2009年06月15日

『陰陽師』- 海外の評価 -

では、昨日から引き続き『陰陽師』です。

『陰陽道を外国人は納得できるのか』。米国アマゾンの『陰陽師』のレビューをお送りします。


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最初は、23人中21人が役立つと評価したレビュー。


評価:★★★★ 非常にためになる。

この映画を正しく評価するには、『陰陽師』の話がまだ現時点で書き上げられていないということを知っておかねばならない。これは、8世紀の日本の史実(!)に基づいている。登場人物とストーリーは、日本の最古の文献の1つから採られており、登場人物たちは実際に当時、存在し、日常の中でこうした奇跡を起こしていたのだ。

面白いのは、古代の日本の信仰や、宗教的活動を学べることだ。これは、今日の日本人の基礎を理解するのを助けてくれるだろう。
そしてまた、主役の俳優が、日本の最も古いの芸術様式の1つである能の「貴公子」であることも知っておくべきだ。彼の動作が他の俳優たちとまったく違う理由も、この特別な能の技術なのである。

全体として、これは本当に素晴らしい日本映画だ。日本文化の深さと(他文化との)違いを知らしめてくれるという点で、もっと諸外国に紹介されるべきだと思う。



次は、16人中、15人が役立つと評価したレビュー。

評価:★★★★ 一般のほとんどの人にとって素晴らしい映画。

この映画のことを最初に知ったのは、私が陰陽道の宗教的背景について研究していたときでした。安倍晴明の話をいくつか前に読んだことがあったので、米国でこの映画が出たと知ったときは興奮しました。

平安時代に事を発し、この映画は、陰陽師、安倍晴明と宮廷人、源博雅の物語を追いかけていきます。宮廷内での陰謀と登場人物たちの人間関係の話なのです。

これが私にとって面白かった理由は、陰陽師に大きな焦点が当たっているということもありますが、呪文、呪い、予言、護符、経文といった、この伝統の背景へ切り込んでいることです。この映画の中に採られた安倍晴明の言い伝えのいくつかは、本当に嬉しい驚きでもありました。

唯一の不満は、もう少し音質をよくできたはずだということです。DVDの後半の終わりで、音が映像よりちょっと遅れ始めるのに気づいたんです。

他のたくさんの日本映画と同様に、アクションには主眼がおかれていません。このことは、大部分のアメリカ映画とは真逆です。ペースがゆっくりなことや、演技や特殊効果が、アメリカ映画の標準に達していないことに気づく人もいるかもしれません。けれども、この映画は、人物の深い関係と感情はもちろん、豊かな文化に多彩に彩られているのです。

日本の宮廷文化に興味がある人や、魔法信奉者には大いに楽しめる映画です。また、血まみれのシーンに吐き気を覚えない限りは、一般の人々にとっても素晴らしい映画となるでしょう。血の量はさほどではありませんが、おそらく胃の弱い方には向いてないシーンがいくつかあります。



最後は、11人中11人が評価したレビューを。

評価:★★★★ 日本の伝説的物語

安倍晴明は日本史の伝説的人物だ。信憑性のある歴史的背景を伴ったマーリン(訳注:アーサー王伝説で王に仕えた魔術師、予言者)のようなものだ。

陰陽道というのは、広く伝播している科学的理論と中国の神秘主義に基づいた陰陽の妖術で、安倍晴明は実際に存在はしたが、想像上のヒーローでもある。妖狐の子供と噂され、彼は陰陽師として帝に仕え、呪文をかけ、事件を解決するために霊的に正しい方法を助言する。彼の、老獪な敵、陰陽師、芦屋道満は、評判の良い清明を妬み、彼を困窮させ、攻撃しようと画策する。


この映画の陰陽師の解釈では、安倍晴明を魅力的で、ほとんどロックスター並みの人物像にしている。清明は比類なき呪術の使い手であり、神秘的な霊の世界で魔物たちを倒していく。彼の影には常に道尊(道満のかわり。なんらかの理由があるのだろう)の企みがある。

この映画で、道尊は、神聖なる剣を盗み出し、1世紀前の悪霊に身を任すことを画策する。それは、神道と通じながら、悪霊の怒りを宥め、悪霊を都の守り神となすためである。剣を盗んだことで、死人の怒れる軍隊が動きだし、ただ安倍晴明と、彼の屈強な仲間、源博雅が都を護ることになる。

『陰陽師』は、野村萬斎の俳優としての力の見せ場でもある。彼はしばしば能の演者と誤ってクレジッドされるが、実際は狂言という、日本の喜劇の伝統的表現形式の演者である。野村の前作は黒澤明の『』だが、安倍晴明の超自然的血筋をにじませるような、種々の蠱惑的な目線や微笑を含め、『陰陽師』のほうがより素晴らしく、彼の狂言で磨きをかけられた技術を発揮できる場となっている。


偉大な映画というより、『陰陽師』はテレビドラマなのか映画なのかわからないところがある。主なアクションが30分のエピソードごとに分割されているから、テレビのミニ・シリーズとして放映することも簡単にできそうなのだ。特殊効果も、日本の平均的な超自然TV番組と同じレベル。だが、安倍晴明のドラマは別にTV番組になっているところを見ると、どうもちがうようだ。


良い点は、狂言の大袈裟な様式がアメリカ人にとっては二の足を踏ませるものとはいえ、野村萬斎の演技が十分に物語を進めていくところだ。話は、大上段から振りかぶる正当派、それで世界の終焉モノ、これに、このタイプの映画にありがちな美味しい物がいろいろついてる。


改善の余地はあるが、心底、楽しめる映画だ。しかし、時代が示してきたように、安倍晴明の映画化はこれで終わらないだろう。なにしろ、清明の物語は千年以上も語り継がれているのだ。もうちょっとぐらいは続くってことさ。



最後のかたのレビュー、とても共感しました。バランスのとれた、うまいレビューだなあ。おっしゃる通りに、テレビドラマなら納得できる出来。野村萬斎の演技も同感。


ちらっとプロフィールを拝見したところ、この最後のレビュワーのかたは、すでに千件以上のレビューを書き、そのうち91%が、役立つと投票されている強者でした。でもって、6年間、日本に滞在して、日本学の修士をもっておられる。日本では居酒屋の板前をやりながら、ライターもやってらっしゃったようです。


結論といたしましては。
当初は、「陰陽道を外国人は納得できるのか」という視線でやろうと思っていたのですが、スタート自体が見当違いでした。そもそも納得できる人が見る映画なんですな。当たり前か。日本文化に興味がある人が見るという意味では、この映画、海外のほうが評が甘いかもしれません。



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posted by gyanko at 21:00 | Comment(1) | TrackBack(0) | 映画 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
この記事へのコメント
  1. ゴローちゃん版も好きだお
    Posted by 犬彦うがや at 2009年08月07日 12:36
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