2011年09月04日

海外記事 - 日本人の萌え:巨大ロボット -

本日はこちらから。


なぜ、デカくてカッコいいロボットやメカが、日本を占拠しているのか?


iron28.jpg


耐えがたい暑さだった。子どもが数人、小走りで日陰を探していたが、向かった先は木陰ではなかった。

全長59フィートのロボットが人々に覆いかぶさるようにそびえたち、街を見下ろしている。鋼鉄製のこのロボットは、今月初めに新宿に現れた鉄人よりもはるかに大きい。
しかも、新宿の鉄人は空気でふくらんでいるのかもしれないが、こちらのほうは鋼鉄製だ。
が、とにかく、どちらもこれで、枚挙にいとまがない「日本にそびえたつ巨大ロボット」の仲間入りを果たしたことになる。

日本はロボットとメカに夢中だ。大きければ大きいほどいい。そしてもう1つ、日本が夢中になるものがあるとすれば、「実際に巨大ロボットを作ること」だろう。つまり、見るだけでなく、実際に動かせる巨大メカだ。

こうした巨大ロボットやメカは、「これが私たちが夢見てきたものなんだ」、「見てくれ、実現したぞ」、「私たちは出来るんだ」、そんなふうに高らかに声を上げるランドマークだ。

日本では、ファンやクリエイターたちにとって、「ロボット」と「メカ」という言葉がほぼ同義であるのは注目すべきことだろう。
英語では、あきらかに違いがある言葉だが。

現在、『Strike Suit Zero』を制作中のdoublesix(訳注:イギリスのゲーム制作会社)のゲーム・デザイナー、Ollie Barderはこう言う。
「西欧の感覚だと、少なくとも「ロボット」というと通常、人工知能をもったマシンです。一方で、「メカ」という用語は、もっと広義で、普通は「人間によって操縦される乗り物」の意味を含んでいます」。

(訳注:『Strike Suit Zero』=宇宙を舞台にしたメカアクション・ゲーム。メカデザインは、出雲重機、こと大久保淳二。)

だが、日本語では、「ロボット」が、「動くマシン」の意味でも「ヒューマノイド」の意味でも使われることがしばしばある。同じ理由で、メカのオモチャを気軽に「ロボット」と呼ぶのも珍しいことではない。

マンガの世界でロボットの人気が上がったのは、1950年代のことだった。これは、1952年の『鉄腕アトム』によるところが大きい。
しかし、『鉄腕アトム』は巨大ロボットではない。巨大ロボットが出現するのは、1956年の『鉄人28号』からだ。

『鉄人28号』のマンガは、その着想に米軍による神戸の爆撃があり、秘密兵器というイメージから生まれている。巨大なロボットのすべての動きを小さな少年が操縦する、フランケンシュタインの現代版だ。ある意味、『ビートル』のファンタジー・バージョンでもあった。


(訳注:『ビートル』=1960年代に米空軍特殊兵器センターのために、ジェレッド・インダストリーズが制作。放射能の中で人間に代わって作業することを目的に作られた、ロボット型の重機↓。)

beetle.jpg


『鉄人28号』のデザインは、丸みを帯びている。70年代後半〜80年代にかけて人気が出た、折り紙で折ったようなものとはちがう。
だが、これが今なお、戦後を象徴するロボットでありつづけているのだ。現代の新世代の子どもたちまでもが憧れる。私の息子も、2年前に神戸に等身大の『鉄人28号』が出来たときに見に行ったほどだ。

iron282.jpg

(訳注:画像はRobotWatchさんから。このほか大きな画像がたくさん掲載されています。)

息子は祖父といっしょに、お弁当をもって電車で兵庫まで出かけ、あの150万ドル以上をかけて造られた59フィートの『鉄人28号』を見た。
工費は地元の店主たちが出し合ったが、これは利益のためではなかった。この等身大の『鉄人28号』は、むしろ想像力の記念碑なのだ。
巨大な等身大のこのロボットを見て以来、私の息子はあっさりとファンになってしまった。

お台場に、あの悪名高い等身大ガンダムが作られたのは2009年のことだが、こちらは目的は利益だった。後押ししていたのは、ガンダム関連企業。
ちなみに、これが初の等身大ガンダムというわけではない(これより数年前に、日本のテーマ・パークで仰向けになったガンダムが作られている(訳注:富士急ハイランド))。

お台場の等身大ガンダム↓
lifesizegundum.jpg

富士急ハイランドのガンダム↓。
fujiq.jpg

立像の『ガンダム』は、(訳注:お台場から)静岡にある『ガンダム』のプラモデルやフィギュアを作る工場へ運ばれたが、今月、パーツになって東京へ戻ってきた(おそらく3月11日の地震でダメージを受けたためと思われる)。
見学は500円(6.5USドル)。巨大なガンダムを間近で見たり、モビルスーツの手の中にすわったり、ポーズをとって写真を撮ることもできる。

gundumodaiba.jpg

(訳注:そのほかの画像はこちらから)。


等身大ガンダムは、夢の産物であり、同時に現実の産物だ。
『ガンダム』のフィギュアやプラモデルはそもそも、ファンたちが実際に手にし、自分でモビルスーツを作れるというところに目的がある。
要は、手に入れられるものなのだ。手の中に納まるのだから、本棚にだって収まる。
だが、プラモやフィギュアでは、本物の大きさを具体的に伝えてはくれない。

そこで等身大のメカを造ることで、『ガンダム』をベッドルームから出し、現実世界にもってきたというわけだ。
こうした等身大メカは実のところは「メカ」ではない。歩かないし、武器を振り回しもしないからだ。だが、モビルスーツの法外な大きさを生で表現し、確実に一歩、現実に近づかせてくれたものだ。

日本の巨大ロボット立像は、これが最初ではない。最初の立像はファンが作ったものだった。
なかでも注目すべきなのは、MSZ-006ゼータ・ガンダムから着想を得た、非公式の1/3スケール「巨大モビルスーツ」だろう。
これは、あるガンダム・マニアが1999年に制作した。穏やかな津山の町にあり、地元の観光名物として市のサイトにも載っている。
こうした巨大メカは、(訳注:津山だけでなく)日本中に存在する。(画像はこちらから。


津山の「道の駅久米の里」にある『ガンダム』↓。
巨大Zガンダム! 久米の里@岡山 -REAL Z GUNDAM-



机上論的だし、いささか浅い見方ではあるが、これには、宗教的なつながりもある。
日本には、度を外れて大きな仏像が各地にいくつかある。寺院の巨大な金剛力士像もそうだ。
彫刻や人形造りの芸術的伝統ではあるが、純粋に大きなものへ惹かれる気持ちでもあるだろう。大きな仏像というのは圧倒的だし、現代でもなお驚異だ。

daibutsu.jpg

宗教的な意味はないとはいえ、巨大なロボットやメカの立像も本質的には、その大きさということでは同じだ。巨大仏像と同様に、遠くからも広く信奉者を集める。
ガンダムのプラモで育った私の義理の兄弟もそうだ。彼は東京まで車で半日をかけ、巨大ガンダムを見に行き、すぐに戻ってきた。「見なきゃいけないものだから」と彼は私に言っていた。

これは単に『ガンダム』に敬意を表するということではない。アニメの世界にしか存在しないと思っていたもの、小さなフィギュアだったものがいきなり等身大の現実になったことを理解したせいなのだ。

大きなモンスター、大きなスーパー・ヒーロー、大きなロボット。こうしたものの存在が大きなものになったのは戦後だ。
『ゴジラ』は『キングコング』に影響を受けてはいるが、その大きさが暗に意味するのは核戦争の強大で破壊的なパワーだった。
が、『ゴジラ』が人々の心をとらえたとき、(訳注:その暗喩とは別に)その大きさそのものが大きな魅力になったのだ。

17世紀のからくり人形にはじまり、日本のロボットの歴史は長い。メカの「日本らしさ」はそのデザインにある。
ゲーム・デザイナー、Ollie Barderは「一つには、明治維新で侍が解体されたことがあります。そのときの文化の空白から、メカが生まれたとも言える部分があるんです」と言う。Barderは『MECHA DAMASHII』というブログもやっている。

「僕の考えでは、これは日本のメカがなぜこうなのかという理由でもあります。なぜ、人間がパイロットになるのか、なぜ鎧のようなのかという謎を解く鍵です。日本のメカは、一種の魂の復権を助ける手段なんです」。日本のメカがもつ巨大な剣は言うまでもありません、とBarderは語る。
「少なくとも僕にとって、日本のメカというのは、確実に武士道の強い要素があるんです」。

となれば、等身大立像は、武士道の要素を物理的に具現化したものでもあるということにもなる。同時に、「ここまでできるのだ」という記念碑でもあり、できるかもしれない可能性の記念碑でもある。

だからこそ、実際に動く60フィートのメカを作るとしたらどのぐらいの経費がかかるのか議論したり、計算しようとしたりするマニアがいつもいるのだろう(訳注:現実にガンダムを作った場合、材料費だけで800億円弱。こちらのサイトから)。
沖縄でガンダムにインスパイアされた立像を作った人がいるが、この人もまたいずれは動かしたいと熱望している。

今現在は、等身大の動くメカを造ることは、費用効率が良くない。たぶん、私たちがカッコいい宇宙服を着て、宙に浮かぶようになった未来の話だろう。
それでも、動くメカを作るだけでなく、それを売ろうという日本の企業を止めることはできない。

「ロボットのマンガやアニメを見て育ちました」と榊原機械でランドウォーカー・プロジェクトを率いる38歳の南雲正章は言う。

「どうして動くメカを作るのか、ですか。逆に、なんで作らないんです?」
ランドウォーカーは高さ12フィート、ガソリンで動くメカだ。ペダルで操縦でき、空気砲からはゴムボールを発射することもできる。購入も可能だ。価格3600万円(46万7000ドル)(税抜)。


ランドウォーカー↓
Japan has invented Land Walker


購入する場合、製作には約1年10ヶ月かかるが、すでに榊原機械はランドウォーカーを2台販売済みだ。
とはいいつつも、このゴムボールを発射し、音を立てて歩く本物のメカを買う50万ドルをもってないというあなたのために、榊原機械はレンタルの問い合わせにも応じてくれる。

こういう(ランドウォーカーのような)大きなロボットやメカには何かがある。心の奥深くの琴線に触れ、またたくまに感情を着火させる何かが。普通なら、「すげえ!」なんて声がとっさに上がるところだ。
そしてまた、なにが可能でなにが不可能かを見せてくれるものでもある。

日本はまだ、走って飛んで攻撃できる59フィートの本物のメカを開発するには至っていない。けれど、等身大の立像は、夢以上のものだ。人類の夢に向けて、心を鼓舞してくれるものなのだ。

今年の夏の初め、壬生町の若者たちが、ある決断をした。壬生町は、中国でオモチャ製造が勢いを増したせいで衰退してしまう前までは、日本のオモチャの首都だった場所だ。
壬生の若者たちは、町おこしの1つとして、等身大のガンダム、ザクを製作しようというのだ。
これを悪くなど言えるはずがない。なぜなら、足を地につけ、空に頭を突き上げた等身大のロボットやメカは、夢を見たいという気持ちを超えて、夢を現実にしたいという気持ちの象徴なのだから。●



この記事についたコメントは明日。



↓励みになりますので、よろしければ、ひとつ。

人気ブログランキングへ

   
posted by gyanko at 09:00 | Comment(151) | その他 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
×

この広告は1年以上新しい記事の投稿がないブログに表示されております。