2011年11月16日

海外記事 - 日本の「ブスドル」と侘び寂びの心 -

本日はこちらから。
レギュラー・シリーズの「今週の日本の萌え」でございます。


日本では不細工なグラビア・アイドルがなぜ伝説化するのか?

busudoru1.jpg

さてまたいつもと同じ今週がやってきて、21歳の藤子まいのフォト・セッションがまた開催された。ビキニというよりむしろ紐といったほうがいいストリング・ビキニはもうお馴染みだ。

藤子は少しも戸惑っていなかった。遺伝子が授けた彼女のスタイルに誇りをもっていた。
だが、カメラマンたちはにじり寄るようにして、彼女の顔ばかりにパシャパシャとシャッターを切った。
彼女は笑いながら「喉から心臓が飛びてそうな思いをします。でも、こういう、耐え難くはあるけれど興奮する状態が大好きなんです」と語る。

西欧は日本を「キュート、kawaiiの国」と呼ぶ。日本にはいたるところに、可愛らしい完璧なキャラクターがいるように思える。アイドルというキュートな少女たちが歌を歌い、写真のためにポーズをとっている国なのだ。

しかし、日本が萌えるのは、なにもキュートなものばかりではない。
日本は、藤子まいを可愛いとは言わないが、「ブスドル」、つまり不細工なアイドルと呼んでいるのだ。

日本では、萌えの対象になるグラビア・アイドルやモデルは、息を継ぐ間もなく次々に登場してくる。そこから頭一つ抜け出るために、なにか自身の特徴的なものを打ち出すグラビア・アイドルたちもいる。たとえば、メガネのグラビア・アイドルだとか、レトロゲーム・アイドルだとか。

藤子まいの場合、それは「可愛さ」ではない。

藤子にとって、「ブスドルの魅力は、完璧に癖になる臭いチーズのようなもの」なのだという。標準的な商品に飽きた日本のアイドルのファンたちが、彼女のとりこになっている。いや、むしろ、藤子まいのようなブスドルこそ、日本の美学の現代版だ。

グラビア・アイドルとはそもそも、ピンナップ・ガールのことだ。「グラビア」は元は、輪転グラビア印刷の略語で、雑誌、ポスター、ポストカードといったものに使われる印刷処理をいう言葉。

この「グラビア」アイドルたちは、マンガやゲーム雑誌の「グラビア」、つまり写真印刷部分に登場し、写真集やDVDを出す。全裸に限りなく近いこともままあり、10代のアイドル歌手たちより性的に露骨だ。

たとえば、藤子はミルクでずぶ濡れになってみたり、ソーセージを舐めてみたりもしてきた。だが、彼女がゴールデン・タイムのテレビ番組で取り上げられたのは、そのおかげではない。

ときは2007年。藤子は若く、……いや、それはもう不安になるほど若い16歳だった。
だが、若さや表面の輝きに重きを置く、とある世界では、それはすでに「若さの領域」の終わり、つまり「大人」になりかけている年齢でもあった。

疑問の余地があるとはいえ、こうした(訳注:若さを偏重する世界ではもう若くはないという)背景があったというのに、ネットの掲示板やサイトは、秋葉原や大阪のでんでんタウンの店で売り出された彼女の初DVDに注目した。
それは彼女のスタイルではなかった。年齢ですらなく、彼女が中学生だったことですらない(訳注:高校生)。
ネットで次から次に書かれる言葉がみな同じだった。「彼女はブスだ」と。

日本語では、「ぶ」という言葉の響きは良いものではない。我々(西欧の)人間にからすれば、「武士道(侍の規範)」、「武士(戦士)」、「ブライアン(まあ、僕の名前だけど)」というカッコいい言葉の印象が強いが、一方で、「ブーブー(豚の鳴き声)、「豚」、「不細工」、「ブス」といった言葉もまた取り沙汰され、何度も何度も使われる。

人を「残念な容姿」だと言うのは失礼なことだ。たとえ、犬に対してであっても、(容姿をそしることは)失礼だ。だが、ネットはネットである。藤子に対して、襲い掛かり、言葉の暴力を振るった。

「私のチャーム・ポイントは、もちろん顔です」と藤子は笑いながら言う。「ブスドルですから。間違いなく、私の欠点がセールスポイントになってるんです」。

実際のところ、藤子はそこまで不細工ではなかった(事実、ブスじゃない)。ブスというより、彼女は典型的なアイドルの鋳型にはまらなかったのだ。要は、小さな顔、小さな鼻、小さくて可愛い口、大きな目という鋳型に。

そして、もっと大きな影響があったのは、彼女が残念なヘア・スタイルの犠牲者だったこと。このせいで、彼女は、典型的ブスとされている、日本のコメディアン・トリオ、森三中の大島美幸と比較された。

そこへ、日本のテレビ局。やはりテレビはテレビだ。彼女に飛びついて、ビキニ姿の彼女を持ち出し、大島と比べた。

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藤子は語る。「私はたった一人のブスドルなんですよ!」。

だがしかし、だ。日本では、アイドルにとって不細工は悪いこととは限らない。
東京大学の研究者であり、アイドルについての本を共著で出版予定のパトリック・W・ガルブレイスは、「少なくとも1980年代以降、生まれつきの美貌と素質に欠けていることを、日本のアイドル・ファンやプロデューサーたちは賛美してきました」と言う。

「プロデューサーという立場から言えば、アイドルの「才能」というのは完全に作り物です。代替品は簡単に見つかる。だから、アイドルは一生懸命努力するし、ファンにとっては近づきやすい、応援しやすい存在なんです」。

1980年代、多くのアイドル・グループが、可愛いけれど歌えないか、可愛くないけれども歌える女の子たちによって率いられていた。そうした「欠点」が、彼女たちの魅力の一部だったのだ。

日本という国は「美」に執着しているように見えながら、同時に「欠けている」ことにも魅了されているように思える。

名高いコメディアン・エージェンシー、吉本興業は毎年、最もハンサムな男性と美しい女性をランク付けするのだが、もちろん最も不細工な人のランク付けもする。
これはコメディアンばかりの話ではない。2ちゃんねるでは、アイドル・ファンたちが、AKB48で一番可愛いのは誰かを議論するだけでなく、一番不細工は誰かを言い合うのも知られた話。

今年の夏、日本のタブロイド雑誌、『BUBKA』も、AKB48で一番不細工なメンバーをランク付けした。一位は仁藤萌乃。僕は以前彼女にインタビューしたことがあるのだが、僕にとって彼女は不細工などではない。

↓仁藤萌乃。
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が、Googleで彼女の名前を入力したときですら、最初の結果は「ブス」だ。
ブスと呼ばれること、特にネットでそう呼ばれることは残酷なことだ。あきらかに自尊心に関わる問題だ。

しかし、こうした痛烈な一撃のせいで、彼女に人々の気持ちが集まることが実際にあるのだ。
一見、可愛いだけのアイドルの世界だが、パッと見で推し量れるものではない。彼女は不細工だと言われてはいるけれども、だからこそファンがいる。ファンはそこが好きなのだ。

「より平均的で、近寄りやすく、より人間らしく見えるアイドルを作るには、さまざまな方法があります。たとえば、欠点やミスについて(訳注:アイドル自らが)語ることです」とガルブレイスは言う。

「多少、(訳注:ファンにとって)聞きたくない嫌ことになってしまう場合もあります。この場合、ファンを落ち込ませたり、(アイドルが)上の立場として立ちはだかっては、アイドル生命それ自体の終わりになってしまいますね」。

「とはいえ、多くのファンにとっては、アイドルの不完全さ、それプラス、他のアイドルと比べたときに個性的な資質があることが、アイドルの大きな資産なんです。「欠点があるのに愛されてる」んじゃない。正確には、「欠点があるからこそ愛されてる」わけです」。

ガルブレイスに言わせれば、藤子まいのようなブスドルは、この論理の極端な顕れだという。

この論理の根底にあるものこそ、まさに日本的だ。
「ヘタウマ」という概念がある。「heta(ヘタ)」とは何かが下手であること。他方、「uma」とは上手なこと、技術があること、美味しいこと、素晴らしいことを意味する。

この用語は、アートや音楽の分野で1980年代に使われ、のちに、書道でも、見かけは単純(稚拙なことすらある)なのに、実際は複雑な作品を指す言葉になった。

元メガデスのマーティ・フリードマンはかつて、「ヘタウマ」は日本のポップ・ミュージックでお気に入りの1つだと語ったことがある。
あまりにも単純すぎるように見えながら、実際は深く、複雑なのだ。

「ヘタウマ」は、日本の中核をなす伝統的美学、侘び寂びにも関係してくる。
西欧の芸術が「完全」に向かって奮闘したのに対して、侘び寂びは「質素」と「非対称」がともなった「不完全」、「未完成」にこだわった。

侘び寂びの美学として一番、理解と評価を受けているのは、つつましやかな日本の陶器、古い京都の茶屋、石庭だろう。

完全ではないもの、いつしか消え去るものへの愛情が、「ヘタウマ」へと尾を引き、そしてそう、不細工なアイドルにも響いていったのだ。

こうした(訳注:不完全=ブスを愛おしむ)流れが、藤子に嫌な思いをさせはしなかったかって?
最初はそうだったかもしれない。確かに、日本のネットは彼女に群がって襲い掛かった。
だが、そのために結果として、娯楽産業自体もが、彼女を否定してしまったのかといえば、だ。
ちがう。もしそうなら、藤子は今ここにいない。

「実際、ブスドルって呼ばれるのうれしかったですよ」と藤子は言う。「だって、ネットで検索するとき、探し方が2倍あるってことですから」。
藤子は、名前で検索しても、ブスドルで検索しても、結果のトップに出る。「普通はこんなふうに2種類の検索の仕方をもてないでしょう。だから、私はすごくラッキーなんだって考えてます」。

今、日本では、藤子は「伝説のブスドル」と呼ばれている。

「みんなが私の名前を忘れても」と藤子は話す。「ブスドルという言葉は覚えているかもしれない」。
そう、そして、もし人々が「ブスドル」という言葉を忘れても、彼女の最新DVDが出れば、その言葉がデカデカと貼り付けられている。

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藤子は、侮蔑的なあだ名から逃げることなく、そこに自分だけの特技を見出した。藤子は、その侮蔑を抱きしめたのだ。
彼女が飛び込んだときに上がった水しぶきは、もっと多くの「どうってことない顔の女の子たち」に扉を開いた。

藤子にとって、ゴールは日本のバラエティ番組のレギュラーになることだ。日本のバラエティ番組には、ユニークな特技をもった有名人たちでひしめいている。水着で踊ってみたり格闘ゲームにちなんで芸名を名乗ったり
だが、彼女の不完全さ、彼女の欠点と考えられているものは、(訳注:侘び寂び同様に)はるかに奥行きがあり、そしてまた実に移ろいやすいものなのだ。●



前回の八重歯の記事と比較すると、感慨深いものがあります。

この記事についたコメントは明日か明後日に。



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posted by gyanko at 17:01 | Comment(100) | その他 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2011年11月12日

海外記事 - 日本で、付け八重歯が流行中?! -

長々とお休みしてしまいました。
やっと一息つけました。


本日はこちらから。Jezebelは以前もご紹介した、米国の女性向け大手サイト。


日本の審美歯科が、あのセクシーで子どもっぽい微笑を作るお手伝い。

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ベンジャミン・Bが、ニューヨーク・タイムズが伝えた日本の新しいトレンド、八重歯の記事に対して警告を出した。

今、日本の若い女性のなかに、歯科で人工的に門歯を大きくしてもらい、小さな口の中が歯で込み合っているような見栄えにしている人たちがいる。

下の写真は、こうした効果をねらって外科的処置をしたもので、とある歯科医院のサイトから拝借した画像だ。

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ミッシェル・ファーン(訳注:「ファッションのグル」として、YOUTUBEで169本の動画、総計4億7000万以上の再生回数、チャンネル登録者100万人以上を誇る)は、このトレンドについてブログで取り上げ、こう解説している。

「完璧で、まっすぐで、棒杭のフェンスのように並んだ歯が美しいと考えられているこちらとはちがう。日本では、事実、歯並びが揃っていないのは可愛らしいものであり、完璧な女の子じゃないことを示すものでもある。つまり、ある意味、あまりに完璧すぎる女の子よりお近づきになりやすい子だと男性にわかるということだ」。

コミュニケーション学教授、エミリー・ザスロー博士は、また違った見識をもっている。彼女は、このトレンドは若さへの執着、女の子の性的特徴の強調、そして女性は子どもっぽくあれというプレッシャーの表れだという。

「……自然な八重歯は、乳歯が生え遅れたか、あるいは口が小さすぎるのが原因です」。

つまり、歯が口の中でごちゃごちゃと込み合っていると、若く見えるのだ。女性というより、女の子に見える。
ここで、日本を「奇妙で、男女を区別化する国」と断じるのはたやすい。だが、ここ米国も、まったく同じ効果をねらった慣習をもっているのだ。

米国における「ブリーチしたブロンド・ヘア」の圧倒的な優位性を考えてみてほしい。
ブロンド・ヘアというのは、子ども時代は自然なものだが、大人ともなると稀なものだ。なのに、ブロンドにブリーチしているのは、ほとんどが大人の女性たちばかり。男性では、いない。

こればかりではない。(訳注:ネグリジェの)ベビー・ドールと陰毛を剃ることも付け加えておこう。

これは、国境を越えた憂慮すべき現象だ。この「八重歯」の件で良かったことは、八重歯がアメリカ人には十分に馴染みのないものであるために、これが何を示すものなのか理解ができたということだ(訳注:≒馴染みのあるブロンドやベビードールでは、問題点が認識できない)。

そしてまた、理解ができれば、その目を私たち自身の文化に向けて、私たちがやっていることをまったく新しい視点から見ることができるということなのだ。●



この記事についたコメントです↓。


■記事の最後で上げられてる現象については、ナシレマ族の記事も読むといいよ。

訳注:『ナシレマ族』:人類学者ホーレス・マイナーの有名な調査研究論文、「ナレシマ族の身体儀礼」から。

「ナシレマ族は、口腔に関してほとんど病的なまでの恐怖と強い関心を抱いており、口腔の健康状態が、全ての社会関係に対して超自然的な影響力を持つと信じている。かりに口腔儀礼を執り行わなかった場合、歯は抜け落ち、歯茎は出血し、顎の骨は収縮して、友人からは見捨てられ、恋人には肘鉄砲をくらうことになる、とナシレマ族は信じている」。

Nacirema=Americanの逆綴り。北米文化を外側の視点から見るために、あえてナシレマ族という存在を作り、書かれた論文のようです)。

■はあ……。オレには理解できないよ!

■でもさ、日本文化だと、男性だって、別にまっすぐで完璧な歯をもつべきってわけじゃないんでしょ。
全般的に思うんだけど、こういう「そう、彼らは変わったフェティシズムをもつ性的なマニアなんだ。それがすべての理由」的なところに自動的に着地するのって好きじゃないなあ。

■これがあったら、両親は私の歯列矯正に大枚払わずにすんだろうに。思春期直前に、犬歯を抜いてもらったの。で、巨大な義歯を入れた。

私は歯医者じゃないから詳しいことはわかんないけど、こんなことしたら、歯がかえってダメになっちゃったりしないの?

歯を治すのは、審美的なことじゃなくて、歯の健康のためだって、両親にはいっつも言われてはいたけどねえ…。

 ■↑私の家族に言わせたら、あきらかに歯の健康のため。歯列矯正器具やフッ素添加水がなかったら、私の歯は、かぶせ物やら詰め物だらけになってた。母がたの親戚みんなそうだったから。
遺伝的要因がなにも変わらないままだったら、従姉妹の歯もボロボロになるよ。

なんか怖い話だけど、歯の健康のために前倒しで支払うか、詰め物やらのために後で支払うかのどっちかだよね。

■個人的見解だけど。物理的にちゃんと噛めないなんて場合以外で、歯をまっすぐにするためにお金をかけるのって、純粋に審美的なことだといつも思ってるけど。

私は、生まれたままの八重歯のままで満足よ。あっちの国の人たちがこういう歯がほしいって思ってるなんて、クールだわ。イエイ!

■私って、国によっちゃ、すっごいビューティー・クイーンなんだってわかって良い気分。母親からはいっつもインビザライン(訳注:カスタムオーダーの矯正装置)をつけろって説教されてるの。母親にこの記事を送るよ。……これでもう誰も私のヴァンパイアぽい犬歯をからかったりできないはず。

■てか、吸血鬼っぽくはあるけど、子どもっぽくはまったく見えない。

 ■↑私、吸血鬼犬歯なんだよ!歯科医からは、歯列矯正装置をつけろって言われてる。でも、この歯の問題点は、美容的なことだけ。他の歯より、いくぶん前に出てるからって。

この犬歯、気に入ってる。世界には、不完全を求める人々もいるって聞いて、人生に微笑がもたらされたよ。私の場合、経費をかけなきゃ作れないっていうんじゃなくて、自然なものだけどね。

……ねえ、私たちってもっと急進的になって、自分が今もってるものを愛することをはじめてもいいのかもしれないよ。

■八重歯って、日本じゃ昨今の流行じゃないよ。ずっと前から魅力的だとされてる。……だから、外科的処置をしてまでやろうとするわけ!

沖縄出身の女の子は遺伝的に八重歯だって噂を聞いたことがある。本当かどうかは知らないけど。

個人的には、米国はもっと不完全な歯ってものを受け入れるようになるべきと思う。私も犬歯が重なってて、歯列矯正装置をつけられた口だから……。

■私も吸血鬼犬歯。兄弟もそう。母親も。イギリスの血が流れてるから、生まれつき歯の色が白っぽいのは好きなところだけど。

■これって、単純に「子どもっぽく見せる」ためのものとは思えない。

私、歯に磁器でラミネート加工してもらってるんだけど、なんかもう完璧すぎるんだよね。ガムのCMに出てきそうなぐらい。ここまで完璧じゃなくても、とは思ってる。
母親も同じ加工をしてもらったんだけど、彼女ははっきり「あんまり完璧な感じにしないで」って頼んでた。キーラ・ナイトレイぐらいでって。

↓キーラ・ナイトレイ
kiera-knightley.jpg

不完全なものっては、面白いし、魅力的なもの。これは事実だと思う。子どもっぽく見えるからって理由があるにしろ、ないにしろね。

■こういう記事でまた、「日本って変わってるwwww」記事になりやしないかと心配だった。このサイトだと、ときどきあるでしょ。

でも、よかった。文脈もちゃんとあるし、アメリカに対する視線もある。このサイトの記事とは思えないよ(笑。

日本の人たちは、1本だけ歯が不ぞろいなのはどう感じるのかしら?私、片方だけ吸血鬼みたいなのがあったの。子どもの頃にポストに激突しちゃって。
で、治してもらっちゃった。……ねじれてた臼歯といっしょに。でも、なにが正しいかなんてわかんないものだね…。

■(八重歯を作ることと)歯列矯正装置で歯をまっすぐにすることに、どんなちがいがあるの?審美眼がちがうってだけじゃない?

 ■↑歯列矯正装置つけてた。歯が重なりすぎてて、膿瘍になっちゃってたから。本来、歯列矯正はそういう理由でやるものだよ。

 ■↑歯列矯正装置は、審美的な理由だけじゃないよね。顎と口腔の構造を改善する手助けになるはずのもの。歯の健康に有益。でもまあ、美容的な理由でやる人もいるよね。

■こんな馬鹿な話聞いたことない。可愛くもないし、「親しみやすいけどセクシー」にも感じない。私の脳みそ的には、ただの吸血鬼だよ。

■私、子どものころブロンドだったの。それで、「ブロンドは馬鹿女」的なジョークをさんざん言われた(ほとんどは父親からっていう……)。だから、ブロンドが大嫌いだった。

高校のころ、髪を黒に染めたの。反抗したわけじゃなくて、とにかくブロンドが嫌だった。今は、明るい中間色のゴールデン・ブラウン。すごく気に入ってる。

■かわいく見せたいからベビードールを着るってどうなの?

 ■↑かわいいじゃん!好き。キュートな60年代風のものって大好きだから。私の体型とも合うし。着たからといって、本物の子どもには見えないって。大人ならね。

 ■↑ないわ。「女がとるすべての行動は男のためである」って言葉知ってる?

これ、嫌味だから。

■八重歯がトレンドなんじゃなくて、義歯の八重歯がトレンドなんでしょ。

ここに八重歯の情報が多少あるわよ。

魅力って、一部には子どもの特徴を備えてることがあるっていうのは、確かに思うわね。

■大学の心理学の講義で、私たちが子どもみたいなメイクをしていることについて勉強したの思い出した。目をデカくするためにマスカラをつけて、ばら色の頬にするためにチークをつけるとか、そういうの。

■勘弁して。陰毛を剃るのまで、子どもっぽく見せるためのリストに加えないで。だったら、男は子どもっぽく見せるためにヒゲを剃るわけ?

「陰毛を剃ることで、幼く見せようとする成人女性がいる」っていうカン違いを増長させるなんて、ちょっと気分悪いよ。

この記事を読んでるほとんどの女性は陰毛を剃ってると思う。それって、子どもに見られたいから?
私、男性も陰毛は剃ってる人のほうが好き。これって、私がペドだってことなの?

ごめん、なんかもう心の底から、この記事にうんざりしちゃって。

 ■↑イラっときたの私だけじゃなかったんだ。同意。男性も多くが陰毛を剃ってる。子どもになりたいからじゃないのは明らかなことでしょ。

 ■↑私、ブラジリアン(訳注:ほぼすべて、あるいは少しだけ残して陰毛を脱毛すること)のファン。感触が好きだから。

 ■↑おかしくないよ。私もフル・ブラジリアン(訳注:陰毛をすべて脱毛)が好き。感触だよね、やっぱり。
で、脇の毛は短くそろえるだけ。腋毛は邪魔くさくないからね。完璧に理に適ってると思う。

 ■↑オーラル・セックスがより楽しめるもんね!男側も女側もwin/winよ。どこに問題があるっていうの?

 ■↑より大人に見せたいから、フル・ブラジリアンだよね。

 ■↑男性だって、脱毛したほうが大きく見えるし。

 ■↑多くの女性がノー・ヘアが好み。快適だし、セックスも楽しめる。

 ■↑問題は、そうなると剃るのが義務になっちゃうこと。もちろん、剃らないほうがいいって人たちもいるけど、それって社会的に気持ち悪いことだって考えられてるもんね(男でも女でも。女は特に)。

けど、剃るのが面倒なのよ。たまに痛いし、かゆくなっちゃったり。私も剃ってる。だって、「体毛って気持ち悪いもの」って気持ちがどっかにあるし、陰毛を見たいとも思わない。

若い頃、体育のクラスのあとで女の子同士でシャワーを浴びるのが恥ずかしかった。どうしてかっていうと、私以外はみんな陰毛を剃ってたから。

女性の理想の美しさって、つるっとした顔、きれいに脱毛してあること、痩せてること(かろうじて判別できるお尻、大きすぎない胸)、大きな目、ちょっと馬鹿っぽくてイタズラっぽいブロンドでしょ。これがこっちのトレンドだと思う。

 ■↑年代的なこともあるかもね。私、20代前半。剃ってないと、男性からの受けがすごく悪い。でもって、こういう陰毛の脱毛を承認してる男性たちってのが、いわゆる世間でリベラルって言われてる連中だったりするのよ。

■ものすっごく年代的なものだと思う。十代の終わりのあたり、母親にマジギレしたことがあるの。理由は、陰毛を剃ることを教えてくれなかったから。

あとでわかったのは、うちの母親は文字通り、なにも知らなかった。ほとんどの私と同年代の少女たちが陰毛を剃ってることも、そういうプレッシャーがどれほど強いものなのかも。

母親が若いころは、陰毛ってセクシーで女性らしいものだったんだと思うよ。剃るなんて、まさにポルノの世界だけ。

  ■↑ありがとう。うん、私だって、好きで40代になったわけじゃない。

■口が小さいとか、乳歯が生え遅れたっていうのは、若さと関係あるとは思わないなあ。今、20代の終わりだけど、自然のまま八重歯っぽい歯の友達が何人かいるしね(ほとんどの友達は、矯正でまっすぐな歯だけど)。

私の歯はここ10年でだんだんと八重歯っぽくなった。口が小さいのに、親知らずが生えたのが理由。「みんながみんな、完璧に揃ってて、完璧に白い歯のために矯正するのが普通」なんて時代になる前はこれが普通だったんだって。

そういう意味じゃ、幼児化してるって見方は浅はかだよ。八重歯は好き好きだろうけど(正直言って、八重歯って、日本で人気のあるステロタイプにぴったりはまるから持ち上げられてるんだと思うよ)。

 ■↑いや、八重歯にするのは、あきらかに子どもに見られたいからでしょ。幼児化です。

■私見だけど、別に異常でもなんでもないでしょ。たぶん、アジアの女の子たちは多くが若く見られたがってる。彼女たちといると、たまにちょっと居心地悪くなるけどね。なんか自分だけ老けてるみたいで。

けど、(八重歯にして)うまくいってるんだろうし、好きなら、それでいいんじゃないの。

■こういうこと?……日本の女性たちは、完璧な「不完全」を求めてる。なぜなら、美しすぎると、男性の優越感を殺ぐことになるから。ワオ、アメリカはどうしてこの考え方をまだ採用しないの?

不ぞろいな歯が魅力的だと考える国がアジアにあるのは聞いたことがあった。……でも、ここまでだとは思わなかった。

■3年間も歯列矯正装置とともに過ごしたわ。日本に引っ越すべきだったかもね。

■私とすぐ下の妹は歯列矯正装置をつけてた。一方、そのまた下の妹二人は、そのお金でバレエ、ジャズダンス、タップダンスを習った。

歯列矯正を受けたのに、私も私のすぐ下の妹もいまだに乱杭歯。その下の妹二人は今じゃダンサー。勝ち組。

自分の不ぞろいの歯、好きなんだ。だから、なんの効果もない歯列矯正なんかに多額のお金を使わないでほしかった。私だって、ダンスがしたかったんだよ。

■不そろいな歯って大好き。すっごくすっごくセクシー。前歯がすきっ歯だったりしたら、もう「何も聞かないで、私、あなたとつきあうわ」ってな感じ。

揃った歯なんて退屈すぎでしょ。当然、私も自然のまま。私の家族で、矯正を受けなかったの私だけなの。犬歯も尖ってるしね。

■「子どもっぽく見せたい」って、ファーン、馬鹿じゃないの。くだらない。犬歯が大きくて、自然に不ぞろいな私の歯、クール!どっかクール!

どうして誰も言わないの?これって、「私は女性で、北米人、私のすべてがパーフェクトなはず!」っていう全体の空気に対する素晴らしい反発になりえるわ。

 ■↑自然に不ぞろいな歯って、別に問題ないよ。たださ、日本では、外科的に変えようっていうわけでしょ。

それと、矯正でまっすぐにするのって、歯の健康にはいいよ。外科的に歯を変えるのとは別の話。

■完璧な歯って、すっごくノーマルに見えるってことだよ(棒読み。

↓完璧な歯の失敗例。

perfectteeth.jpg

■実際に日本を席巻してる大ブームってわけじゃないよ。ちょこちょこ出てるトレンドのうちの1つって感じ。

 ■↑うん。ニューヨーク・タイムズが「クレイジーな日本のトレンド」的な記事を出すたび、実際は一握りの人しかやってないっていうアレ。

日本に住んでる。4年前に歯科矯正医院でバイトしてた。八重歯の人はたくさんいるけど、歯列矯正装置をつけてる人もまた多いよ。

■八重歯っぽい歯だった。ずっと。それで、そこからくる心の不安と戦ってた。

前に、八重歯の記事を読んだときのことを覚えてる。ああ、なんてクール。みんながみんな完璧な揃った歯で生まれてくるわけでも、矯正できる金をもってるわけでもないってことを受け入れて、迎え入れてくれる社会があるんだって思った。

どうしてアメリカが、揃った歯にこれほどこだわるのか理解できない。今、矯正器具をつけてるけど、たった1本不ぞろいなだけで、このざまよ!

私みたいな東南アジアの女の子たちは多くが、生まれつき顎が小さくて、八重歯になっちゃうのよ。それをこの記事を書いた人はわかってるの?子どもに見られたい?ふざけんな。

たぶん、日本は、女性が生まれつきもっているものに美しさを見出す術を知ってる。
八重歯をもたないからって、それをつけようとまでは思うことないけど、「八重歯は子どもっぽく見せたいからだ」とか、自然にそういう歯の人に対してあまりに失礼。

■この記事、ニューヨーク・タイムズで読んだとき、イラついた。日本在住。確かに、八重歯は、「不恰好で不完全だけど可愛い」って考えられてる。だから、人々の大多数は、治さない。歯科矯正は日本じゃ、たいしたビジネスじゃないし。

でも、わざと八重歯にするとか聞いたことないわ。ニューヨーク・タイムズがしばらく前に「自販機に化けて、強盗をやりすごす服」が日本のトレンドとか報じたのと大差ないよ。

vending.jpg

記事に歯科医のリンクがあったから、やってる人はいるんでしょうね。でも、この歯科医が審美ホワイトニングもやってるところを見ると、話半分に聞いたほうがいいと思う。

なんかもう、うざくなってきてる。こういう、なんにもわかってないくせに、海外で報じられる「びっくり!恐怖の「日本クレイジー!」」記事に。

■うん、八重歯は新しいトレンドじゃないね。自然に生えた八重歯はかわいいってずっと言われてきたもの。

……僕のガールフレンドが八重歯なの。自然なね。で、ときどき冗談で、私のチャームポイントって言う。もうファッキン、死ぬほど可愛い。まあ、だいぶ贔屓目だけどな。

■めちゃめちゃキモい。でも、西欧の美の基準がすべてじゃないからね。ただちがうんだ。子どもっぽく見せたいってのは、西欧社会でも珍しくないしね。



ナシレマ族は非常に面白い話で、米国人の伝統的な「完璧な歯への執着」を描き出してるなあと思います。
その異常な執着に自分たちでうすうす気づき始めてる(あるいは、疲れはじめている)のが、この記事のコメント欄での意外なほどの「いいじゃないの、不ぞろいだって」派の多さなんじゃないかと思いました。


そしてまた、このたび一番の文化的落差を感じたのは、ブラジリアン問題でございます。
女性の陰毛脱毛自体は日本でも珍しくないと思うのですが、「男女ともに多い」、「ブラジリアンじゃないと恥ずかしい」というのが、強烈だなあ…と。



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posted by gyanko at 03:28 | Comment(129) | その他 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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