2011年10月29日

海外記事 - ハロウィーンで芸者ガールの仮装をするのは人種差別?-

本日は、こちらから。


「私たちは文化であり、誰かのコスチュームではない」:学生たちが、人種差別的ハロウィーンのコスチュームに反対するポスター・キャンペーンを立ち上げる。

ハロウィーンといえばパーティだ。ドレスアップして、怖いけれど他愛のないちょっとした変身ごっこを楽しむ。

が、ある大学生のグループが、ハロウィーンの衣装に異議を申し立てている。彼らが反対しているのは、マイノリティの民族を傷つけ、辱める可能性のある衣装に対してだ。

オハイオ大学の学生グループ、『Students Teaching Against Racism in Society(社会の人種差別に反対し、指導する学生たち)』が、ハロウィーン・パーティのドレスにありがちな、人種のステロタイプ化に焦点を当てたポスター・キャンペーンを考え出した。

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(↑写真:文化であって、衣装ではない。ハロウィーンの人種差別的仮装衣装に反対するこのキャンペーンは、オハイオ大学の学生グループ、『Students Teaching Against Racism in Society』によって立ち上げられた。)

キャンペーンの謳い文句は、「私たちは文化であり、誰かの衣装ではない」というもの。ポスターではこの言葉とともに、さまざまな民族の人々が、彼らの文化を当てこすっているとされる衣装を着たハロウィーンのパーティ参加者たちの写真を手にして登場する。

記事に載せた写真の上には、「「僕、だぁれだ?」なんて場合じゃない。これは、良くないことだよ」という言葉も添えられている。

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(↑写真:「「僕、だぁれだ?」なんて場合じゃない。これは、良くないことだよ」。ポスターは、毎年、ハロウィーンの仮装衣装に現れる、粗野な人種者別主義や文化的ステロタイプに焦点を当てている。)

現在、このキャンペーンはオンライン上で、「この衣装は事実、人種差別なのか」、それとも「ただの罪のない楽しみ」なのかという論争を引き起こしている。

あるブロガーは2日前、このポスターについて取り上げたところ、3000ビューまでアクセスが増え、コメント欄を閉じざるをえなくなってしまった。「侮辱的な人種差別主義者たち」からのコメントが集まってしまったのだ。

また、ブログ、Eternal Sunshine of the Spotless Mindを運営するメリッサ・シピンは今回のキャンペーンを「colored(原文ママ)コミュニティにとって公共広告の役割を果たしていると述べている。


訳注:『colored(有色人種)』:有色人種を表わす言葉としてのcoloredは現在も米国では広く使われている言葉のようですが、議論はあるものの、政治的には正しくない(=差別的意味合いがとれる)とされているようです(Wikipedia)。発祥が植民地時代にさかのぼり、黒人蔑視の時代をくぐってきた言葉のためではないかと思われます。このため、ブログの原文を引用する際に、サイト側が(原文ママ)と断り書きを入れています。)

彼女はこう言う。「リスペクト、人間の尊厳、異文化を受け入れる心の問題だ。(キャンペーンのポスターは)シンプルに、ハロウィーンのコスチュームを選ぶ前に考えてみてくれ、と人々に訴えているのだ。」

彼女はこうも付け加えている。「こうしたコスチュームに共通するのは、人々が他文化を茶化しているということ。単純な話、良いことではない」と。


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ポスターの1つに写っているのは、若いアラブ系アメリカ人の男性だ。彼の手には、アラブの服に自爆用のダイナマイトのベストをつけて、ハロウィーンで大騒ぎする男の写真が握られている。

また、別のポスターでは、ネイティブ・アメリカンの男性が登場する。彼の手に掲げられているのは、顔にペイントを施し、髪を編み込み、「Me wantum piece ... not war(求めてるのはヘワです。センソーちがう)」というプラカードをぶら下げた2人組の女性の写真。

3枚目のポスターは、アジア系アメリカ人の女性だ。手にしているのは、絹の着物にぶ厚い白塗りの日本の芸者ガールの仮装をした女性の写真。

この記事があげられたHuffington Postでは、ハロウィーンの衣装が不愉快で攻撃的なものなのかどうか議論するコメントで溢れかえった。

人種的ステロタイプ通りの仮装をすることは何も悪いことではないというのが、多勢の意見だ。ユーザーの1人、Masterkcb1は、「みんなもっとユーモアのセンスをもたなきゃだめだ。なんでも深刻に受け取るのはやめろ」と書き込んだ。

「(メキシコ人以外が)メキシコ人の無法者の衣装を着ちゃダメだっていうんなら、幽霊の仮装だって当人以外はしちゃだめってことになる。褐色の肌じゃないってだけで、相手にとって不愉快な攻撃になるってことなのか」と。●



この記事についたコメントです。
似たような意見が多かったので、目立ったものを(賛同数が多い、あるいは否定数が多い)。

■それで、白人文化を人種差別的にステロタイプ化したやつのポスターはないの?……ああ、そう、なるほど。白人だけが人種差別主義者なんだな。(+895)

■どうしてこういうやつらってのは、成長しないんだ?我々はみな誰もが、侮辱というものに付き合わされている。生きてりゃ必ず、他人から不愉快な気分にさせられるもんさ。

無礼な人々もいれば、気持ちの良い人たちもいる。自分にとっては好ましくないジョークを言うやつらだっている。世の中ってのはそういうもの。そして、これからもそうでありつづけるんだよ。
頼むよ、現実ってもんを理解してくれ!(+490)

 ■↑いや、ちがうね。嫌だと思ったら、侮辱につきあう必要はない。我々には、それを嫌だという権利がある。

私自身はハロウィーンの衣装に嫌な思いをしたことはないが、この学生たち、素晴らしいと思うよ。
ただ、お楽しみとそうじゃないものの間には薄皮一枚しかない。イギリス王室のハリー王子なんて、そういうことを人よりよくわかってるはずだ。パーティにナチスのコスプレで行ったやつだからね。(-187)

まあ、ハリー王子の場合は、言い訳もしようがある。王室の伝統に従ったわけだからな。つまり、父親の叔父であるエドワード8世が抜けた穴を埋めただけだ……って、これだけ言やわかるだろ。(訳注:イギリス国王だったが、既婚のアメリカ人女性と恋に落ち、退位。気に入らないことがあると泣き叫ぶなど、年不相応の幼い面があったと言われる。)

■馬鹿すぎるだろ。ユーモアのセンスがない学生連中が、火のないところに煙を立たせてる。

こんなことが続いて、こういう馬鹿が国を治めるようになったら、なにをやるにも「間違ってる」って言われつづけて、息をするのもままならなくなっちまうよ。とにかく、世の中ってもんをちゃんと知れって。(+452)

■政治的正当性(訳注:≒差別語禁止、差別されている人を擁護すること)ってのは、ワケのわからん方向に行ってるわ。

こんなんだと、カウボーイの仮装もダメ、天使の仮装もキリスト教徒を馬鹿にしてるからダメ、間違った受け取られかたをしかねないから海賊もバイキングも魔女もダメってなことにならないかい?かと思えば、ある信仰団体の人たちの中には、自分たちを魔女って呼ぶ人たちもいるしなあ…。

カボチャの扮装なら、文句言われない?(+131)

■現実的になれよな。傷つかずに済ませたいんだろうが、面倒くさがりやめ。ありゃ、ユーモアってもんなんだ。そうはキミらは思ってないようだが。(+119)

■衣装だよなあ。うん、まあ、文化的ステロタイプを大げさにしたやつもあるけど、異文化が嫌いだからとか、馬鹿にしてるんじゃないよ。単純に、ハロウィーンだからってだけ。

今年もし僕がスマーフの仮装をしたら、低体温症で死んだ人たちを茶化してるってことになるの?ならないだろ。馬鹿馬鹿しい!
それに、言わせてもらえば、イスラムの自爆衣装がイスラムを「人種差別」してるってことに戸惑うよ。イスラムは宗教であって、人種じゃない!!!!!(+108)

↓スマーフ(左:ベルギーのコミックのキャラクター)、そのコスプレ(右)

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■え?……ハロウィーンって、幽霊とか魔女の仮装するもんだとばっかり思ってたけど……!(-10)

■よくもまあ、こんな写真をネットから集めてきたもんだ。「さて、人種の溝をさらに深めよう!」ってわけか。

おい、ガキども、お前ら自身がステロタイプな仮装をしたっていいんだぞ?文化ってのは、衣装の1つや2つで定義されるもんじゃない。
自分が男だとしても、大統領のファースト・レディの格好がしたいと思ったら、できるんだ。その権利がお前らにはある。

民族衣装を着た誰かの写真を女の子が手にとって馬鹿にしてるって構図ではないにしてもさ、このポスターこそ人種差別ってもんだろ。写真の子たちの民族衣装の仮装が文化全体を象徴しているものではないんだし。(+136)

■爆笑せざるをえないよ。(+124)

■仮装衣装ってだけじゃん。慣れろ。(+194)

■僕は2つの理由でたぶん稀な人間に入るだろうと思う。アフリカの非常に希少な少数民族の出身なんだ。前はジンバブエに住んでたけど、肌の色のせい(訳注:≒白人のせいで)で今は絶縁状態。石油の出ない国なんて、誰も構っちゃくれないしね。

僕はユーモアを解する人間だ。やりたいってんなら、フェルスクーンズ(訳注:南アフリカの、なめしていない皮でつくった靴)に、黒のボクサーショーツ、カーキ・シャツ、それにブッシュハットって仮装をしてくれてかまわんよ。(+143)


訳注:ジンバブエ:かつてのイギリス領南ローデシア。人種差別政策のため、国土のほとんどは白人農場主の私有地となり、黒人住民は先祖の墓参りの自由すらなかった。黒人による民族自立を目指し、ローデシア紛争が勃発。結果、ジンバブエ共和国が成立し、大統領に黒人のムカベが就任。今も、反英感情または反白人感情が非常に強い。)

■面白いじゃん。オレ、黒人だけど!この世界のユーモアはいったいどうなっちゃったんだよ?(+52)

■金と時間の無駄。オレみたいな異教徒が、この大事なお祭りに文句を言い出したらどうするつもり?オレたちの宗教じゃ、ハロウィーンじゃない、サワーンってんだ(訳注:ハロウィーンはもともとアイルランドのケルト神話に基づいた文化)。

サワーンがアメリカ習慣に乗っ取られてハロウィーンになったんだぞ?無差別にテロされないように、大人が子どもにお菓子を配るなんてお祭りにされちゃったんだぞ?そのへんまで、このキャンペーンは面倒みてくれんのか?くれないだろ。(+33)

■多くの人にとっては、「とにかく企画に乗ってみよう」とか、「自分が政治に意識的であり、成熟した大人になりつつあるってことをデモンストレーションしてみたい」とかってのは、学生生活の青春の1コマではあるよね。
まあ、残念ながら、このキャンペーンは真逆の効果を及ぼしてるけど。(+28)

■他の人になりすますのが何が問題?気楽にいこうぜ。西部の無法者になったところで、なにかを名指しで攻撃してるとは、まともな神経してたら思わんよ。

けど、イギリス人としてだ、イギリス国旗をまとって、ビールジョッキを手にして、「オレ、イギリス人!」ってのたまうのは許さん。絶対に。そりゃあまりに、言葉にできないぐらいに侮辱的すぎるからな。(+23)

■こういうことをやってくれたってのが実際、すっごくうれしいね。程度の問題なんだ。ある程度ならOK.でも、歴史に関わることとなると、よろしくないし、今後も大丈夫にはならない。

アメリカは人種差別と、自由と平等なんていう嘘で、世界一嫌われてる国だ。……うん、こういう衣装ってのは、多くの問題の端緒に過ぎないんだよ。一瞬、ちょっと面白いけど、その記憶を思い出すと、もう面白くもなんともない。

こういうのは厄介だし、境界を作ってしまう。溝も大きくなっていく。リスペクトの気持ちをもとうよ。(-223)

■ちょっとくだらないって思ってしまった。ハロウィーンに芸者の仮装をしたことあるの。そういう文化が面白なって思ったからであって、茶化したわけじゃない。農夫とか、ドイツの居酒屋の娘とかの格好をしたら、農夫やドイツの居酒屋の娘を侮辱したことになるの?(+58)

■もし僕が黒人が白人の仮装をしている「こういうの良くないよ」ってポスターを作ったら、僕は人種差別主義者って言われるだろうね。
僕が黒人のひとに、それは人種差別だからハロウィーン用に顔を白く塗ったりするなって言ったら、みんなに嘲笑されるって。(+50)

■オレたちは人間であり、人種だが、選べば馬鹿にもなれるって話だな。仮装用の衣装だろ、ただの。誰を定義したものでもない。不特定の帽人間みたいなもんだ。

子どもみたいなマネをするな。そうやってると、子どもとして扱われるんだぞ。(+48)

■言いたいことはわかるがな。黒人みたいに顔を黒く塗るのが、ネガティブなステロタイプを反映したものだからってんで、もはや「適切なハロウィーンの仮装」とは考えられえてないのもだからだろ。他人の感情に配慮することが、なにかいけないことなのか?(-129)

■だったら、司祭とか修道女の仮装なんてどうなるんだ?(+52)

■黒人として、非白人文化側が、白人に人種のことでからかわれて怒るのは偽善的だと思うね。あ、けど、エディー・マーフィーが白人の顔になって、白人をからかってみせたのは爆笑したなあ。このへんは、明らかに「超えていい一線」だよな。
まあ、ただ笑えるなって思うことはあるね。白人がスラム街の(黒人の)女の子の格好をしたりさ。え?そんなこと言うと訴える?どうぞw。(+152)

■いかにもアメリカ的だよなあ。……基本的に、ハロウィーンっていやパーティ、で、仮装。
イギリスも似たようなもん。FacebookやTwitterにたかる脳みそのない連中。アメリカの文化をそのまま猿マネしてイギリスにもってくる。くだらないわ。

はっきり言って、ポスターの衣装が人種差別とは思わない。ちょっと不愉快なのはあるけど。(-60)

 ■↑別にアメリカ的でもなんでもない。ハロウィーンはキリスト教の興る前、アメリカが発見される前から祝われてきた行事だ。亡くなった近親者の魂を祝福するためのものだ。(+44)

■(写真のハロウィーンの仮装は)別にあなた個人を当てこすってるわけじゃないでしょ。気に病むのは、あなたの責任。(+99)

■『蝶々夫人』の上映もヤバくなるぞ、これじゃ……!(+134)

■文化的な衣装を着るのか、人種差別?日本の衣装はなにがダメなの?や、自爆の衣装がやり過ぎなのは理解できるけど。

とまれ、現実を見ろってこと!(+158)

■となると、……チャーリー・シーンの仮面もかぶれない?(+120)

■まちがってるだろ!衣装であって、文化じゃない!!!(+123)

■不愉快に感じる人々がいるかもしれないということは理解できる。自分としてはユーモアのセンスはもってはいるが、冗談にしちゃいけないものがあるってことだ。

オレは肌の色が黒いんだ。だから、イスラムのテロリストだの、ビンラディンの息子だの言われてからかわれる。本気で言ってるわけじゃないんだ。でも、やっぱりオレとしては笑い飛ばせない。

ハロウィーンにどんな格好をしたっていい。でも、やりすぎないでほしい。どんなときでも問題なのはモラル。それさえあれば、問題はない。(-69)



「ユーモアがない」、「現実的じゃない」、「慣れろ」、「大人になれ」というコメントが多勢。最後のコメントなどは、さほど暴論でもないのにこのマイナス評価の重なりよう。熱くなってるなあ、という。


とまれ、彼らの目標がハロウィーンの衣装に融通の効かない社会的コードを作ることそのものではなく、「無意識にやっていることを少し考えてみてくれ。そこにまったく異文化に対する「軽視」はないと言えるか?これを不愉快だと感じる人々がいるかもしれないことを考えてみたことはあるか?」という問いかけであり、無意識の中に潜んでいる問題を顕在化させる契機作りだとすれば、大成功だったんじゃないでしょうか。
結果、目論見通り、こうして喧々囂々の議論がネットで巻き起こったわけですから。


もっとも、このたびの問題は実のところ、他民族の衣装を着ることではなく、リスペクトもなく着てるように「見える」ことなんだろうと思います。

(日本人から見れば)化け物じみた化粧と着物の着付けとか、ネイティブ・アメリカンの人々のつたない英語を意図的にまねたプラカードとか、アラブは全員テロリストと言わんばかりのダイナマイトとか、笑いをとるために寸劇で出てきそうな情けないロバとか。
激怒はしないまでも、どう考えても良い気分はしないだろうというのが彼らの主張でございましょう。

が、ここで、日本人的な話をしますと、人様の楽しみに水を差すのも大人げないというのがある。しかも、無礼講に近い伝統行事。先方に悪気がないのもあきらかに見てとれる。……微妙です。

この「もやっとはするけれども、断じることは難しい部分」によく手をつけたなあ、と思います。いろんな意味でさすがアメリカ。


<お知らせ>

一身上の都合で、来週の中ごろまでお休みいたします。すみません。11.05.2011



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posted by gyanko at 21:36 | Comment(464) | その他 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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