2009年07月02日

海外のロング・ベストセラー - 宮本武蔵の『五輪書』- その2

昨日からお送りしている宮本武蔵の『五輪書』の米国アマゾン・カスタマーレビュー。


昨日の正統派マーシャル・アーツ指南書レビューに引き続いて、今日は自己啓発書、そしてビジネス書として読んだレビューを紹介いたします。


五輪書 (講談社学術文庫) 五輪書 (岩波文庫) 五輪書 (ちくま学芸文庫) 対訳・五輪書


最初は、自己啓発書として読んだかたのレビューです。


評価:★★★★ 剣をもち、闘うこと。

この本は、すべての人が読むべきだろう。ここにはすべてがある。武蔵は、献身的情熱と自尊心と規律、そして、誠実で純粋な考え方に満ちた世界へ読者を誘ってくれる。この本は、まったく共通点のない時代と文化のもとで、武士のために書かれた本であるというのに、自分を啓発するための素晴らしい示唆の源なのである。

武蔵の教えは、明快である。武蔵は、「これを理解しなければならない」あるいは「これを勤勉に鍛錬しなければならない」という言葉を用いて、一般的だが、疑いようがなく基本的な武士道の考えを解説している。こうしたガイドラインは、私たちの時代や年齢では直接、応用できるものではないが、私たちが自分自身と闘うという意味では、この本は応用が可能だ。外面はもちろん、内面を改善するために努力する、ということだ。


この本が前向きな本だと言ってしまうのは嘘になるだろう。文字通り、これは、効率的だが、啓発的な人殺しになるための本なのである。この本の価値は行間を読むところから生まれる。この行間こそがあなたになにかを語りかけるものだ。本当に多くのものがそこに詰まっている。




次は、ビジネス書として読んだ人のレビュー。

評価:★★★★★ ビジネスと武術

本書は、侍、宮本武蔵によって1645年頃に書かれたものであり、軍事戦略に関する古典的著作と考えられている。武術本というだけなく、実に広く人々に楽しまれている。たとえば、仕事における紛争協議や相手より優位に立つといった方法を、この本の中に見いだすビジネス・リーダーたちもいる。


本書で使われている『一流』は、『五輪書』の他訳書で言うところの『二天一流』であり、この言葉は、文字通り訳せば、「2刀、1天」という意味である。


この本で一貫して明らかにされているのは、武蔵にとって主眼はゴールであり、ゴールに辿り着く方法は二の次であるということだ。彼はこう書いている。「二天一流では、長刀でも、小刀でも勝つことができる。言わば、二天一流の道とは、武器がなんであれ、大小に関わらず、勝利こそが神髄なのだ。」


同様のことがビジネスにも言える。仕事の尾ひれよりむしろゴールに集中するリーダーこそ、真のリーダーなのだ。例をあげれば、2000年のインターネット・バブル(訳注:米国市場を中心としたIT関連企業の投資の異常な高騰)は、ビジネスの本当のゴール、純利益を忘れた経営者たちによって引き起こされた。株価に取り憑かれた人々は、巨額の損失や減収から倒産した。彼らは、収益を産み出す資源より、洒落たオフィス・ビルだとか家具だとかに注意を払った。武蔵はこう書いている。「長持ちする馬に欠陥がないように、武器もまた同じである。馬は強く歩かねばならず、長刀と小刀は強く斬れねばならない。槍や矛は度重なる使用に耐えねばならず、弓や銃は頑丈でなくてはならない。武器とは、装飾ではなく丈夫さが肝要なのである」。


武蔵はまた、生涯を通じて自分の技術のバランスを保つように奨励している。このバランスとは、陰陽のことであろう。何かに精通しすぎてはならず、また精通しなさすぎてもいけない。1つの武器に慣れ親しみすぎたり、使いすぎることも武蔵は勧めていない。慣れ親しみすぎると、1つの考えに固執してしまうからだ。自分の心を敵に読み取られることになり、心の動揺や、過度な冷静さの原因になる。これは、ビジネスには大変重要なことである。ウォーレン・バフェット氏(訳注:アメリカの著名な投資家)が良い例であろう。


マンガ ウォーレン・バフェット―世界一おもしろい投資家の、世界一儲かる成功のルール (講談社+α文庫) バフェット流投資に学ぶこと、学んではいけないこと―個人投資家にとっていちばん大事なノウハウ 最強の投資家バフェット (日経ビジネス人文庫) ビジネスは人なり 投資は価値なり―ウォーレン・バフェット


バフェット氏の際立った性質は、氏の形態変換の能力である。彼は1960年代の資料では、70年代や80年代初期とはまったく違うことを言っている。初期、彼は、単純な統計上の標準株や典型的な小型株といった格安の株を買い始め、その後、人気株を買い、それから大企業の経営権を買う時期に入って長期投資家となった。そして、21世紀に入ると、価格に活気が戻ったということから、驚くべきことに、今度は再び小型株を買いだしたのだ。 彼は数十年にわたって、巧妙に戦略を用いて、つねに変貌を遂げている。どこかの期間から彼の戦略を抜き出して固め、次の数十年で再現しようとしても、彼の活動にはならない。武蔵はこれをこう書いている。「お気に入りの武器をもってはならない。1つの武器に慣れ親しむことは、それを効率的に使用する方法を知らないのと同じことだ。人まねをしてもいけない。ただ、自分に合った武器を使うのだ。好き嫌いは指揮官にとっても兵にとっても良くないことである」と。




16世紀の日本で書かれた本が、時代や文化や国を超えて、さまざまに読み解かれているというのは希有なことではないかと思います。(紀元前に書かれた兵法書、『孫子』もこうした意味で広く読まれているものの代表例ですが)。


背水の陣で雌雄を決するというのは、武蔵の時代ほど死を目前にした厳しいものではないにしろ、どこの世界でも起こりうることであり、このあたりが、物語上の伝説とは別に、宮本武蔵を後世まで語り継がせている大きな理由なのだと思います。



明日は、吉川英治の『宮本武蔵』。やはり、米国アマゾンのカスタマー・レビューです。



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posted by gyanko at 21:00 | Comment(3) | | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
この記事へのコメント
  1. バフェット氏と言うと、「彼と食事をする権利」が高額で落札される人ですねw
    先日2億円で落札されたそうで・・
    Posted by   at 2009年07月03日 01:03
  2. 2億円ですか!……スゴいかたなんですねえ…。
    Posted by gyanko at 2009年07月03日 02:28
  3. はじめまして。宮本武蔵の『五輪書』の米国アマゾン・カスタマーレビュー。おもしろいですね!

    五輪書は読む人によっていろいろな読み方ができるんですね^^
    Posted by あーりー at 2015年10月04日 10:40
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