2010年12月01日

海外記事 - 日本の「クール」は「商売」になるのか?-

本日はこちらから。


日本は、その国民的「クールさ」で得することができてるのだろうか?

日本の財政は、申し分のない状態ではないかもしれない。が、ファッションという話になると、これほどクールな場所はいまだにそんなに多くない。

日本の自動車やテレビほどの数を買っているわけではないかもしれないが、アジア、欧州、そして米国の消費者たちは今もなお、日本文化の影響を受け続けている。つまり、世界的ブランドが最新のホットなファッションを探すとき、その目は必然的に東へ向くということだ。

「大抵の場合、最もグローバルなトレンドは東京から始まります」。ファッションご意見番、Loic BizelはCNNにそう語る。
Loic bizelは東京を拠点とするファッションの専門家であり、ティンバーランド、ラコステ、ソニア・リキエルといったブランドのコンサルタントだ。そしてまた、海外のファッショニスタが、自国のファッション市場で複製できそうなものを探すために東京のストリート・スタイルを見学する際のツアーガイドも行っている。

「7〜8年前あたりから、本当にみんなが日本を実験室として見始めていますね」とBizel。「トレンドがストリートから実に素早く拾い上げられていってます」。

Bizelによれば、だからこそイギリスのトップショップやスウェーデンのH&Mが(日本へ)やってくるのだという。「彼らはわかってるんですよ。そうすれば東京で目についたものを次のシーズン用に余裕をもって作れるし、そしてそれがヒットするということが」。

「大手ブランドにすれば、日本へ来て、競い合い、デザインを本国の市場へ送るのはイージーなことなんです」とBizelは言う。なぜなら、ここが極めて重要なところなのだが、日本のファッション・ブランドはほとんど海外へは進出しないからだ。

しかし、日本政府は、こうした事情は変わりつつあると言っている。日本政府は、日本の国民的「クールさ」からもっと金を稼げるかどうか見極めるために、2011年にクリエイティブ産業部門に190億円(2億3700ドル)以上を注ぎ込もうと提案しているところだ。

高木美香は、経済産業省デザイン室(別名、クール・ジャパン室)の室長補佐だ。クールジャパン室とは、日本の文化産業(アニメ、グラフィック・デザイン、映画、ファッション等)を稼げるものにするという使命を負った政府機関である。

「日本にはたくさんのユニークな文化があります。……ですが、他の金を産む産業と比べると、クリエイティブ産業はさほど稼げていません」と高木はCNNに語った。

「私たちはこうした文化的問題に投資する努力をしたいと思っていますし、日本文化の独自性をもつ日本製品をブランドにしたいのです」。

目標は、850億ドル(6兆9000億円)ずつ、2020年までに6980億ドル(56兆6000億円)まで利益を増やすことだ。クールジャパン室によれば、2007年の歳入合計は6130億ドル(49兆7000億円)。ちなみに、日本の2007年の国内総生産は4兆4000億ドルだ。

クールジャパン室が挙げた数字には、食品、飲料、観光といったすでに確立された部門も含まれており、高木はファッションだけに限った数字ではないと言う。クールジャパン室は、日本がファッションの輸出でどれだけの金を儲けているかという分析は出していない。高木いわく、「定義が難しいから」だという。

日本政府が「クール」を商売にできるかどうかは、さほど当てにはならないとする専門家もいる。懐疑派の一人がチャールズ・スプレックリーだ。スプレックリーは、東京を拠点とする、消費者調査とトレンド調査の会社、Five by Fiftyの共同創立者である。この会社は、ユニリーバやコカコーラを顧客としてもっている。

「官僚が束になってかかったところで、クール・ジャパンという漠然としたコンセプトを国が儲けられる商品にすることができるのか。私は大変に疑わしいと思っています」と彼は語る。

スプレックリーに言わせれば、これほど(日本が)クールに思われている理由の一つは日本の独自性ではあるものの、このクリエイティビティの特殊なブランドを世界の舞台で通じるものにするのは厳しいかもしれないという。

「日本はがっちりと自身の足で立っている国ですし、いまだに経済規模は巨大です。圧倒的規模の市場、1億2000万人の人々……。それゆえに、ここではさまざまなことが起こっていますし、東京のような街には、ファッション、グラフィック・デザイン、コミックを売る店が溢れ返っています。非常に緊張感のある場所なんですよ。それが独自性のあるスタイルを産み出してるんです」。

スプレックリーは、最もクリエイティブな人々はとても小さな規模で仕事をしていると話す。彼が恐れているのは、日本のクリエイティブな家内工業を商品化しようとして、逆に彼らの保証書付の品質を殺してしまいかねないことだ。

「日本をクールにしているものの1つに、彼らが物事を処するときの無心さがあります」とスプレックリー。「彼らは、誠意をもって、エゴを出すことなく、とてもうまく物事を処します。私は、これを商業化するという、まさにその行為こそ、本質的に「クールじゃないこと」だと考えています」。

スプレックリーはこうも言う。「日本で起業家がブレイクするチャンスはほとんどありません。なぜなら、昔気質のコングロマリットが日本経済を牛耳っているからですよ」。

そのうえ、文化的な障害もある。「こういう(クリエイティブな)個人の人たちというのは一般的にあまり国際的ではないんですね。……韓国人や中国人と違って、彼らは複数の言語を話しませんから」とはスプレックリーは言う。「彼らは海外に行く方法も、自分たちを売り出す方法も、客になってくれそうな相手とコミュニケーションをとる方法も知りません」。

高木は、日本のファッション・トレンドが香港や中国、韓国で人気がある一方で、日本のアパレル会社がアジア市場に参入するのに苦闘していることを認めている。

高木は言う。「多くの日本のファッション雑誌が中国で売られていて、とても人気があります。そうした雑誌に載る服は、中小のアパレル会社で作られているものなのです。でも、彼らは、アジア市場に参入できるだけの知識もネットワークも資本もありません」。

高木は、クールジャパン室がこうした企業が海外へ進出する手助けをしようとしているのだと話す。

彼女の説明はこうだ。「日本には多くのユニークな文化があり、これは私たちにとって大変大切なものです。でも、これまで私たちはこの文化をあまり利用してきませんでした。というのは、他の産業で競争することができていたからです」。

その言葉通り、日本の経済産業省は、文化産業を国家の未来の経済成長を担う戦略分野と見なしている。

「私たちがまだ手に入れていない世界市場には多くのポテンシャルがあると私は思っています」と高木は語る。●



スプレックリーさん。確かにそうだなあ…と思いつつ読みました。

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posted by gyanko at 13:00 | Comment(125) | TrackBack(0) | その他 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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