2009年07月08日

海外サイトが選ぶ日本のマンガ・トップ20 -その3-

このエントリの最終回です。7位から1位までをご紹介します。


第7位 『フルーツバスケット
著者:高屋奈月



フルーツバスケット 23 (花とゆめCOMICS) フルーツバスケット 22 (花とゆめCOMICS) フルーツバスケット (21) (花とゆめCOMICS (2994)) フルーツバスケット DVD-BOX


女子高生、本田透は、ひょんなことから、非常に裕福で格式も高いのに、呪われた一家、草摩家に居候することになります。草摩一族の呪われた宿命とは?…それは、異性に抱きつかれると、干支の動物に変身してしまうことなのです。

『フルーツバスケット』は、天然ロマンティク・コメディとして連載を開始ましたが、やがて、ユーモア、ファンタジー、深く心動かされるロマンス、そして家族ドラマを織り交ぜた、波瀾万丈の物語へと発展していきました。その中毒性で、米国では少女マンガのベストセラーとなりました。



アメリカでも大変に人気があるマンガです。これもよく掲示板等で話題になっているのを見かけます。米国での累計売上部数は、なんと200万部(23巻までの日本国内発行部数は1800万部)。米国で最も売れたマンガであり、第16巻はUSA Todayのベストセラーランキングで最高15位をマークしました。

残念ながら、私はアニメしか見ておりません。『花とゆめ』での連載だったようですが、……花とゆめのマンガがアニメになるなんて、隔世の感があります(その昔の白泉社のマンガ(LaLa、はなゆめ等)といえば、一般少女向けというより、少し癖のある「マンガ好きのためのマンガ」雑誌だった気がいたします)。


第6位 『よつばと!
著者:あずまきよひこ



よつばと! 8 (電撃コミックス) よつばと! 7 (電撃コミックス) よつばと! (6) (電撃コミックス) よつばと! (5) (電撃コミックス (C102-5))


近所に引っ越してきた、小さな緑の髪の女の子、よつばの目を通して見る夏の単純な楽しみ方ほど、喜びに溢れたものはないでしょう。

魚釣り、遊び場、エアコンの涼風を楽しみに隣家へ出かけること、こんな小さな旅が大笑いの冒険になってしまうのですから。よつば流のおかしな生活の楽しみ方は、全編を通じて、どんな年齢層の読者をも微笑させてしまいます。



第6位ですか! これは個人的にすごくうれしかったです。同じ作者の『あずまんが大王』もそうですが、登場人物たちの日常を追った、上質のエッセイのようなマンガなだけに、淡白な味わいが持ち味。ゆえに、味付けの濃いジャンプ系や青年誌系の揃ったオールジャンルのランキングとなると、なかなかアピールしづらい作品だと思うのです。

が、このあたりが上位なのは、ガイドのかたご自身のマンガを考えるとうなずけます。うれしいなあ。

ファンなので一言。『あずまんが大王』の以前のエントリでも書きましたが、品が良くて、ちょっとおかしくて、ちょっとかわいらしくて、胃にもたれる過剰さがない、美味しいお茶漬けのような世界が味わえます。ぜひ。


第5位 『DEATH NOTE
著者:大場つぐみ小畑健



DEATH NOTE (13) DEATH NOTE (12) DEATH NOTE (11) DEATH NOTE デスノート / DEATH NOTE デスノート the Last name complete set [DVD]


夜神月はすべてをもっていました。成績優秀、容姿端麗で、良家の子息。問題なのは、彼が心の底からすべてにうんざりしていたことです。

そんな彼が、名前を書くだけで人を殺せる力をもつ1冊のノートを拾ったところから、究極の知恵比べが始まります。この力を使って、警察やFBI、そうして不気味な死神たちが彼を捕まえるより先に、犯罪者を世界から一掃できるのでしょうか?

『DEATH NOTE』は、作画が見事な、超常サスペンスです。12巻の驚くべきクライマックスまで、読者を捕らえて離しません。



大ヒット作ということで、私ごときが言う話でもない気はしますが、ほんっとうに面白かったです。マンガ、アニメともに、血眼で観ました。特にクライマックス前の異様な引力は、私の中では『ドグラマグラ』の最後の100頁並みでした。

コミックス初版の100万部最速到達記録。世界累計発行部数3000万部突破。


第4位 『AKIRA
著者:大友克洋



Akira (Part 6) (KCデラックス 339) Akira (Part 5) (KCデラックス 166) Akira (Part4) (KCデラックス 14) Akira (Part3) (KCデラックス 13)


『AKIRA』は黙示録後の東京を舞台としたSFサイバーパンクの大作であり、1980年代のマンガの水準を引き上げた作品です。大友克洋の非の打ちどころがない完璧な描画、そして物語の壮大なスケール。多くの人々がこの一作で、マンガには大人向けの物語媒体としての広大な可能性があることに開眼したのです。



これはもう、海外での評価という意味では誰しも納得でしょう。以前、ご紹介したフランス人ライターによるマンガ論文でも、『AKIRA』はかなり大きく取り上げていました。→こちらです。


第3位 『NANA
著者:矢沢あい



NANA 21 (りぼんマスコットコミックス クッキー) NANA 20 (りぼんマスコットコミックス クッキー) NANA 19 (りぼんマスコットコミックス クッキー) NANA 18 (りぼんマスコットコミックス クッキー)


矢沢あいの『NANA』は、東京の20代の生き生きとした鼓動を伝えてくれる、ファッショナブルでロマンティクな少女マンガシリーズです。

ナナという同じ名前の2人の少女が電車で出会い、偶然の重なりによっていっしょに暮らすことになります。小松奈々は大都市で愛と中途半端なそこそこのキャリアを探している少女であり、大崎ナナは上昇中のロック・シンガー。スタイリッシュな絵と洗練されたストーリーを縒り合わせて、この2人の少女の人生と愛を描きます。



19巻時点(現在21巻)で、発行部数4300万部。映画化された頃は、まさに「猫も杓子も」な一大ブームでした。
私がもっと若かったら、もっと感情移入したでしょうし、確実に大ファンだったと思います。無念。


第2位 『蟲師
著者:漆原友紀



蟲師 10 (アフタヌーンKC) 蟲師 9 (アフタヌーンKC) 蟲師 8 (アフタヌーンKC) 蟲師 二十六譚 Blu-ray BOX


シンプルとはいえ、魅惑的な絵で語られる洒脱なストーリー。この意味では、『蟲師』はマンガの稀少種でしょう。そうして、この作品はまた、単純な解説を拒むマンガでもあります。日本の幽霊譚? 奇妙な出来事と超自然の存在をに注意を払うよう訓戒している寓話? 思いやりと友情と愛についての心温まる話? そう、『蟲師』はこのすべててあり、同時にそれ以上でもあります。

心とユーモアと知恵が詰め込まれた物語であり、ここ数年で米国で発行された新作の中でも、最高の作品の1つです。



『蟲師』もいずれやろうと思っているマンガの1つです。このジャンルは元来、自分のツボが深くて、襟首を掴まれたがごとく引き寄せられます。私的には、『蟲師』が好きだと言われるかたなら、今市子の『百鬼夜行抄』、波津彬子の『雨柳堂夢咄』も強くお薦めしたいです。


第1位 『子連れ狼
著者:小島剛夕小池一夫



子連れ狼 DVD-BOX 二河白道の巻 (4枚組) 子連れ狼 冥府魔道の巻 (特典ディスク付 4枚組ボックス) [DVD] そして-子連れ狼刺客の子 第4巻 (キングシリーズ 刃コミックス)


映画的な物語の運び方の、最も良質な例の1つと言われています。『子連れ狼』は、刺客、拝一刀と息子の大五郎が、復讐という最終目的にむかって、封建時代の日本を突き進むさまを描いています。

アイスナー賞(訳注:米国のコミック作家、ウィル・アイスナーにちなんで作られたコミックの賞)を含め、数々の国際的賞を受賞、フランク・ミラー(訳注:『バットマン:ダークナイト・リターンズ』や『シン・シティ』の原作も手がける米国の著名なコミック・ライター)などの多数のコミック作家たちに影響を与えました。



このマンガは最も早い時期に米国でブレイクしたマンガのようです。1970年連載開始、76年終了ですから、開始当時からはすでに40年!が経過しています。


あらすじすら知らなかったので、Wikipediaを読みにいったのですが、米国のWikipediaのほうが詳しい。面白かったので、印象的な部分だけ意訳します(ここからネタバレなので、お読みになる予定のかたは茶色部分は読み飛ばしてください)。


公儀介錯人の拝一刀は、柳生一族の陰謀により、妻を殺され、地位を追われます。その復讐のために、仇である柳生烈堂を探す旅に出ることになるのですが、旅に出る前、一刀は、たった1歳の息子に鞠と刀を見せ、どちらか一つを選ばせます。

もし、大五郎が鞠を選んだら、一刀は大五郎を殺して母のもとに送るつもりでした。ところが、年端も行かぬ子供だというのに、大五郎は手を延ばし、刀を手にとります。

ここから、大五郎は、父、一刀とともに、刺客を生業としながら、父に守られ、同時に父とともに、次々と襲ってくる柳生一族の息子たちと闘っていくのです。

物語の終盤、一刀はついに、柳生一族の総帥、柳生烈堂と相対するのですが、死闘の果てに深手を負って絶命します。大五郎はここで怒りのあまり烈堂の槍を奪うのですが、列堂はなぜか両腕を広げ、抗うことなく、その刃を胸に受け入れます。そうして、大五郎に向かって、「心の孫よ」と呼びかけ死に絶えます。

おそらく、すでに一刀と大五郎によって、息子たち全員を失っていた烈堂には、それが自分で選んだ最期であったのでしょう。



あらすじだけで、ちょっと泣けました。涙腺弱いなあ…。

『子連れ狼』の発行部数は日本国内830万部、全世界1180万部以上。小島剛夕が亡くなられているため、現在、原作、小池一夫、画、森秀樹によって『子連れ狼 刺客の子』が連載中です。




思わぬ収穫があり、個人的にはとても楽しい記事でした。

About.comのユーザー層から言って、さまざまな層を想定したオールジャンル、入門編的なシンプルで平易な解説を心がけねばならないでしょうから、これは意外に大変な作業だったろうなと思います。

年代や作風、ジャンルにかなりバラツキがあるのも、そのためでしょう。一般的に紹介しねばならないものと、自身が紹介したいもののバランスをとった結果だろうと感じました。


それでも、このガイドのかたの選択、そこここに個性が出ていて、興味深いです。『よつばと!』が『バガボンド』より上、さらに『蟲師』と『NANA』が『AKIRA』より上。この種のランキングの順位には、さほど意味はないだろうとは思いますが、自由奔放なかただわー…。



さて、『必読の日本のマンガ・トップ20』は今回で終了ですが、皆さんなら、なにを選びますか?

私は、これに『アカギ』、『11人いる!』、『スラムダンク』あたりは入れたいところです。…こういうことは考えはじめたら、キリがないのも確かですけれども。




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posted by gyanko at 21:00 | Comment(8) | TrackBack(0) | マンガ・アニメ | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
この記事へのコメント
  1. 一位が子連れ狼・・・渋すぎる(笑)
    なにか思い出があったり、原体験があったりするのかもしれませんね。

    ブリーチやナルトがあったので、こりゃワンピースはあるんだろうなと思ってましたが、なかった。まあジャンプ漫画ばかりあげてもなんですしね。ベルセルクがないのも意外かな。

    さすがに漫画好きが本気で20あげるとなるとハズレようがないですね。これでも日本の漫画のごく一部ですし、20じゃとても足りないというかw

    「11人いる!」は私も初めて読んだときの衝撃が忘れられない作品です。
    Posted by ぞの at 2009年07月09日 10:18
  2. 渋すぎるうえに、ほんっとに自由な人ですよね、選者のかた(笑。

    ワンピースは、以前どこかのサイトで、海賊という設定が海外では「物珍しくない」のが、『NARUTO』に比べて売上げが落ちる要因の1つじゃないかという意見を読んだことがあります。

    『ベルセルク』は、言われてみて、あ!たしかに!ベルセルクなんでないんだろうと思いました。海外での評価もすごく高いんですけどねえ…。
    Posted by gyanko at 2009年07月09日 15:48
  3. 2位に蟲師がくるとは・・・
    いや好きだけどめっちゃ人を選ぶ漫画だと思うんだ

    できればジョジョの奇妙な冒険も入れて欲しかったが、どうもこの記事書いてる人は日本らしさというか日本独特の文化みたいなものが色濃く反映されてる漫画が好きなようだな
    Posted by at 2009年08月17日 21:07
  4. 古典的名作だと「ドラえもん」。もうぶっちぎり。原作は意外と毒があるし。

    「銀河鉄道999」も毎回趣向の違う箱庭惑星を訪問しながら、
    機械の体になる事への疑問を積み重ねていく過程が素晴らしい。

    「寄生獣」は読み返すほどに完成度の高さに震撼する。

    「ジョジョ」はメジャー誌でおきた奇跡。

    「動物のお医者さん」は、医者系+動物系+日常系で
    安心して読めて好き。

    20位にはいるかわかんないけど、
    吸血鬼という手垢の付いたテーマを料理しきった
    「ヘルシング」もなかなか。(海外での人気も凄いらしい)

    あと単行本をずっと持っているのが、「犬あそび(一條裕子)」。
    犬好きなのに飼わない言い訳を続ける気持ちがすっごくわかる。
    絵のゆるさもたまらない。

    「江戸むらさき特急(ほりのぶゆき)」。
    あずまんがのような日常系4コマ漫画+侍成分。
    海外進出すべき。
    Posted by ぽこた at 2009年08月18日 01:06
  5. 子連れ狼はハリウッド映画にも大きな影響を与えています。
    舞台をマフィアの抗争に置き換えた映画「ロード・トゥ・パーディション」とか、タランティーノの子連れ狼オマージュである「キル・ビル」とか。
    あとスターウォーズEp2のジャンゴ・フェットとボバ・フェットの親子(ただしボバはクローン)関係も子連れ狼の影響を受けている。
    Posted by at 2009年08月22日 20:09
  6. >その復讐のために、仇である柳生烈堂を探す旅に出ることになるのですが、
    この辺が事実と違いますね。是非読んで頂きたい作品です。
    Posted by at 2009年11月18日 20:56
  7. ハガレンが圏外とか・・・
    ランク付けした人頭おかしいね
    Posted by at 2009年11月23日 11:51
  8. ナルトやドラゴンボール辺りは
    ガキ向けでも売上げ見れば一目瞭然
    ハガレンなんて中途半端なガキ向け漫画
    ランク外に決まってんだろ。
    Posted by at 2010年10月18日 11:28
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