考えてしまう人もいる。

■↑資本主義と消費者文化が永久に存続するだろうって思ってるんだね。いずれ、オレたちも、この問題に直面することになるんだ。単純な計算でわかる話だ。

■↑オレがこれまで読んだ財務関係のどんな本にも、最低でも10%は貯金しろって書いてあったぞ。ところが、米国の個人貯蓄率が5%を超えたとたん、経済関連のあらゆる記事に消費者の鬱憤が出てくるようになった。なにかが間違ってるんだよ。

■>オレたちも、この問題に直面することになるんだ。

これまでのところは、うまく動いてると思うけどね。一方で、これが永遠に続くとも思えないよな。米国はずっと不況とバブルを繰り返してきた。消費し、投資したせいで、立ち直ってもきた。

これは偶然なんかじゃない。経済力が成長すればするほど、人々は消費し投資するんだから。

■↑これまでうまくいってたのは、基本的にキミが中国の安い労働力だからだろうね。

>消費主義は資本主義の一部

厳密に言えば、消費と投資は同じものではない。
たとえば、タクシーとして使うために車を買うのは投資だが、レジャーのために買うのは消費。資本主義とは、人々が質素に暮らし、お金を消費するのではなく、より資本的なものに使うときに成長する。

■ためになる記事だった。記事中の女性みたいに質素な暮らしはしたくないなあ。ゲームがオレの趣味じゃなかったとしてもね。

■こういう経済的な困難や人口の減少っていう問題に直面したからって、日本が考え方を変えて、自分の成熟度に見合わない生活ができるもんなのかなあ。

■西欧でこんな経済状況になったら、どれだけ多くのゲーム開発会社がつぶれるか、考えてみろよ。

■人々が子供を産むのを止め、移民が0の状態だと、どうなるかってことだ。その国に残された活力はほとんどなくなる。

任天堂がバイタルセンサーをキャンセルしたのもこれが理由かも?(訳注:今年のE3で発表がなかったことを言っているのだと思われます。キャンセルされてはいません。)

■↑バイタルセンサーで脈を測ってみたら0だったんで、キャンセルした、ってわけか。

■>消費を拒む若者たちには拍手を送りたい気分

消費しないというのは確かに立派なことかもしれないが、そのせいで地元の自分たちの経済を損なってしまってるんだよ。

たとえばだ。ユニクロで安い衣料品を買えば、ファーストリテイリングの株主は助かるが(バングラディッシュもある程度助かるな)(訳注:ファーストリテイリングが、バングラデシュの貧困者向け無担保融資機関「グラミン銀行」と共同出資)、日本経済のためにはならんということだ。

■>世間の人たちはもっと金にだらしなくなれって思ってるのかって戸惑っちゃった

オレも同じ考え。
私見だが、人間性に最も大きな影響を及ぼしているものの1つに、この物質主義的デタラメな態度がある。僕たちはこれを常に無理強いされてきた。

誤解しないでくれ。ささやかな物質主義や買い物欲求に罪はない。オレだってアップル製品は大好きだし、趣味だってある。でも、自分を幸せにするために、そうじゃなきゃ、人より上に立つために、買って買って買って買い続けたりはしないってことさ。

■↑経済の発展ってのは、iPodやデザイナーのハンドバッグのことだけじゃないんだぞ。経済が繁栄すれば結果として、研究や芸術にかけるお金が増えるってことだ。生活の基本的なクオリティを上げるインフラやテクノロジー(義肢もそうだし、農業技術もそう)も発展するんだ。

■資本主義のせいで破壊されつつある国って、他にもあるよ。

ほとんどの国々で人口密度が高すぎて、資本主義を持続させることができないってことを、世界の大多数の人たちはいつになったら理解するんだろう?

日本には土地があまりないから、これ以上人口を増やすことができないんだ。中国やインド並みに生活水準を喜んで下げますよって日本人が考えてるんじゃない限りね。

中国、インド、日本の60年代からの人口推移比較

■日本のほとんどの家庭が小さい家に住んでるっていうのは真実なの?一戸建てに核家族で住むっていう伝統があるせい?そうじゃないなら、原因はそれだ。

高い生活水準に慣れてた大家族が、小さいアパートに住むことになったら、元気なくなっちゃうって。当然、電化製品や改築、生活必需品に、そんなにたくさんのお金はかけないだろうしさ。

■↑経済危機の要素として考えるなら、日本の家庭の小さい家って、今の経済危機よりかなり前から存在もんだからなあ。

思い出さないとだめだよ。日本は、おおざっぱに言ってカリフォルニアぐらいしかない国。なのに、人口は米国の2分の1ある。
家やアパートの大きさは、使える土地がどのぐらいあるかってことで主に決まるものだろ。用語の使い方ってことでは、「小さい」は誤解を招くね。「小さい」んじゃなくて、たとえば、空間の有効利用と言ったほうが良い。

オレが日本に住んでいたときは、比較的安いアパートを借りてたんだけど、大学時代の二人部屋の寮ぐらいの広さだった。でも、バスルームもあったし、トイレもキッチンも、リビングもベッドルームもあった。全体的に、住むにはとっても快適だったし、閉所恐怖症なんてみじんも感じることはなかったね。でも、その地域のほかのアパートや家に比べたら、小さいほうだったんだよ。

■↑「小さい」から「マイクロ(極小)」(訳注:記事ではミニハウスをmicrohouseと訳していました)になったってことさ。microhouseで画像をググってみろ。

■これを知らず、日本のゲーム開発とこの状況を結びつけて考えてなかった人は、ここ数年、『東洋vs.西洋』の議論にコメントしてなかった人たちなんだろうな。

>ほとんどの国々で人口密度が高すぎて、資本主義を持続させることができない

笑うわ。日本は、過去20年間、クローニー・キャピタリズム(訳注:仲間うちでの排他的な資本流通、縁故資本主義)以外のすべてを破壊しようと全力を尽くしてきた国だ。その改革を成功させた、たった一人が小泉だ。彼は右翼だった。幸運にも、日本の官僚は、仕事を手控えるようになって、日本銀行と対立するようになっちゃったけどな。

■正直言って、この変化は僥倖だと思うね。世界が再編成されようとしてるんだ。新興国が新しい経済力として出現し、それが新しいバランスと違う未来をもたらしてくれるだろう。

日本は、もっと若者が必要なんだ。そうじゃないと、税金を払わない年寄り世代の世話で、本当に彼らが沈んでしまう。

■去年、ナショナル・パブリック・ラジオで日本文化の番組を聴いた。魅力な時間だったよ。で、そのときに、長引くクソったれな経済と、その経済や仕事への不安もあって、奇妙な感情的な問題を抱えて成長した、変わり者世代の若年男性たちとの関連性について知った。

■↑ここ米国でも、そうなりつつある気がするよ。

■それ、オレも聴きたい。リンクくれ。

■これって、スレ違いの完璧な一例になるスレッドじゃない?資本主義について読むために、このゲーム・フォーラム来てんじゃないんだけど、オレ。まあ、……そう思っただけなんだけどさ。

■米国とEUの逃れられない未来を垣間見たわ!みんな、北京語を勉強しはじめたほうがいいぞ。いずれ必要になる!(笑

■日本について勉強していて、最新情勢をつかんでいる人間にとっては、目新しくもなんともない記事。

日本人は自分たちで問題を作ってる。伝統にしがみつく頑固さで首を絞めつつあるんだよ。真の問題が移民なのかどうかはわからない。問題はむしろ、日本の伝統や価値観なんだ。日本人は移民を欲していない。オレたちの国にいる日本人と同じぐらい、日本には韓国人が住んでるけど、彼らは日本人とは考えられてないからね。

■たぶん、次世代は日本経済を改善しようっていう意欲をもった世代になるんだろうなあ。ん、待てよ、次世代なんてもうなくなるのか?

■アメリカが日本と同じ方向へ向かっているとはまったく思わない。消費主義はアメリカの文化に染み込んでるものだから。
米国の人々が昔みたいに金を使わなくなった理由はたった一つ。クレジットが使えなくなったからさ。落差を埋めるために、休日には貯金をうまく利用して楽しむようになるんじゃないかと思うね。

■日本についてのスレッドで、アニメを持ち出すことをまず謝りたい。でも、オレ的には、この記事の社会的なトレンドは、ゲームよりむしろアニメ産業に大きく影響してると感じる。

まず、経済。この10年、日本の高価なDVDにお金を嬉々として費やす人はほとんどいなくなった。市場の商品は、唯一お金を使う層、キモい萌えフェチにだけ売れていく。

次にテーマ。バブルがはじける1991年のちょうど前、ガイナックスは『おたくのビデオ』を制作していた。これは、基本的にアニメ産業の未来に、いかなる制約も受けない自由な楽観主義をもっていた時代のシンボルだ。でも、そのたった4年後、彼らは不況と社会の崩壊をテーマとした象徴的な番組を作った。
現在は、主人公がヒキコモリで、無職、完璧に受け身な男性ってのは、普通のことになってるんだよね。

■記事には目新しいものは何もないけど、経済に焦点を合わせることがいかに大事なことか、再びオレたちが競争的で生産的になるにはどうしたらいいのかっていう意味で、覚えておこうと思う。

問題の大元を扱わず、オレたちの気を散らすよな記事が本当に多いだろ。症状ではなく、問題の大元を直視することは、大きな試練だからね。今もこれからも。

日本とゲーム産業について言えば、3DSのリリースはとても面白いことになるんじゃないかと考えてる。日本のゲーム業界の存続に元気な材料になるんじゃないかって。つまり、当然、DS並みの大ヒットになるだろうから。ただ、3DSが周囲の高い期待に沿わなかった場合は、どうなるのか。これも興味深い。

■デフレの危険に関する教訓だと思った。たぶんだけど、超インフレだったら、今すぐ日本はなんとかしただろうになあ。だって、超インフレの対処法は日本人は少なくとも知ってるもんね。

■問題は、日本の価格設定なんだな。これが他の国と比べて、あまりに動きがないってことか。

>ユニクロで安い衣料品を買えば、
ユニクロは、アメリカン・イーグルやターゲット並みの価格設定だよ。

■僕は、ずっとアジアの年功序列のビジネス・スタイルを槍玉に挙げてきた。このせいで、特異なビジョンが生まれて、産業の初期から成功する能力をもてるんだって。……でも、これって、ビジネスのリーダーたちが年老いると、停滞する運命にあったんだな。

HDへ切り替えなかったのは、頭の固い老人番頭が、時代の流れについて行けなくなったからなんだろう(みんなは、WiiやDSをアジア型ビジネスモデルの現代の稀な成功例だって言うかもな。あきらかに、山内と岩田のトップダウン経営だもんな)。

まあ、世界市場の現実についていけなくなった日本国内の市場の現実ってことか(携帯を採用した通勤国家vs.据え置きゲーム機の大きなスクリーンでゲームすることに満足する世界だな)。

■↑でもさ、世界市場の現実って言えば、大スクリーンのHDコンソールが人々の金を湯水のごとく吸い上げていくってことでもあるよね。

■問題にまったく対処できないほど日本を傷つけているのは、経済の低迷そのものじゃないんだよ。
日本は、変わった国だし、狭い島国。第二次世界大戦の進駐軍の占領からリカバリーもできてない。

日本のネオ儒教っていう屋台骨から、自己犠牲っていう奇妙な考え方が生まれた。これが現代の諸問題とうまくかみ合ってない(だから、桁外れの自殺者が出る)。日本の解決策の多くは、利率を低くしろとかそんなことじゃないんだよ。このかみあってない精神構造を変えること。
次の10年で日本がどう復活するか、面白いところだ。

■このスレッドで議論されてる経済の見方は単純だなって思う。経済成長は、人々にもっと物を所有させたり、買わせたりってことじゃないよ。イノベーションを通じて生産性を高めること。
良い社会では、富は、ほとんどの国民の富を増すだけ十分に分配される。そのおかげで、国民は物を買い、理にかなった範囲で生活水準を上げられるんだ。

史上最高の優良株には、数十年前に成長が止まった企業がいくつかあるけどね。原油、医薬品、タバコ、食べ物、生活必需品なんか。

オレには日本で起こっていることが理解できてない。
オレは、自分の個人退職金のために日本のデカいインデックス・ファンド(訳注:株式市場全体の動きに連動して運用成績が上がることを目指す投資信託)を買うのを避けてる。理由は、動きが腹立つぐらいイレギュラーだから。通常なら、長期平均に及ばない株を買うんだ。だって、いずれ長期平均値に戻るもんだからね。……でも、日本のは、戻らないままの状態が長すぎる。

まあ、健康的社会ってのは、野放図に金を使いまくるか、不況かのどっちかではあるがな。

■西欧のゲーム開発の90%が5年以内にこうなる、なんてことはないだろうと思う。下降線ではあるけど、1983年のゲーム・クラッシュ(訳注:アタリショックのこと)みたいなことにはならないと思うよ。

ただ、西欧のゲーム産業って、年に15タイトル程度のゲームに頼りっきりに見える。その半分以上がシューティング。これじゃ、災厄は目に見えてるよな。

■この記事の内容は、米国や欧州の先進国にも言えるかもしれないことだ。日本は私たちの先を行ってるだけ。日本は、私たちより後から来たのに、私たちより先に、さらに現代的な社会へと国を作り変えた国だ。結果、彼らは、私たちが後で出くわすことになる問題に先にぶつかったってわけだ。



資本主義は、人々が質素に暮らし、お金を消費するのではなく、より資本的なものに使うときに成長する。

なるほど、と思いました。
勉強になります。


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タグ:デフレ NeoGaf
posted by gyanko at 12:00 | Comment(132) | TrackBack(0) | その他 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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