2009年08月31日

外国人による外国人のための「日本のゲーム業界で働く方法」 その3

続きでございます。

プラチナ・ゲームズに移る前、Jean Pierre Kellamsのキャリアはカプコンから始まる。そこで彼は、『ゴッドハンド』、『モンスターハンター』、『逆転裁判2』といったタイトルのローカライズに関わっていた。また、『バイオニック コマンドー』の初期ストーリーや脚本草案も担当した。プラチナ・ゲームズに参加してからは、『Mad World』(訳注:国内未発売)の脚本や編集、『ベヨネッタ』のローカライズが彼の仕事である。

彼のアドバイスはこうだ。


ゴッドハンド PlayStation 2 the Best 逆転裁判2 NEW Best Price!2000 BAYONETTA(ベヨネッタ) 特典 スペシャルサウンドトラック「RODIN'S SELECTION」付き


日本(語)は、「なるべくなら」というものではない。

日本にいるのなら、日本語を話せ。最初の一歩を踏み出そうとしているなら、日本人の条件に合わせて、日本の会社とコンタクトを取り、交流ができる環境を自身で作る必要がある。日本語を話せて、日本在住であれば、これは大変に役立つ。

より一生懸命、より良く、より速く、より強く働くこと。

日本の会社にとって、キミを雇うことは、特にキミが日本国外在住の場合、尋常ではない苦労がつきまとう。開発会社に就職するためには、何度も面接と試験を受けたうえに、ビザを取らねばならない。未取得の場合、キミがビザ取得にふさわしい人物であることを証明してくれる書類仕事に何ヶ月もかかるのだ。

このことを心に留めて、会社に対して何を頼めるのか、現実的に考えねばならない。会社がキミのために余分な努力をしなければならないということは、キミが、もっと楽に雇える誰かより明らかに秀でた人物でなければならないということだ。日本人は、常軌を逸した仕事好きだし、それに負けぬほど才能のある人々だ。確かに、キミの文化的な背景のおかげで、美学的にも技術的にも言語的にも、物事を違った面から洞察できるかもしれないというのは、キミの有利な点かもしれない。だが、似たような日本人の応募者よりもっと良い、あるいは同等のスキルで、この有利な点を補完する必要がある。究極、会社がキミを雇うために、しなくてもいい作業とリスクを負うだけの価値がある人材でなくてはならないのだ。

(これには例外がある。高レベルのプログラマーだ。リサーチや新技術の多くが西欧で進められたり、開発されているため、日本の会社は、いかなるマイナス点があろうとも、第一線の西欧のプログラマーにはより広く門戸を開けている。給与体系が異なるので、日本の産業全体として、西欧の才能あるプログラマーを惹きつけることにどれだけ成功しているのかはわからないが、日本の会社はおそらく、もっとスキルの高い、経験のあるプログラマーを、他のどんな職種より求めている。)

人生は、キミの期待通りには行かない。

日本に住むのならば、常に心に留めておかねばならない、ちょっとした暗黙の了解がある。キミのパスポートの国籍がどこであろうと、どれほど人々や国や言葉を知っていようと、キミは日本人には決してなれないということだ。本屋へ言っても、キミの母国語の本はさほど買えないだろうし、買い物へ行けば、店員がキミに接客できるのか迷う気まずい瞬間がいつもある(キミがアジア人に見えるのに日本語が話せない場合は、彼らがそのことに気づいた瞬間の気まずさ)。キミが自身のことを「違う」と感じていようといまいと、最初の「相違点」はオフィスの会話から始まるだろう。

これは悪いことではない。いろいろな意味で、新体験という生き生きとした興奮に繋がることだ。けれども、当時に、精神的にうんざりとさせられもする。その言葉が持つあらゆる意味において、キミが「アウェイ」であることを処理できなければ、おそらく、ここでは物事は進まない。

応募にオタクであることは必要ない。

できるかぎり日本人らしくあれば、日本での就職には良いだろうと考える人は多い。だが、ちがう。

キミがどんなにアニメ、JPOP、日本映画等々を愛していても、キミよりもっと知識のある日本人がいる。これは常識だ。彼らは、そうしたものに囲まれて、父母や祖父母の文化的影響を吸収しながら育ってきたのだ。

キミの第一のセールス・ポイントが、文化や知識の架け橋となり、似たような背景の人々でいっぱいの部屋に新鮮な風を送り込むことだというなら、キミがやるべきことは『ナルト』の膨大な知識をもつことだとか、アニメ風のデザインでいっぱいのファイルを見せることではない。商品の背景が違えば人々の反応はどう違うのかを知ることであり、様々な影響や変動を示すファイルをもつことなのだ。

違いを大事にし、溶け込むことに努力すること。

キミは、違っていることを期待されると同時に、同じであることも期待されるだろう。背景が違うために、若干の自由は許されるかもしれないが、一般的には、日本人社員に望まれていることは、キミにも望まれる。ときに「間違っている」と思われるエチケットやルールの混乱は、「きちんと」しなければならない。会議で書類を配る順番だとか、備品を買うのに何枚の書類が必要かとか、謝罪の際のマナーですら(直接、尋ねられない限り、何が失敗の原因だったのか説明してはいけない。ただ、謝ること)、キミの先輩の文化に基づいたやり方に沿わねばならないだろう。

けれども、キミは同時に違いも大事にしなければならない。キミは日本人ではないし、それが彼らがキミに求めているものでもあるのだ。恐れずに、違った視点から意見を言おう。ただ日本以外の国々を代表して意見を言うふりをするということではない。彼らはキミが日本人ではないと知って雇っている。だから、キミの文化的アイデンティティの要素を大事にしなければいけないということなのだ。●


Dylan Cuthberthは、京都にある開発会社、キュー・ゲームズの創立者である。最も知られているのは、PSN(Play Station Network)のゲーム、『PixelJunk』だろう。Cuthberthは1989年にゲーム業界に入り、Argonaut Software(訳注:イギリスのゲーム制作会社。『ハリー・ポッターと賢者の石』、『ハリー・ポッターと秘密の部屋』等)に参加した。のちに、日本の京都で『スターフォックス』、『スターフォックスII』といったタイトルで仕事をし、1990年代には、米国SCE、日本SCEの双方で主任プログラマーを務めて、PS2の『サルゲッチュ』を制作している。

彼のアドバイスはこうだ。


ハリー・ポッターと賢者の石 (Playstation2) ハリー・ポッターと秘密の部屋 (GameCube) スターフォックスコマンド サルゲッチュ サルサル大作戦 PSP the Best


くつろいだ時間を地元の人たちと。

進んで日本人のスタッフたちと出かけよう。彼らと飲みに行き、夕食を食べ、彼らと親友になるんだ。これは、最も重要なコツの一つだ。海を渡ってやってきたのに、特に、相互理解という面では、境界線を引くかのようにガイジンの友達に執着する人があまりに多い。

日本語を覚えろ!

言い訳は効かない。インターネットには山のような助けがあるんだ。しかも、多くは無料とくる。ネット時代の前に比べれば、昨今、日本語を習うのはとても容易い。

日本語を話せ!

できるときはいつでも、日本語を話して、話して、話すんだ。そうすれば、酔っ払ったとき、流暢に日本語を話してる自分に気づくはずだ!

心を開こう。

日本文化は、西欧の人間にとってはとても難しい。しかも、一見したところでは、はっきりわからないような、小さなささいな事で難しいことがたくさんある。日本人ははっきりとものを言わないと言われているが、カジュアル・ゲームの開発現場では、これはちがう(仕事上の話し合いにおいてだけだが)。日本語というのは、決定的に直截的であるということでは最高位に位置する。日本語ならたった一言で表せる感情が、英語だと文章になってしまうことがよくある。

比べてばかりいるな。

なんでも西欧のようにやるべきだと不平を言うな。このトラップにはまるガイジンは多い。日本には多くのクールなものあるし、驚くほどユニークな文化がある。これは、西欧のようじゃないから、なのだ。常に、バランスを心がけよう。僕は、同じことを日本からアメリカへ行って働き、日本のやり方とちがうと嘆いていた人にも言ったことがある。国や文化は様々だ。均質な世界などない。そんなものは、あったってつまらないだろ。●


この記事をプリントアウトしておこう。ブックマークして、記憶させて、セーブしておこう。

たぶん、旅立つキミの役に立つし、到着してからもキミの日々の助けになるだろう。これを読んでおけば、痛い目に遭わずにドアをこじ開けられるってものだ。

働くことはきつい。海外で働くことはもっときつい。違う言語と取っ組み合い、違う文化がそこにある。だが、そこへ飛び込み、がんばり、長期間滞在しようという人たちにとっては、新しい方向へ自分を押し出すという個人的充足感があるだろう。

海外で働こうと決めている人たち(ゲーム業界でもその他の分野でも)、なによりもキミたちは、日本について学んではいない。それどころか、母国のことも、そうして、キミ自身のことも、だ。



あらかじめ調整したわけではもちろんないでしょうけれど、ほぼ同方向の内容になっているのが面白いなあと思いました。日本語を話す。日本に住む。日本の慣習を受け入れる。日本人と友達になる。……郷に入って郷に従いつつ、自分にしかできない仕事を目指す。どう考えても、母国で仕事をしたほうがスムーズだろうと思うのですが、あえて苦労を選んだ原動力がたぶん「夢」というものなんでしょうなあ。

明日は、この記事についたコメントをお送りします。……長文コメントが大変、多いです。



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posted by gyanko at 21:00 | Comment(14) | TrackBack(0) | ゲーム | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
この記事へのコメント
  1. ちょっと気になってた部分がずっとあったんだけど、西欧西欧言う割にはどうもUSA限定の事象が相当多いと思うなぁw

    外国を外国として認識できないところから始まって全てそこをベースにした誤解がありそ。
    Posted by at 2009年08月31日 22:59
  2. 日本人が外国で働く為の心構えとあまり変わらないんじゃないかな。ゲーム業界限定とも言えない内容だし。

    日本人は「郷に入りては…」を子供の頃から事あるごとに聞かされてるから、違う事が当然っていうのがベースにあって、なるべくそれに自分をフィットさせなきゃいけないと自然に分かってる人が多そうだけどね。出来る出来ないに関わらず。
    Posted by at 2009年08月31日 23:48
  3. ゲームの本場は言わずもがな日本だが
    現在のゲーム市場の主流はアメリカとなってる

    市場規模は世界一、ヒットソフトを出すメーカーの数も世界一
    そんな国から来た人達だからアメリカ流が一番と考えて
    初めは行動してしまうんだろうなぁ

    けれど日本のゲームだって売れてないわけじゃない
    海外のメーカーが育ってきたから相対的に日本ソフトの市場が縮小しているだけだと思う

    実際、日本のゲームが無かったら世界のゲームソフトは
    銃撃ちまくりのFPSと奇妙なカートゥーンキャラだけになってしまうと
    意見して和ゲーを支持してくれた外人さんを見たことがある

    この記事の人達は日本の独自性に理解を示してしてくれたから日本で成功できたんだろう
    Posted by at 2009年09月01日 00:03
  4. >日本語というのは、決定的に直截的であるということでは最高位に位置する
     日本語ならたった一言で表せる感情が、英語だと文章になってしまうことがよくある
     
    オレは逆に英語やスペイン語の字幕を見ると「文字少なっ!」って思う時が有るけど
    Posted by at 2009年09月01日 00:24
  5. >オレは逆に英語やスペイン語の字幕を見ると「文字少なっ!」って思う時が有るけど
    「あなたとひとつになりたい」を
    「Fuck me」としたのには吹いた
    Posted by at 2009年09月01日 02:03
  6. 普遍的すぎて、何も言うことがないね。
    成功の哲学やら、人生を切り開く自己啓発とかと同じで、
    何処に言っても、何をやっても通じる内容だね。
    同時に、だからなに?という内容でもあるけど。

    わからないのは、ここまでしてなぜに日本のゲーム業界なのか?
    ということ。
    同程度の苦労をするなら、はるかに報われる業界が、
    数限りなくあるのに。
    Posted by at 2009年09月01日 02:44
  7. ああ、ゴメン。上のは無し。
    よく読んでなかった。そうか。
    任天堂やSCEの一部なら、確かに働く価値はあるかも。
    Posted by at 2009年09月01日 02:52
  8. >何処に言っても、何をやっても通じる内容だね。
    >同時に、だからなに?という内容でもあるけど。

    逆に言うと、これすら出来ず「とりあえず渡日!」って人が多いんじゃないの
    Posted by at 2009年09月01日 05:09
  9. 他の方々が言われている様に 特に目新しいことを語られている訳じゃないが、此れを踏まえての彼らの反応が気になる。次回大変みたいですけど頑張ってください。
    Posted by at 2009年09月01日 09:52
  10. 日本語て「あいまい」てよく言いますよね
    でも、日本語ネイティブ同士だと「あいまい」さがほぼ正確に伝わるんですよねぇ
    まあ、他の言語も同じかもしれないけど
    Posted by 犬彦うがや at 2009年09月01日 11:24
  11. >任天堂やSCEの一部なら、確かに働く価値はあるかも。

    世の中には金や将来性より憧れを追求するロマンチストがいるんです
    セガ、カプコン、コナミあたりは数え切れないくらい世界的名作を出してきたんだから、そこに憧れてやってくる外人がいくらいたっておかしくないよ
    それにカプコンやコナミは下手な海外パブリッシャーより遥かに業績好調だしね
    Posted by   at 2009年09月01日 16:30
  12. >任天堂やSCEの一部なら、確かに働く価値はあるかも。

    世の中には金や将来性より憧れを追求するロマンチストがいるんです
    セガ、カプコン、コナミあたりは数え切れないくらい世界的名作を出してきたんだから、そこに憧れてやってくる外人がいくらいたっておかしくないよ
    それにカプコンやコナミは下手な海外パブリッシャーより遥かに業績好調だしね
    Posted by    at 2009年09月01日 16:41
  13. 二重投稿すみません
    Posted by at 2009年09月01日 16:42
  14. >「あなたとひとつになりたい」を
    >「Fuck me」としたのには吹いた
    ※欄読んで麦茶吹きそうになるとは思わなかったwww
    Posted by at 2009年09月01日 21:02
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