1つの苗字を名乗る意味
日本の法律では、結婚したカップルは同じ苗字を名乗らねばならない。が、こうした現状を変えようとしている女性たちがいる。
「結婚後、夫婦どちらかの苗字を名乗らねばならない法律は憲法で規定されている権利を侵害している」として、先週、日本政府を相手取って5人が訴訟を起こした。日本では現在、法律的に、夫婦それぞれが別姓を名乗ることはできない。夫婦には1つの苗字しか許されていないのだ。つまり、圧倒的多数で妻が夫の苗字を名乗っているということだ。
1996年に結婚したとき、私の苗字は夫の苗字に変わった。21歳。私は若く、当時の晩婚の潮流の中では異例の若さであり、自分の苗字を変えずに結婚することなど考えも及ばなかった。いつも、結婚したら夫の苗字になるものだと思ってきたのだ。それが普通だった。私が若い頃、日本の地方にフェミニズムが入り込む余地はなかったし、私の知り合いの女性たちの多くはパートの仕事に就いてはいたものの、一家を養う大黒柱は夫だった。
ただ、私の場合は少し違っていた。私の結婚相手はカナダ人で、戸籍の関係上、私の苗字を変更するにあたって、たくさんの届出が必要だった。
(普通、女性は)独身の頃は扶養家族として父の戸籍に入り、結婚後は新しい世帯主(通常は夫)の下に入るものなのだが、私の場合は、配偶者が日本人ではなかったため、夫は世帯主になることができず、私が世帯主となった。
こうくると、私の場合、旧姓を名乗ることは簡単なことのはずだったのだが、私はそうしなかった。どうしてだろう?私は自分を保守的だとは考えていないが、私は若く、そして「物事はそういうものだ」と考えていたのである。
現在、起こされているこの訴訟の話を聞いて、私はTwitterで友人たちにどう思うかを尋ねてみた。返ってきた答えの多くが、「苗字を変えるか旧姓のままでいるかを選べるのはたぶん良いことだよ」というものだった。確かに、これは公正なことに私にも思える。
だが、この考えには、いまだ多くの反対がある。
最大の反対理由は、子供だ。両親が別姓を名乗った場合、子供の苗字はどうなるのか?これは日本人には過激なやり方だろうが、北米では、両親の苗字をハイフンで繋ぐことで簡単に解決している。
家族という単位が日本では大変に独特なものであり、それを誇りに思うべきという考え方もあり、そうした考え方の人々は夫婦別姓になってしまうと家族の意味が失われてしまうと心配している。
Twitterでの私のランダムサンプリングによる調査では、旧姓を変えたくないという理由から結婚しなかったという女性も数人いた。だが、彼女たちの理由は、必ずしも男女同権からくるものではない。働いている場合、結婚後に苗字を変えることが不都合なのだ。特に、旧姓での仕事の業績がよく知られている場合は。
職場では旧姓を使っている女性たちもいる。私が話した女性の1人は、「社会的かつ経済的な問題ですよね。行政が絡むこととなると、パスポート、社会保険、給与といった、自分の苗字が関係するさまざまなものが、戸籍に関係していますから」と言っていた。
日本は、役所仕事的な国だ。苗字を変えるとなると、うんざりするほど大量の書類が要る。私の調査では、政治的理由をもって旧姓に固執する女性は多くはなかった。みな、シンプルにやりたいのだ。だが、もし結婚後も旧姓を名乗れるということになれば、物事はだいぶ楽にはなる。●
この記事についたコメントです↓。
話題の逸れているものや内容がかぶっているものは割愛しつつ、一通りをご紹介。
■>家族の意味が失われてしまうと心配している。
「家族の価値」について堅苦しく考えてるんだなあって思ったよ。たとえば、神が結婚を許さない2人が恋に落ち、家族となり、苗字はちがうものを名乗る。この場合、子供に関して言えば、両親の苗字のどちらかを子供自身が選択すればいいよね。
■しばらく前、日本人青年といっしょに暮らしてた。(訳注:日本の名前の書き方には、)公式、非公式含めて3種類あるんだけど(訳注:おそらく、ひらがな、カタカナ、漢字のこと)、「家族」ってものがそういう「言語」の縛りを受けてるなあって感じる。言語っていうシンボリズムを通じて、家族が文化的アイデンティティを得てるんだよね。
だから、日本で別姓に反対する人たちがいるのは理解できる。戸籍の問題を取り上げる場合、必ずしも女性が男性と同権を得ること自体に反対してるってわけじゃない。公式な書き方(訳注:おそらく漢字のこと)の名前っていう象徴性を通じて家族や社会が結びついてるっていう、そのあり方に関係してるんだよ。
■>家族の意味が失われてしまうと心配している。
子供にしたら両親っていうのは1つの分かつことのできないユニットだと僕は実際のところ思う。さらにもっと大事なことは、両親だって、1つの分かつことのできないユニットとして人前に出たり行動したりする権利があるってこと。
同じ苗字を名乗るっていうのは、結婚して1つの家族になったユニットの「家族です」っていう外向けの標識でしょ。子供にとってはこれが一番良いものだし、この議論で最も重要な問題も子供。
子供たちが、「苗字を選ばなきゃならない」なんて事態になるべきじゃない。馬鹿げてるよ。
とにかく、別姓なんてことになれば、結婚も家族も子供もめちゃめちゃだ。
■↑子供にとって大切なことは、両親が愛し合って、子供の手本となるロールモデルであるってこと。子供が苗字を選ぶことがどうして馬鹿げてるの?
>別姓なんてことになれば、結婚も家族も子供もめちゃめちゃだ。
そうね。夫婦が別姓になったら、家族や結婚、子供たちっていうものが完全に崩壊するっていうのは私も理解できる。
■↑家族っていうユニットが減退していってしまうってことだよな。社会の闘いは、こういう減退との闘いだ。取るに足らないことのように思える、小さな変化の積み重ねが、とてつもない影響力を与える結果になってしまうものだからね。
■↑そういう意味じゃ、すべてが60年代から下降線を辿ってるんだよ。60年代っていっても、1960年代じゃないぞ。1560年代だ。
女性が参政権を得てからすべてがクソになったとか、時計が発明されてから家族の暮らしが変わったとか。ライト兄弟は、エジソンと同じぐらい、世界に悪影響を及ぼした責任があるだとか。なあ、どうしてオレたちはみんなアーミッシュ(訳注:米国ペンシルバニア州に多く居住しているキリスト教の一派。電気、水道、自動車などの現代技術を使わずに生活している)になれないんだろうなって話さ(笑。
■妻の苗字を名乗っている日本人夫婦もいたよ。奥さんのほうが有名な詩人の一族の出なんだ。彼女も詩人だった。
私自身は夫の苗字を名乗ってる。理由は、私の旧姓自体がすでにハイフンで繋いだものだから、そのままいくと子供は苗字を3つハイフンで繋いだものになっちゃうから。ハイフンで繋いだ苗字の子供同士が結婚したら、苗字はどうなっちゃうのよ?
■両親の名前をどちらも名乗るか……(僕が住んでるところでも、これは可能だけどね)。でも、たとえば、ジョン・テイラー-スミスが、ジェーン・オブライエン-コッカーと結婚する(子供の苗字は、テイラー-スミス-オブライエン-コッカー)。2世代以上、こんなのが続いただけで、とんでもないことになるって!
■↑未来の系図学者は大変だよな。家計図ってのは、1980年あたりまではどれもとてもわかりやすいものだった。今はもう、わけがわからん。
■日本のチャレンジがうまく行くといいなって思ってる。女性は当然、苗字を夫のものに変えるべきだなんて、明らかに性差別主義だよ。
苗字の1音節をとってハイフンで繋いで、子供の苗字にするってのはどうかな。家族が引き継いできたものも、これなら大事にできる。最近は、こういう解決法をとってる夫婦が私のまわりにはたくさんいるよ。男性側によりがちな比重のバランスをとるために、女性の苗字を名乗っている男性もかなり多いし。
■結婚したとき、夫の苗字を名乗らないなんて考えもしなかった。でも、その後、いろいろあって今は私の父の苗字を名乗ってる。フェミニズム的なものは、なにもないけどね。
ねえ、夫婦になったら、新しい苗字を名乗るってのはどうかしら。平等じゃない?これなら。
■それが伝統的だろうと進歩的だろうと、夫婦がどちらの苗字を名乗ってもかまわないと思う。ただ、やはり同じ苗字のほうがいいと思う。
■日本は例外的なんだよ。自分たちや先祖がどこの土地の出身かっていうことが、苗字でわかるようになってる家族が多いんだ。
■自分自身の経験談をここで差し挟みたい。僕の妻は日本人なんだけど、僕たちは両方の苗字を名乗りたいって考えた。このために、結婚前にこう助言を受けたんだ。まず、僕が、二人の名前を結合した苗字に変えなさい、と(英国では名前を変えるのは簡単なことだからね)。その後、妻が、その結合した名前を名乗ればいいって。
すっごく簡単そうに思えるでしょ?ところが、いざ、結婚という段になったら、地元の役所は、妻が僕側の苗字を名乗ること自体はOKだけど、苗字の中の漢字がダメだって言ってきた。苗字をすべてカタカナにするならOKって(カタカナっていうのは、外国からきた言葉を表すのに使う文字)。
言われたのは、日本人ではないから、日本の名前は僕は名乗れない、漢字の名前は使えないってことね。
これはもう妥協する以外に結婚が許可されないってことだと諦めて、奥さんは旧姓のまま。記事にもあるように、僕は外国人だから、彼女の戸籍に入ってるんだ。息子も同様。
■日本で暮らしてた。おかげで、日本では妻が夫の苗字を名乗るのが普通だっていう一方で、夫が妻の名前を名乗るのもまったく変なことではないってことは知ってる。妻側に兄弟がいなければ、夫側が妻の名前を名乗ることもあるしね。オレたちの国のシステムに比べたら、非常に賢明だなって感動したよ。名前を変えることで、人々が繋がりをしっかりともてるしさ。
■変な話だなあ。10年以上前に日本人と結婚したけど、現在でも、僕らはそれぞれちゃんと自分の苗字を名乗ってるよ。彼女は日本の苗字、僕は西欧の苗字。
日本のお役所仕事って不思議だなって思うよ。(別姓のまま)永住ビザの申請や取得で僕や妻の書類をいろいろ出したんだけど、役所側は誰もそれを変だとは思ってないんだよね。
まあ、でも、この国って、ある朝目覚めて「あ、やべ。5000万人分の記録を入れ忘れてた!」ってなことを行政がやらかしちゃう国だからなあ。
余談だけど。僕、日本の運転免許書ももってるんだけど、警察に車を止められたときは、国際免許書のほうを出すんだ。そうすると、警官はあきらかに、面倒くさいことには関わらんでおこうって態度になってくれるから。
■訴訟に勝てるといいな。近い将来、日本の人と結婚する予定なんだ。苗字はそれぞれ別姓でって希望してる。子供のことに関しては、苗字ってそんなにおおごとだとは思ってないんだよ。ま、男だったら僕の名前、女だったら彼女の名前ってぐらいかな。
■この件に関して、僕が妥当だと思うただ1つの法律。両方の姓を組み合わせるなんていうくだらない苗字の付け方を禁止すること。マックマーフィー-オキーフェなんていう名前を生涯、持ち続けなきゃならないアイルランド人の友人夫婦の子供を心から気の毒に思ってる。
■スペインの方法がいいんじゃないかと思う。ジョン・スミス-ジョーンズがメアリー・ベイカー-ドイルと結婚すると、子供はそれぞれの苗字の一部をもらって、ジェームズ・スミス-ベイカーになるんだよ。簡単だし、日本でもできそうだろ。
■僕の意見で、参考になるかどうかわからないけど。僕と妻は、子供ができてから結婚したんだ(今もしてる)。子供たちは妻の苗字。
子供たちが大人になったら、両方の苗字をつけるかもしれないし、僕の苗字かもしれないし、別の名前になるかもしれない。結婚すれば、相手の苗字を選ぶかもしれないし。けど、なにがあろうと、彼らは僕の子供たちだし、子供たちだって僕がずっと彼らの父親だってことはわかってる。
名前なんて、そんなとやかく言うほどのものかい?
■馬鹿馬鹿しい。僕も日本で日本人の彼女と結婚した。どちらかの苗字を選ばざるをえないから、なんだっていうんだ?
日本では、夫か妻の苗字どちらかからどちらでも選べる。僕が働いてる業界だと、妻側の苗字を選ぶ日本の若者は増えつつあるよ。
■若い女性の多くが、結婚するときにさして考えもせずに男性側の苗字を名乗っていることがとても憂うべきことだと思う。きちんと考えてそうしている人はいい。だって、女性が慎重に考え、自身の独立したアイデンティティを放棄するかわりに夫の家族として合法的なユニットになると決意するというのは、彼女の選択であり、そうする権利が彼女にはあるから。私は賛成はしないけど、間違ったことであってもそうする権利が彼女にはある!
くだらない恋愛に目がくらんで、みんな何世紀も記録から女性というものを消し去ってきたシステムに身を投じてきた。だいたい、「ジョン・スミス夫人」って誰よ?ジョン・スミスの召使い?お手伝いさん?
子供のことを言えば、どうして自分独自の名前をもてないの?私たち夫婦は子供に彼自身の名前を与えたし、それでトラブルなんて起こっていない。一度だけ、息子の最初の銀行口座を開くときにもめはしたけど、馬鹿げた苛立ちってだけだし、深刻な問題じゃなかった。苗字なんて、ただの行政の作業用のタグにすぎないんだから。
■私はイタリアに住んでるイギリス人で、配偶者はイタリア人よ。息子は法律上、夫の苗字を名乗らなきゃならないの。息子には私たち二人両方の苗字をハイフンで繋げてあげたかったんだけど、法律で子供は父親の苗字しか名乗れないことになってるの。
私の苗字を与える方法は1つしかない。私が息子を「父親不明」のシングルマザーとして届け出ることだけ。
結婚するにしても、私が夫の苗字を名乗ることはできないしね。だから、基本的にイタリアの法律では、私と息子が同じ苗字を名乗ることはできないの。
これって、まだマシなほう?それとも酷いほう?
■まったくもってくだらない話だ。僕も妻が日本人。彼女は、自分の苗字を僕の苗字に変えようなんて夢は一瞬たりとも見なかっただろうと思うよ。僕だって、断固として反対したと思うし。
ほとんどの日本の女性、少なくとも東京や大都市で育った人たちは西欧の女性たちと同じぐらいフェミニストだよ。仕事にしろ、それ以外の生活にしろ、日本の女性は旧姓でも夫の苗字でもどちらでも使うことができる。もし、配偶者が日本人で、家族として公的に登録されていたとしても、夫の苗字を使わなきゃならないのは、地元の役所になにか書類を提出するときだけ。
僕らの子供は、日本国民として妻の苗字を使ってる。完璧に平等だろ。逆に、妻の一族に入り、妻の苗字を名乗っている日本男性だってたくさんいるんだから。(別姓を名乗れないからって、)これが女性に対する日本の差別の例だって言うのであれば、イギリスのマスコミの日本に対するくだらない人種差別じみた偏見の例でしかない。
こういうね、痛々しいイギリスの島国根性というか、どうにも正当化できない西欧至上主義への迎合というか、治療の方法はないもんなのかね?
■↑この記事を書いたの、日本人だけどね。
■僕の友人たちを見てると、苗字を変える人と変えない人に分かれてるなあ。昨今は20代後半とか30代で結婚する人がすっごく多いんだよね。だから、結婚する年齢のときには、女性もおうおうにして職業的なキャリアや評価を確立してる。こういう場合は、苗字は旧姓のままのこともあるね。
でも、別姓の一番の理由は、夫と妻が似た業種で働いてるとか、どちらも上級職についてるからだよ。そう、みんなが個人的にも職業的にもよく知ってる名前を変えてしまうと、ちょっと混乱を生じるんだ。
■日本の法律は苛立たしいものではあるけど、およそどんな状況でも好きな名前を名乗ることに障害はほとんどないよ。日本人同士の結婚なら、夫の苗字を名乗ることにはなるけど、そのほうが都合がいいから職業上も個人的にも旧姓のままっていう女性はたくさんいる。
それと、苗字を変える権利のほうも、もう少し重視してほしいと思うなあ。結婚して旧姓のままなのは恥ずかしいことではないのと同様に、結婚で苗字を変えるのだって恥ずかしいと思う必要がないことだろ。
■私の国では、他の多くのスペイン語圏の国と同様で、伝統的には自分の苗字の後に夫の苗字を付け加えるんだよね。で、間をde(ofの意味)で繋ぐ。アナ・ペレスがユアン・ゴンザレスと結婚したら、アナ・ペレス・ド・ゴンザレスよ。
でも、最近は、こういう妻は夫の付属品的な、家長制度的な習慣に従わないで、自分の苗字のままの女性が多いね。
子供のアイデンティティについては、どちらにせよ問題じゃないよ。私の国の法律だと、誰でも2つの苗字がもてるから。最初が父親、その次が母親っていうふうにね。正しい解決法だと思うよ。だって、子供はみんな父親だけじゃなく、父親と母親から生まれてくるんだもの。
■>これは日本人には過激だろうが、北米では、両親の苗字をハイフンで繋ぐことで簡単に解決している。
日本人はもっと過激にならないとなあ。みんなのために役所仕事的な部分を減らしていかなきゃ。正しいことをするのに妥協はいらない。
■僕はカナダ人で、奥さんが日本人。奥さんは苗字を変えてないよ。これに関しては、日本では法的問題は何もないんだよ。
でも、覚えてる限りだと、名前を変えるのって彼女にとっては苦痛なぐらいの届け出が必要だったんだ。だから、じゃあ、やめたら?って僕が言ったの。
カナダで結婚してから届け出をしたから、面倒くさいことになったのかもしれないけど。
■娘なら妻側の苗字、息子なら夫側の苗字っていうんじゃだめ?
■すごく面白い。今の日本って、1994年当時のオーストリアとそんなに変わらない。
妻が、生まれた子供のことを届け出に役所に行くと、役所から夫婦同姓じゃないと子供を登録できないって言われるんだ。
そこで、妻が言う。「私たちはイギリスで結婚しました。あっちでは苗字はそんなに問題にならないんですが」。すると、役所はこう返す。「ここではオーストリアの法律が適用されますので、お子さんを届け出る前に夫婦共通の苗字に変更してください。関係書類の名前もすべて変えてください」。
でも、その数年後にすべてが変わったんだ。ほとんどどんな名前でも受諾されるようになっちゃった。最悪のお役所仕事に対する世論が高まって激論になったことがきっかけなんだけどね。
■名前を変える権利、変えない権利のために戦わないとだめだよね。
僕は日本人女性と結婚したインド人だ(僕が生まれた地域では、苗字っていう考え方はない)。もし僕の苗字になりたいって言われたとしても、つける苗字が僕にはないんだよね。だから、何も変わらない。僕らの子供は日本で届出をしたから、彼女の苗字になってる。
僕が気にするかって?全然。僕はケララってところの出身。ケララでは、苗字をもってる場合でも、母方で継承していくから、母親の苗字を使う人が多いんだ。たとえ、父方に信長とかネルーとか偉大な祖父がいたとしても、そういうもんだからしょうがないね。、ま、たいしたことじゃないし。
■苗字が一つになることが、なにがいけないんだ?単純だろ。ハイフンで繋げる苗字なんて、大げさすぎる。
結婚して夫の苗字になるのが、なにがいけない?結婚して妻の苗字になるのが、どうしていけない?
結婚とは家族という単位になることだ。日本では、多くの女性がそれを望んでいるし、そうなったところで個人のアイデンティティはみんな保ってる。
選択し、自分の決断とともに生きるってこと!
僕の家族は、日本人の妻が僕の名前を名乗ってる。届出書類は面倒だったが、全部うまくいった。息子は妻の苗字をミドルネームにしてる。日本の役所でこれをやるのはちょっと頭を使ったが、日本が他の国と足並みを揃えざるをえなくなってきてるから、こういうのももっと楽になっていくだろうね。
■ほとんどの人は自分の苗字が好きだ。でも、自分の苗字を犠牲にする覚悟がないのなら、結婚とは何なのかを理解してないってことだと思う。
僕は妻に苗字を僕の苗字にしてくれって頼んだんだ。理由は1つ。日本に住む外国人として、仮に子供が妻の苗字のままで離婚したりすると、親権を得るのはまず不可能になってしまうから。日本の家族法は人種差別的だよ。国連が査察に入るべきだと思う。
■日本の苗字の歴史は、キリスト教圏とはかなり異なってる。20世紀まで、ほとんどの日本人は苗字をもたなかった。有名で影響力のある人物は苗字をもっていたけれど、それも人生において状況が変われば、それを反映して苗字も変えた。
僕の妻は鹿児島のある村の出身。彼女の説明のよると、第二次世界大戦後まで苗字で知られていたのは父親だけだったそうだ。他の家族は、苗字で知られてはいなかった。名前だけ。
だから、すべての人に苗字がついたのはきわめて最近だし、日本社会では今でもそんなに肌慣れたことではないんだよ。
■白人と結婚した東洋の女性って多くが、白人の夫の苗字を名乗る。現代的な男女同権の社会に住んでるってのに。……一方で、東洋の男性と結婚した白人女性は、自分の苗字を変えない。これは、洋の東西を問わない。白人の苗字って、他の国の苗字に比べるとかなり上だってこと?
■↑僕は日本に住んでる。僕の知り合いは、日本女性と外国人男性で結婚したカップルより、外国人女性と日本人男性で結婚したカップルのほうがわずかに多いんだ。で、どの場合も、外国人女性は夫の苗字を名乗ってるよ。名前を変えずに旧姓のままの外国人女性は一人も知らない。でもって、僕が知ってる外国人と結婚した日本女性は全員、日本の苗字のままだね。
■外国人女性で日本人の男性と結婚したけど、夫の姓を名乗ってほしいとは言われなかった。でも、私は自分で選んで、夫の姓になったの。
このためには、日本で届け出る前に、まずイギリスで苗字を変えなきゃならなかった。そうやってもまだ、私の外国人登録カードはローマ字のまんまで、漢字じゃないのね。「日本語で公的なものに名前を書いていい」って認める覚書をカードの裏に手書きで書いてはくれたけど。
日本人の奥さんみたいに、同じ戸籍も住民票も認めてもらえない。私は、私の夫が要求したときにだけ、夫の籍の備考に添えられるだけなの。そのときですら、苗字はカタカナ。漢字じゃない。夫は苗字を私の苗字に変更しようとしてくれたけど、日本に住んでるのにそれって馬鹿げてるでしょ。私が苗字を(イギリスで)変えようって思った理由の1つは、日本のシステムにがっかりしたせいなのよ!
■この記事には多くの誤りがあるね。ライターは、日本の家族法の独特な機能に触れずに、潜在的にかなり誤った解釈を読者にさせてる。
彼女がきちんと説明できなかったことで一番重要なのは、彼女が直面している問題が実は、結婚問題でもなければ女性の権利でもない、家族登録システムだってことだね。
日本では、子供が生まれても出生証明書というものは出ない。かわりに、子供の出生は家族の戸籍に記載される。だから、父親、母親、3人の子供それぞれの出生証明書という形ではなく、5人の名前が書かれた戸籍という形になる。
これだと、市役所の仕事が楽だし、個人の前に家族っていう日本の理想も強化してくれる。ただ、結婚って話になると、こういう形式で記載されるとあきらかに問題が出るんだ。つまり、2つの家族の戸籍に登録はできないってことね!だから、夫婦どちらかの名前で新しい家族の戸籍を作ることになる。
この記事のライターはこれをはっきりと書かずに、読者に日本の結婚制度はイギリスの結婚制度と似ていると思わせようとしてるんだ。ちがうから。日本の結婚は、新しい家族の戸籍を作るってこと。子供が生まれれば、この戸籍に追加されてく。新しい家族の戸籍を作るには、結婚する以外に方法はない。
で、家族の戸籍を作る目的は、家族の歴史を記録すること。だから、新しい戸籍は、夫婦どちらかの戸籍上の苗字をつける。
一人娘が兄弟の多い男と結婚するなんて場合、女性側の苗字になることは多い。名家の娘がさほどでもない家の人と結婚するときも、女性の苗字になるのが普通。これは女性の権利とか結婚の権利なんて問題とは関係ないよ。ただ、個人に関わる状態が、グループとして記録されてるってことさ。
ライターは、それを意図的に女性の権利の問題にすりかえてる。そうじゃないなら、純粋に日本の法律を理解してないんだろうな。
■問題は戸籍か。夫婦ごとに1つの登録だから、苗字も1つってことね。
■中国の儒教の伝統だと、女性は一生涯、同じ苗字だよ。苗字はもちろん父親の苗字。
西欧のフェミニストって儒教的制度に従うことが女性の権利を支持することだって考えてるってことになるんだけど(笑。面白いもんだ。
■アイルランドには、マーフィー-ケリーやらオサリバン-レイリーやらがゴマンといるよ。良く言っても派手、悪く言えばくだらん。DNAテストだと(特にアイルランドでは)、苗字の50%はY染色体とは何の関係もないことがわかってる。
とうとう日本も苗字のハイフン化か?田中さんが青い目でブロンドってこともありうるわけだ。ガイジン、せいぜいがんばれ。
■ここスイスでは、すべての女性が参政権をやっと得られたのは1991年なの(最後のいくつかの州でね。他の州は1971年よ)。
私の娘は、父親の苗字。それ以外に選択肢はスイスにはない。それが嫌だというわけではないけれど、私自身も、たった一枚の紙切れにサインしただけで、使い慣れた苗字をなぜ変えなきゃいけないのか理解できなかったよ。
数年の間ならハイフンも使えるんだけど、いずれは父親の苗字に戻るのよね。一歩進んでは一歩後退。スイスは奇妙な踊りを踊ってるなって思うよ。
■苦い、苦い事実だよ。外国人は真の家族の一員とは見なされないっていう。健康保険だって払ってるし、家も買った。支払いもちゃんとしてる。なのに、役所で家族として登録もしてもらえない。
夫はたった一人の世帯主。役所のリストに独身で上がってたから、夫を独身だと思った紹介所からウザいメッセージがくる始末!!
■結婚と苗字の問題は日本だけの問題ではないよ。世界中で取り沙汰されてることだ。新世紀の人間社会の捉え方は、過去とは異なってきてる。問題は、私たちは個人で生きるべきなのか、家族で生きるべきなのかってこと。そして、苗字はどのぐらい重要なものなのかっていうこと。
シングルマザーの子供は、苗字をもつのか?もつとしたら、母親の苗字なのか。それができないなら、この世界でどうやって生きていくのか?この問題は、「変革」ていうもっと大きな命題のもとに語られるべきものだと思うね。
日本についてはまだいろいろと誤解があるなあ…と思いつつも、似た問題は各国にあるのだなあと。
スイス全土での女性参政権が整ったのが1991年というのは驚きましたが、スイス大使館公使のインタビューによると、差別というより、伝統を守るという意識が強かったためだそうです。
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