2009年07月28日

海外の評価 - 宮本茂 - その1

宮本茂が「ゲーム開発者が選ぶゲーム開発者のヒーロー」に選ばれたというニュースが流れたのは、もう一ヶ月ほど前かと思います。私も何カ所かで読みましたが、毎度のことながら、読み流してしまっていました。


おそらく、私だけではないのじゃないかと思うのですが、宮本茂が賞を取ったと聞いてもさほど驚かないんですね。言い方を換えれば、驚けない。下手をすると記憶に残らない。

これはやはり、これまでにも数多くの賞を受賞してきたという経緯と、凄い人が凄いことになっても、それは実際のところ、人の注意を喚起するニュースにはならないという良い例なのでしょう。ビートルズが今更、何か賞を取ったところで蛇足感が漂うのと同じかもしれません。


そのうえ、宮本茂はどこか柔和な印象があるかたで、インタビューなどでも、あまりアクの強い発言はなさらない。というより、厳然とした言葉を発したとしても、そう響かないんですね。ものすごく印象が良い。

うがった言い方をすれば、先代の任天堂の社長、山内溥のような、ある種の毒があると、ニュースもまた形を変えて、人の記憶に留まりやすいのでしょう。


参考までに、山内 元社長の語録の中で、私がかつて爆笑した談話を。

山内 『3DO』というのはね、 世間が何と言っているかちゅうとね『発売前から消されることが確定した』とみんなが言うているわけですよ。

−−誰がでございますか?

山内 誰が言っているかといいますとね、まずソフトメーカー、そして流通関係者、そしてソフトメーカーなんかみんなが異口同音にそう言っているわけです。

−−山内さんご自身は?

山内 僕個人の意見をいうとね、およそ物事に100%ということはありえない。 人間ですから。そこで僕は今言っているんですけれどもね、「あれは99.9%駄目だ」と言っているんです。

−−でも、少しは可能性がある?

山内 ない。



強烈ですなあ…。任天堂という会社には、現社長といい、今回取り上げる宮本茂といい、本当に魅力的なかたが多いなあと思います。


ともかくも。
冷静に考えれば、いや、冷静に考えなくても、宮本茂というかたは、『ドンキー・コング』や『スーパーマリオブラザーズ』に始まり、『ゼルダの伝説』、『ピクミン』、『nintendogs』、『Wii Fit』と、そのどれか1作だけを取っても、十分に歴史に名を残せるほどのゲームを作ってきたかたです。

Wikipediaによると、ディズニーの副社長で、ディズニーインタラクティブスタジオの代表者であるグラハム・ホッパーは宮本を「ビデオゲーム産業において世界規模で何度も成功した一握りの人間であり、更にそれが長期間に渡っている人物。おそらく彼と同じレベルで肩を並べられるクリエイターは存在していない」というほどの評価を勝ち得ている人でもあります。


Wiiであそぶ ドンキーコング ジャングルビート ニュー・スーパーマリオブラザーズ ゼルダの伝説 夢幻の砂時計 Wiiであそぶ ピクミン2nintendogs チワワ&フレンズ


これほどの人物を私なぞのサイトであらためて語る必要はないと言われれば、それも確かなのですが、ゲームファンとしてやはり一度は取り上げてみたいのも本音でございます。

そんなわけで、今回から数回に分けて、あえて、この「凄いニュースをつい読み流してしまうほどに、凄いことが当たり前な」宮本茂の海外評価をお送りしたいと思います。


まずは、きっかけとなった「ゲーム開発者が選ぶゲーム開発者のヒーロー」選出の記事から。


宮本、「ゲーム開発者が選ぶゲーム開発者のヒーロー」に選出される。

イギリス、ブライトンで開催されるDevelop Conference(訳注:欧州のゲーム開発者が一同に会して、さまざまな人を招き講演などを行なう会議)が、宮本茂に英雄の座を送った。


Develop Conference(7月14〜16日、ブライトンで開催)が実施した調査で、「ゲーム開発者にとっての、ゲーム開発者のヒーロー」は、日本のゲームの伝説、宮本茂であることが分かった。


今回の調査では、全世界9000人のゲーム開発者が投票し、ほぼ3分の1(30%)の回答が、宮本茂を彼らの究極の開発者ヒーローであるとした。印象的な開発者たちが居並ぶトップ10の首位ということだ。順位は以下の通り。


1. 宮本茂
マリオシリーズ』、『ドンキーコング』、『ゼルダの伝説』、『スターフォックス』、『ピクミン』、『F-ZERO』といった伝説的ゲーム・シリーズや、『Nintendogs』、『Wii Music』等の作品を作り出したことから、しばしば現代ゲームの父と言われる。

2. ジョン・カーマック
id Softwareの共同創立者であり、『Doom』や『Quake』の主席プログラマー。

3. ウィル・ライト
Maxisの共同創立者であり、『シムシティ』、『シムズ』シリーズ、そうして最近では『Spore』を作った頭脳。現在、エンターテインメント・シンクタンク、Stupid Fun Clubを運営している。

4. デイブ・ジョーンズ
Realtime Worlds(『クラックダウン』、『All Points Bulletin』)の創立者にして、Rockstar North(前DMAデザイン)の共同創立者。大ヒットゲーム、『レミングス』や『グランド・セフト・オート』の制作者。

5. シド・メイヤー
MicroProse Software社の共同設立者であり、『シビライゼーション』の制作者。宮本茂に続いて、Academy of Interactive Arts and Sciencesの殿堂入りを果たした2番目の人物。


Wii Music DOOM 3 普及版 (日本語マニュアル版) SPORE ギャラクティック アドベンチャー グランド・セフト・オートIV【CEROレーティング「Z」】


6. ピーター・モリニュー
大英帝国勲章を受章。『フェイブル』や『テーマパーク』はもちろん、『ダンジョンキーパー』、『ポピュラス』、『ブラック&ホワイト』といった、いわゆるゴッドゲーム(訳注:神の視点で操作するゲーム)を創った。

7. デビッド・ブレイベン
Frontierの創立者であり、イギリス人プログラマー。大ヒット作『Elite』の共同制作者として最もよく知られている。『The Outsider』で、また一つ新しい作品とさまざまなゲームプレイを提供してくれるはずだ。

8. 松浦雅也
コンピュータ音楽の新境地を切り開いたことで名を馳せる。『パラッパラッパー』のリリースはゲーム業界に嵐をもたらし、主立った賞を総なめ、ゲームの世界の様相をがらりと変えた。

9. マイケル・モーハイム
Blizzard Entertainmentの共同創立者であり、社長。『ウォークラフト』、『スタークラフト』、『ディアブロ』といったシリーズや世界最大のMMORPG『World of Warcraft』の伝説的クリエーターでもある。

10. ジョナサン・ブロウ
Independent Games Festivalでゲームデザイン賞)をとった『Brade』の開発者。


シヴィライゼーション4 ビヨンド ザ ソード 完全日本語版 FABLE II(フェイブル2) Xbox 360 プラチナコレクション(DLC:「ノットホール島」「未来の行方」収録)【CEROレーティング「Z」】 パラッパラッパー ウォークラフト3 REIGN of CHAOS 日本語版


「宮本sanがゲーム開発者が選ぶゲーム開発者のヒーローなのは驚くようなことじゃない。……この30年間、彼は、ゲーム業界を進化させてきただけじゃなく、人々の生活も変えるようなゲームを創り続けてきたんだ。彼は、ゲーム内容を決して犠牲にすることなく、独創的な作品を開発する技能の達人でありつづけてる。新鮮で、なおかつ大衆市場向けのゲームの、だ」。こう語るのは、ブライトンのDevelop Conferenceのオーガナイザーであり、Tandem Eventsの最高経営責任者、Andy Laneだ。

彼はこうも語っている。「我々は、今年、ブライトンで7月14〜16日に行われるDevelop Conferenceで、このトップ10の開発者のヒーローたちから3名が、つまり、デイブ・ジョーンズ、デビッド・ブレイベン、そして松浦雅也が代表講演を行うことに興奮している」。

Develop Conferenceについて。
第40回Develop Conferenceは2009年7月14〜16日まで英国、ブライトンのヒルトン・メトロポールで行われる。30以上のさまざまな地域から1200人のゲーム開発者が集うもので、欧州のゲーム開発者にとっては最も大きな会議として確固たる地位を築いている。●



このニュース記事についたコメントが以下です。

■小島(訳注:『メタルギアソリッド』の小島秀夫)はどうした!

■待て、ゲイブ・ニューウェル(訳注:『ハーフライフ』のクリエイター)は? 凄いリストではあるけど。

■ビッグ・サプライズだ。おめでとう、宮本。

■宮本はヒーローじゃない。彼は伝説だ。

■宮本と競えるやつなんかいないだろ。

■誰も宮本には叶わないよ。アメリカン・コミックならスタン・リーが、ゲームなら彼だ。

■Rock on Miyamoto!

■『Wii Music』がそんなに伝説的だとは言えないけど、……でも、イエス、宮本はベストだな。

■ジョナサン・ブロウが1つゲームを創っただけでリストに入れるのは、素晴らしいことではあるけど、彼よりこのリストに入るべき人たちがいるよ。
三上真司(訳注:『バイオハザード』、『デビルメイクライ』、『逆転裁判』)
小島秀夫
坂口博信(訳注:『ファイナルファンタジー』)
須田剛一(訳注:『零 ~月蝕の仮面~』、『NO MORE HEROES』等)
スタンパー兄弟(訳注:レア社の創業者。『バンジョーとカズーイ』、『あつまれ!ピニャータ』)●



9000人のゲーム開発者が投票し、そのうち30%の票を得て1位に選ばれたというのに、このコメント欄の数の少なさ、落ち着きっぷりはなかなか興味深いものがあります。「だからなに?」的な空気感すら醸し出していると言いますか…、宮本茂が選出されるのは想定内のことであって、驚くに値しないということなのかもしれません。


第2回の明日は、すでに周知の、米誌TIMEで「世界を変えた100人」に選ばれたときの記事と、………ちょっと異色な宮本茂の誕生日を祝う記事をお送りします。



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posted by gyanko at 21:00 | Comment(8) | TrackBack(0) | ゲーム | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
この記事へのコメント
  1. イギリスでの投票だけあって、微妙な人がチラホラ入ってますけど、まあそれは日本でやっても同じですかね(笑)

    宮本氏はこれだけ世界で尊敬されているのに、肝心な日本での一般的な知名度がイマイチな気がするのが残念です
    あらゆる業界において、今現在最も有名な日本人といっても過言ではないと思うんですけどね・・・
    Posted by ロイ at 2009年07月28日 23:03
  2. >最も有名な日本人
    ホントそうですよね。

    >一般的な知名度がイマイチ
    ……そ、そうですか、一般的にはイマイチですか。ハッとしました。ゲーム関連の記事を日々読んでるせいか、このかたの知名度は日本でも超が付くと思い込んでいました…。バランスがヤバいかもしれません、私。我に返った気分です。
    Posted by gyanko at 2009年07月28日 23:33
  3. 確かに日本では、あまり有名じゃないよね。
    今までの功績からイチローくらい有名でもおかしくないのに。
    Posted by at 2009年07月29日 00:07
  4. 横井軍平も押したい所だが
    Posted by   at 2009年07月29日 11:41
  5. やはりイチローが野球のスターで、野球そのものがアメリカで大きな立ち位置を得てるのが大きいんでしょうか…。


    横井軍平ですか。良案をありがとうございます。宮本茂に比べるとやはり、ネットに資料が少なそうなのですが、米国のWikipedia特集というのをいずれやろうかなと思っているので、そのときにでもやろうかなと考えております。
    Posted by gyanko at 2009年07月30日 22:40
  6. やっぱりすごい人だな。
    前に株主総会でDSLに宮本茂さんに
    サインしてもらった。
    大事にしなきゃ。^^
    Posted by wasabi at 2009年08月03日 05:50
  7. 中国人の大学生が挙げる最も有名な日本人がフィールズ賞の数学者だったりしますよね
    なにが基準かわからない
    教科書に取り上げられたら知名度は爆発的に上がる
    Posted by 犬彦うがや at 2009年08月03日 10:07
  8. 別にいまいちな人まざってないんじゃないかな?
    カーマックとかは技術者として、現行の規格や
    今のグラフィックに達してるのは彼のおかげの部分が
    多々あるし
    Posted by at 2009年08月17日 12:58
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