2009年07月04日

海外の評価 -『バガボンド』-

宮本武蔵エントリ第4回ですが、その前に、前回の吉川英治の『宮本武蔵』のレビューの修正を。


最初の4つ星レビューのかたが、半年後に、追補とともに、レーティングを4つ星から5つ星に切り替えていました。
締めの数行以外すべて同じ文章だったので、見落としていました。

昨日の最初のレビューの最後に以下を追加してください。


私は当初、この本に4つ星のレーティングをつけたのだが、思い直した。というのは、この本がいまだ、私の心の中で生き生きと存在しつづけているからだ。これはつまり、私が最初に評価した以上に力強い読後感だということだろう。確かに、評価というものには(訳注:月日とともに)さまざまなレベルがあるし、そのうちのどの状態のときにランク付けするかにもいろいろな方法がある。しかし、まじめに言えることは、この本は5つ星の価値があるということだ。4つ星ではない。なので、私はここでそれを修正する。



さて、それでは、今回のエントリ、『バガボンド』です。


モーニングで連載が始まった当時、原作、吉川英治で、井上雄彦のマンガというだけで、もう買う気まんまんだったのですが、相変わらず堪え性がなく、ものの数週間で細切れで読むことに耐えきれなくなり、今はコミックスで買っています。



まず『バガボンド』でなにが驚いたといって、吉岡清十郎です。なんですか、あのカッコよさは。吉川英治の『宮本武蔵』を読んでいるかたの中には、こう思った人もいらっしゃるんじゃないでしょうか。こんな人じゃない(笑。

でも、当然ですが、「あり」です。原作とは銘打ってあるものの、『バガボンド』はやはり井上雄彦の『宮本武蔵』だと思います。佐々木小次郎の描き方は、『バガボンド』のほうが断然好きですし。


バガボンド 30 (モーニングKC) バガボンド 29 (モーニングKC) バガボンド 28 (モーニングKC) バガボンド 27 (モーニングKC)


さて、この『バガボンド』。国内累計発行部数は5000万部以上という、日本では言わずと知れたベストセラーですが、米国アマゾンを見にいったところ、レビュー数はどの巻も5件未満。巻数が多いせいでレビューがバラけていることもあるでしょうが、画風のせいか、それともアニメ化されてないせいか。……


ここはひとつ、巻をまたいで、散弾銃な感じでレビューを紹介していこうと思います。数で勝負ということで。
(ちなみに、ほぼすべての評価が5つ星となっております。)


評価:★★★★★ 日本最高のサムライ・マンガ

『バガボンド』は絶品だ! 素晴らしい、きめ細かなアートワークと卓越した物語が、どの巻でもキミを引き込んで離さないだろう。まさに読み出したらやめられない本!


サムライの物語が好きな人には、これは『無限の住人』と並んで、最高の作品の1つだ。『バガボンド』は絵が美しいんだ。背景、人物。素晴らしいの一言。こうした本の中では崇拝されるべき作品だろうね。


無限の住人 24 (アフタヌーンKC) 無限の住人 23 (アフタヌーンKC) 無限の住人 22 (アフタヌーンKC) 無限の住人 (21) (アフタヌーンKC (455))


『バガボンド』はどの巻を読んでも、がっかりすることなんてないよ。

僕はものすごいマンガ・ファンなんだけど、一度、読むとすぐに売ってしまうんだ。だって、再読しないから。でも、『バガボンド』はいつまでも手元に置いておくだろうシリーズだ。この言葉は、キミに多くのことを語ってるはずだよ!


評価:★★★★★ 最高の作品……

…しかもどんどん良くなっていくんだ。この巻(訳注:27巻)では70人対1人の死闘っていう山場が読める。うー、ネタバレしたくない! でも、これだけは言うよ。小次郎と武蔵の闘いがもうすぐ。……本当にもうすぐなんだ!


評価:★★★★★ 『バガボンド』のレビュー

このシリーズはカッコいい。
細かくて繊細な描画が、スゴい話といっしょになってて、完全に中毒になる。
オレはいろんなスタイルの剣術を訓練してるんだけど、この剣劇は信憑性が高いね。


評価:★★★★★ 最高!

日本中でイチバン(訳注:原文ママ)の剣士の話だ。読めば、封建時代の日本に行けるし、伝説的剣聖、宮本武蔵の考え方の中にも入り込める。


評価:★★★★ 美麗に作られたグラフィック・ノベル

もしキミがこのシリーズをずっと読んでいて、ゆっくりめの話の展開のせいで興味を失っているところなら、特別セール中に(3册買ったら4册目は無料、みたいな)最後の数巻を買っておく価値はあるかもしれないよ。絵は相変わらず呆然とするほどの出来だし、繰り返し読んで間近で観察していると、微妙な絵のニュアンスがわかってくるんだ。このジャンルのファンにとっては、この巻もやっぱり最高に楽しめるね。


バガボンド 26 (モーニングKC) バガボンド 25 (モーニングKC) バガボンド―原作吉川英治「宮本武蔵」より (24) (モーニングKC (1553)) バガボンド―原作吉川英治「宮本武蔵」より (23) (モーニングKC (1526))


評価:★★★★ 武蔵の名は広まっていく……だが、いよいよ深い困難が待ち受ける。

武蔵が、吉岡伝七郎を斬り殺し、それにともなって吉岡拳法道場の当主は吉岡の血脈ではないものに引き継がれる。絵は非常に良いし、話は心をわしづかみにする。武蔵が、脇差しで伝七郎を斬り殺した場面の細かな経緯が面白い。


評価:★★★★★ 見事なシリーズ。

この宮本武蔵の物語シリーズの唯一の欠点を言おう。最新刊が出るのを待つことだよ。絵は極上。それぞれの登場人物は細心の注意を払って描かれてる。この24巻はこれまでの最高だね。なぜかというと、武蔵がついに吉岡道場の伝七郎と相見えて、耳の聞こえない剣の達人、佐々木小次郎と出会うからだ。これまでのキャラクターたち、沢庵、おつう、恐ろしいまでの復讐心に燃えた又八の母親も出てくるよ。


評価:★★★★★ 『バガボンド』、カッコいい

このマンガは吉川英治が原作だけれど、本当にまったく別の作品のように読める。絵は額縁に入れたいほどだし、話は素晴らしい。まず、武蔵やサムライのファンなら、このシリーズを買って、最終巻まで読もう!


評価:★★★★★ 台詞は少ないが、闘いは多い!

『バガボンド』26巻はまるで画集のようだよ。文字通り、この巻では台詞がとても少ない。武蔵がボスを2人斬り殺した後、70人の剣士が武蔵を追う。巻のほとんどが武蔵と彼らとの闘いだ。血塗れの闘いの絵だ。この作者は本当に描ける。美しいアートワーク!

私はこの本を15分で読み終えたが、読まねばならない文章はほとんどなく、ただ絵を見て(敬服して)いたんだ。

これからどうなるのか、次巻が楽しみだ。


バガボンド―原作吉川英治「宮本武蔵」より (22) (モーニングKC (1497)) バガボンド―原作吉川英治「宮本武蔵」より (21) (モーニングKC (1464)) バガボンド―原作吉川英治『宮本武蔵』より (20) バガボンド―原作吉川英治『宮本武蔵』より (19) (モーニングKC (945))


評価:★★★★★ 今世紀最高のグラフィック・ノベル

『バガボンド』は、激怒と自暴自棄から、静かな充足へのみずみずしい旅だ。26巻では、大掛かりな闘いが続き、初期の巻から張られた伏線が引き続きほのめかされる。
グラフィック・ノベルの愛好家なら、週末に、すわってこの全シリーズを読むべきだろう。アートに関する視点が変わるよ。


評価:★★★★★ 大人向け歴史マンガの見事な例

『バガボンド』シリーズは読者を、歴史上有名な剣士たちがひしめきあっている物語上の封建日本に没入させ、彼らの成長、深まっていく哲学、闘いの際の複雑な心理状況を描いてみせてくれる。

絵は非の打ち所がなく、入念でそして美しい。ほとんどのページが力強い筆で描かれ、細部はペンとインクによるイラストレーションだ。

水彩カラーのページが、各巻の最初の数頁と章の間で光り輝いている。

ときとして闘いのアクションは素早く、凄まじいが、話のペースは著しくゆっくりとしていて、底にある心理的層、感情的闘いを解き明かし、関連する歴史上の過去の出来事を網羅している。つまり、豊かなグラフィック、そして細部にわたる筋書きだ。

私は、話のすべての場面を完全に把握し、理解するために、各巻を数度読んで楽しんだ。封建時代の日本や伝説上の剣豪、宮本武蔵の架空の歴史上の詳細に興味がある大人の読者には満足のいくシリーズだ。


評価:★★★★★ スゴいマンガ!

このマンガはまさにパーフェクト。クールなストーリー、絵は写実的だけど、別宇宙からきたかのよう。大好き。



バガボンド―原作吉川英治『宮本武蔵』より (18) (モーニングKC (916)) バガボンド―原作吉川英治『宮本武蔵』より (17) (モーニングKC (891)) バガボンド―原作吉川英治『宮本武蔵』より (16) (モーニングKC (871)) バガボンド―原作吉川英治『宮本武蔵』より (15) (モーニングKC (850))



ほぼすべての人が井上雄彦のアートワークを賞賛しております。確かに、読んでいて圧倒されます。見るものに有無を言わせぬ凄絶さという意味では、平田弘史の域まで行くかたなんじゃないでしょうか。(平田弘史は、ご自身が侍のようなかたなので、生き方がこの絵を描かせているとも言えるとは思いますが…)。


血だるま剣法・おのれらに告ぐ それがし乞食にあらず (平田弘史傑作選 (昭和四五年~四六年))


レビュー内容に関しては、皆さんも思われたと思うのですが、読者層が全体的に若いです。語彙も若いし、文章も素直で読みやすい。そして、短い。昨日の吉川英治の『宮本武蔵』のレビューとはかなりの差があります。

とはいえ、『宮本武蔵』の世界観に心動かされているのは確かで、若さのぶん、直截的な表現になるんでしょう。感動のまま言葉にする(あるいは、声を上げる)というのは、大人になるとなかなかできなくなることなので、うらやましい気がいたします。



ただ、『バガボンド』は年配のかたの指向にも十分に応えられる力のある作品だと思うので、少し残念。やはりマンガは米国ではまだ、日本ほど広範囲の年齢層の読者を獲得していないでしょうかねえ…。時とともに変わっていくだろうとは思いますが。



そんなわけで、全4回でお送りしてきた宮本武蔵のエントリですが、 これにて終了です。井上雄彦つながりで、そのうち『スラムダンク』もやろうかなあと思っております。



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posted by gyanko at 21:00 | Comment(9) | マンガ・アニメ | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
この記事へのコメント
  1. えっ、今までコメントゼロ・・・、絶句
    すこぶる良記事だと思うのだが
    まあ、今はバカスカコメがつく同系ブログも以前は寂しいもんだったし
    がばれー、主さん
    たぶん知名度が低いだけだ
    そのうちブレークするって・・・、メイビー♪
    Posted by at 2009年08月17日 23:03
  2. 見てみたいけどアニメ化は難しいだろうな。
    Posted by at 2009年09月23日 03:10
  3. アニメ化?
    冗談だろ…
    Posted by え at 2009年11月24日 03:05
  4. 井上先生、少し前までは少年漫画描いてたのにこんな作品も描ける。
    最近の少年漫画もおもしろいけど長すぎる……。もう、スラムダンクのような作品は書かないのかな……?バガボンドも好きだけど。
    Posted by kumako at 2010年02月28日 16:58
  5. 別にスラムダンクも必殺技叫んだり過剰な演出のある漫画じゃなかっただろ。
    Posted by at 2010年12月19日 19:33
  6. 20巻手前あたりから劇的に良くなった
    初期の頃は絵も話も完璧に見せようとして背伸びしているのが、高尚だと勘違いしている層に受けているだけだと感じていた
    天下無双は幻想という内容あたりで肩の力が抜けたのか自然体になり、伸び伸びした表現を獲得して武蔵と井上先生がリンクしているかのように良くなっていったように思える
    プロの端くれの自分にとってバガボンドで武蔵と一緒に成長していく井上先生の軌跡が一番の参考書
    Posted by at 2011年02月11日 01:52
  7. 20巻手前というと、鐘巻ジザイ 小次郎 一刀斎の師弟が登場した頃かな
    原作には無い部分だけれども気に入っています
    「虎は虎として生き 虎として死ねばよい」
    このセリフがお気に入りです
    Posted by at 2012年09月21日 18:56
  8. アニメ化は向いていないと思う。あれは漫画で
    しかも筆で描き始めて、芸術と化している。
    ただ、ストーリーの展開が遅いし、明らかに
    作者が宮本武蔵像に理解出来ない分、バトルを
    ウリにしていたのが哲学的な方向へ行って、
    読者離れを起しているのが残念だな。
    Posted by   at 2013年06月14日 13:48
  9. これからが楽しみだ
    Posted by r at 2013年06月25日 16:39
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