2011年10月14日

海外記事 - 法隆寺の五重塔が地震で倒壊しない理由 -

本日は、あっさりと。
こちらから。


日本最古の建物はどうやって地震をかいくぐってきたのか?

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法隆寺の仏塔が建てられたのは607年だ。以来、日本は、マグニチュード7.0以上の地震をなんと46回も経験してきた。この122フィートの建造物が、幾度もの地震を乗り越え、今もそこに建っているのはどうしてなのだろうか。

五重塔の建築技術が、仏教とともに中国から日本にもたらされたのは6世紀のことだった。
が、大陸では、仏塔というのは伝統的に石で作るものだった。石造りというのは、日本の地震の起こりやすさや年間雨量の多さを考えると、単純に言って維持が難しい。

そこで、数々の試行錯誤の果てに、日本の大工たちは、地震の多い土地柄に合った建築法を編み出した。建築法の3つの点で変更したのである。
庇(ひさし)を幅広で重いものにし、各階を独立させ、かつ衝撃を吸収する心柱を使うというものだ。

日本は雨の多い国だ。おおざっぱに中国の年間降雨量の倍だ。このため、雨水が建物から流れ落ち、土台周辺の土壌に降り注ぐと、五重塔がいずれ沈んでしまいかねない。
これを防ぐために、大工たちは、庇を壁からかなり離して長く造った。建物の全幅の50%以上にもなる軒だ。この巨大に張り出した部分を支えるために、片持ち梁を庇ごとに採用している。

また、建造物の著しい燃えやすさへの対抗策として、庇には瓦が積まれ、木造建築物に火が燃え広がらないようになっている。

ちなみに、仏塔というのは本当に燃えやすい。日本で最も高い木造建築物である東寺の五重塔は、824年の創建以来、3度、落雷によって燃え落ちている。落雷による火事というのは、仏塔が崩落する最も大きな原因だ。
このため、屋根のてっぺんに大きな金属の尖塔を取り付け、避雷針にしている。

実際、(訳注:地震より落雷のほうが崩落を招きやすく)ここ1400年間で、地震だけが原因で倒壊した仏塔として知られているのは、2件のみ。東大寺の2基の仏塔だけだ。

幅広で重い庇は、火災防止のためだけではなく、巨大な安定装置としても機能している。庇によって、膨大な慣性が働くため、建造物が(地震の際に)横方向に揺れ動きだす。つまり、強震が襲っても、この庇があれば、建物は振動するというより、むしろ柔らかく揺り動かされるというわけだ。

法隆寺の五重塔は、現代建築に見られるような、中央の耐力柱がない。上に行くほど細くなっていく構造のため、耐力垂直柱で繋げている部分は一つもないのだ。(訳注:原文ではbeam(梁)ですが、コメントでご教示いただき、文意から見ても「柱」が適切かと思われます)。
要は、各階が強固に繋がっているわけではなく、ただ単純に重ねたところを取り付け具でゆるく留めているのみなのだ。

この構造は実際、地震国では大変な強みになる。地震の際、上下に重なり合った各階がお互いに逆方向にくねくねと横揺れするため、強固な建物にありがちな揺れ方はせず、振動の波に乗った液体のような動きになるのだ。

一方で、あまりにも各階が柔軟になりすぎるのを避けるために、日本の大工たちは、とある独創的な解決法に行き着いた。これが心柱だ。見た目は、大きな耐力柱のようだが、実際にはこれは建物の重さをまったく支えていない(重さを支えているのは、外側12本、内側の4本の柱を組んだもの)。

心柱は、松の巨木の幹から出来ていて(訳注:法隆寺の心柱はヒノキ)、屋根の下から建造物の中央の軸となって吊り下げられている。
心柱の根元は地中に埋められることもあれば、地面の上に軽く置かれているだけの場合もある。ときには、地面に接触していないことすらある。……つまり、まさに自由な状態で吊り下げられているだけなのだ。

心柱は、大型の同調質量ダンパーの役割となって、地震の揺れを軽減する助けとなっている。各階の床が心柱にぶつかることで、崩壊するほどの横揺れを防ぎ、揺れもいくらか吸収しているわけだ。
言うなれば、基本的には、十分な質量のある不動の振り子であり、より軽い各階の床があまりに自由に横揺れしすぎないように歯止めをかけているのだ。

現在でも、これと同じダンパー技術が使われている。台北101(台北国際金融センター)は、92階から巨大な、730トン4階分の鋼鉄の振り子をぶら下げ、強風でビルが横揺れするのを防いでいる。ニューヨークのシティコープ・センターもまた、ハリケーンの際の揺れを防ぐのに、400トンのコンクリート・ブロックを使用している。●



建築用語がまったくわからず。load-bearing beamは日本語ではどんな用語になっているのか、ご存知のかたがいらっしゃったら、ご教示ください。


コメントはこの記事についたものと、こちらから。数が少ないので、ほぼすべてお送りいたします。


■こういうのっては長く持つんだよな。なんたって、ちゃんと建てるために時間をかけてるんだからさ。昨今は、ここまで持つよな建物ってそうそうないんじゃないの。

■ハースト・キャッスル(訳注:米国の新聞王ハーストの大邸宅。1919年完成)を建てたエンジニアって、ここからアイディアを頂戴したのかもな。大広間とかネプチューン・プールの屋根とかって、固定するより「浮かせて」あるから地震を耐え抜いてきたって評価されてるじゃん。

↓ハースト・キャッスル
hearstCastle.jpg

 ■↑ハースト・キャッスルを設計した女性って、なにか前代未聞のことやったんでしょ。強化コンクリートを使ったり。当時は一般には使われてなかったようなこと。

   ■↑それはその通り。まあ、プランには大きな欠陥が1つあったんだけどね。記憶が確かなら、砂浜の砂を混ぜて使ったせいで、普通の砂より、腐食が早くなっちゃったらしい。

■いずれこの法隆寺に行ってみたいんだ。まだ、そうなったらいいなっていう希望でしかないけど。

■構造工学と建築においては、垂直梁は柱って呼ぶ。水平ものだけが「梁」。水平と垂直とか使うと、混乱するだろ。

■あのさ、これ、日本最古ってだけじゃないよ。「世界」最古じゃなかった?

 ■↑ノルウェイにある木造教会も、似たような年代の建造物じゃなかったっけ?(訳注:ノルウェーのウルネス教会の創建は1130年前後と推測されている。)

  ■↑どうせこんなんだろ!(笑↓。

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■すごい記事!五重塔の、あの松ぼっくりみたいな形って、単純に美意識のなせるわざかと思っちゃってたよ。

■だから、西海岸の建物は、レンガじゃなくて木で造るわけですよ。地震耐性が段違いだからね。森に住んでるのも、そんなこともあってだな。

 ■↑ロスとかサンディエゴのどこが森なんだよ?

  ■↑太平洋岸北西部の話だって(訳注:米国アラスカ州からカナダのブリティッシュコロンビア州にかけて)

■台北101はマジで見所だぞ。こういうダンパーってのはすごいもんだなあ。五重塔の中のダンパーについて学びたくなるよ。
台北101のダンパーはこれね↓。みなさんを啓発するために。

Taipei 101 Damper movement on 12 May 08


■まさにためになる情報だったよ。妻といっしょに、この寺を見に行ったんだ。本当にすごい場所だった。写真もすごいのが何枚が撮れた。

そのときも不思議だったんだ。なんでずっと壊れないで建ってんだろって。そのときは、設計が大事なんだとは思いもしなかった(記事にあるように、中央柱がまったくないのが大きいんだな)。

記憶が間違ってなければ、この寺から2ブロックほどくだったところに、もうファンタスティックなトンカツを出す小さい店があってさ(トンカツってのは、パン粉をまぶしてあげた豚肉)。いやもう、……そのためだけに戻りたいぐらい。

■きわめて興味深い記事だったよ。たぶん、僕だけだろうが、こんな昔の人々に建築の知識があったってことに驚かされた。いや、昔の人がこんな知識をもってたってことがうれしくもある。

こういう様式の建物は、実は本でしか見たことがないんだ。だから、すごく見惚れてしまう。今でもまだそこに建ってるってことがまたうれしいじゃないか。



法隆寺の五重塔の相輪の下には鎌が4丁刺さっているとか、開けてはならない伏蔵があるとか、いわゆる法隆寺の七不思議だけでもゾクゾクいたしますが、再建の理由もわからず、建築学的にもまだ謎が多いあたりが、法隆寺の魅力なんでございましょう。



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隠された十字架―法隆寺論』は、真偽のほどはとにかくとして、げに恐ろしきは人間なり…という怖い本でございます。夜中に一人で読んでぞぞぞっとしたいかたに。


   
タグ:法隆寺
posted by gyanko at 01:03 | Comment(123) | その他 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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