2009年08月07日

海外の声 - ハチ公は泣けます -

明日公開のリチャード・ギア主演『HACHI 約束の犬』。1987年製作の『ハチ公物語』のリメイクです。

アメリカでは、6月13日のシアトル国際映画フェスティバルでの上映後、なぜか公開が12月18日。ワールドプレミアが日本なんですな。……全米公開は、クリスマス時期に当てる気でしょうか。気が長いなあ。


↓『HACHI 約束の犬』予告編。




犬がめちゃめちゃカワエエです。そしてまた、リチャード・ギア。犬が似合う俳優ですなあ。すっかり「ステキなおじさま」風味になられて、若い頃の胡散臭さはどこへやらです。(『アメリカン・ジゴロ』はリチャード・ギアの胡散臭さが最大に発揮されてる、大変面白いサスペンスです。売れっ子ジゴロが事件に嵌められていく話。週末にでもどうぞ。)


さて、『忠犬ハチ公』と言えば、特に本や映画を観ずとも、日本人なら誰でも知っている「小さな史実」と言ったところでしょう。北米ではいかがなものかと思い、探してみたところ、オリジナルの『ハチ公物語』はリリースされておりませんでした。かわりに見つかったのが、Hachiko Waits(ハチ公は待つ)というハードカバーの本。

レビュー数は少ないのですが、12件中11件が5つ星、残り1件が4つ星という高い評価を得ていました。


まずは14人中14人が役立つと評価したレビューから。

評価:★★★★★ 動物好きに送る可愛らしい子供向けの本の新作

ハチ公は素晴らしい子犬で、主人である上野教授とともに暮らしています。毎朝、教授は電車に乗る際に、ハチに同じ言葉をかけます。「なんていいこだ。お前は本当にいいこだよ。ハチ、お前は日本中で一番の犬だ」。午後になると3時かっきりにハチは、再び主人を迎えるために駅に戻ってきます。けれど、ある日、教授は電車から降りてきませんでした。ハチ公は待ちます。そうして、ハチは10年間待つのです。親切な少年、ヤスオがハチをそこから引き離し、暖かい家へ連れていこうとしても、だめでした。ハチは、主人の帰りを諦めることなく待ち続けた犬として、すぐに日本中に知られるようになります。そうして、世界でも。

私は動物の物語が大好きですし、日本の文化にも常々興味をもっていました。なので、この本が本当に好きです。著者のLesiea Newmanは、犬であっても、猫であっても、その他の動物であっても、きちんと世話をされている限り、動物が主人に抱く愛情というものを文章にするという素晴らしい仕事をしました.文体は見事ですし、若年層の読者を何時間でも夢中にさせてしまうでしょう。Machiyo Kodairaのゴージャスな白黒挿絵も物語を生き生きとさせています。すべての動物好きに絶対に、読んでほしい必須の本です。

Erika Sorocco
Community Bugle Newspaper
書評コラムニスト●



次は16人中14人が役立つと評価したレビュー。

評価:★★★★★ ハチ、お前は日本一の犬だ。

東京の渋谷駅には、一匹の犬の銅像がある。主人を10年間待ち続けた秋田犬の忠誠心と献身的愛情を忍ぶために、1934年に建てられたものだ。彼の主人は大学教授だったが、仕事中に倒れ死んでしまう。ハチの習慣は、仕事から戻ってきた主人を待ち、それからいっしょに家まで帰ることだった。だが、彼には、なぜ主人が戻ってこないのか理解できない。彼は、駅の彼の場所で死ぬまで忠実に待ちつづける。彼に敬意を表すために、銅像が建てられたのが、この場所である。これは、本当にあった話であり、演出はない。

「なんていいこだ。お前は本当に良いこだよ。ハチ、お前は日本中で一番の犬だ」。これは、上野教授が毎日、大学で教鞭を取る仕事に向かう前、駅でハチに語りかける言葉だ。そうして、ハチが最後に聞いた教授の言葉でもある。ハチは駅が閉じ、駅長が外に出るように促すまで、そこで待ちつづける。

教授と仲が良かった少年、ヤスオと彼の母親がハチを連れ帰るが、ハチはめったにいない「主人は一人」という犬だった。彼は逃げてしまう。誰も、ハチが昼夜どこにいるのか知らないが、午後3時5分前になると、いつもハチは現れて、駅が閉まるまで待つのである。これが10年続くのだ。

しばらくすると、人々がハチのことに気づきはじめる。人々は彼を可愛がり、心配し、餌を与え、彼を連れて帰りたいと申し出る。新聞は彼の物語を書き、遠くからも近くからも、彼に会うために人々が訪れる。彼は、献身的愛情と忠誠心、そうして人間のベストフレンドの象徴になる。が、こうした間も、ハチは冷静であり、最も重要なことは、忍耐強かったということである。彼は、自分の主人を待っていたのだ。

今日、ハチの物語は、日本中の学校で語られている。毎年、渋谷駅のハチ公の銅像の足下で、彼を追悼する特別な式典が行われる。生涯を通じて、ハチは、その忠誠心のために、人々に愛され、尊敬され、讃えられて、忠犬ハチ公と称された。(忠犬=忠誠心のある犬、公=尊敬を表す言葉)これもまた演出はない。

史実を書く物語において、著者は物語に入り込み、そこへ読者をともに連れていくという自由と権利をもっている。Leslea Newmanと挿絵のMachiyo Kodairaは読者を、その駅へ、そうしてハチ公のそばに連れて行き、彼の非凡な献身と愛を感じさせてくれる。あたかも自分が、ハチ公を連れて、そこにいるかのようにだ。ヤスオが成人し、若い女性と出会うときも、私たちはそこにいる。物語の序段で、駅長がヤスオに言う。ハチの世話をすると約束したことは、思いがけない幸せを呼ぶかもしれないよ、と。そう、そうなるのだ。これは、読み逃していけない物語だ。

ハチ公の物語の中で、ハチが触れ合い、影響を与える人々の話はすべて、涙なくしては読めない演出だ。そう、この話を読んでいると、深い感情から逃げられなくなるのだ。涙が溢れ、また次の涙がそれを洗い流す。ハチ公はあなたの心を勝ち取る物語だ。●



このレビューには、ご本人の返信を含め、33件のコメントがついていました。面白かったので、いくつか抜粋します。

■昨日、本を受け取って、一気に読んだの。私が読む前、夫も私の父も読みたいって言ってた。この本を薦めてくれてありがとう。これは涙製造機。ずっと考えてた。「どうしてこの子犬を誰かが引っ張って行って、たくさん愛してあげないの?」。少年がそうしようとしたのもわかってる。それでも犬は残ったのよね。でも、やっぱり、新しい家族を愛せるようになるまで、もう数日、ハチを家にいさせてあげられなかったのかって思う。かわいそうなハチ公。……彼はたくさんの愛をたくさんの人に運んだのね。彼はまだそうしているんだろうと思う、心の中という意味では。

■素晴らしいレビューだった。なんて悲しい話(ハッピーエンドであっても)。かわいそうな犬、あああああ。

■この本を私の妻に薦めないでほしいもんだ。彼女、泣き叫ぶだろうから。素晴らしいレビューだった。

■この本のことを何かで読んだ。待って待って待ち続けた犬のことよね。この本を注文するつもり。11歳の娘も読んでくれるといいんだけど。

■この話大好き。アニマル・プラネットで観たのよ。もう涙製造機、まさに。



次は、5人中5人が役立つと評価したレビュー。

評価:★★★★★ 忠誠心と愛情

ハチ公。美しい金茶色の秋田犬の子犬は、彼の主人、上野教授の愛すべき、そうして尊敬すべきペットだ。この尻尾の巻いた犬はハチと言い、上野教授が日本の字、八が幸運と考えたことから名付けられた。ハチは教授の8匹目の秋田犬であり、とても特別な性質の犬だと教授は感じていたのだ。上野教授とハチは毎朝、通勤の駅までともに歩き、3時になると、ハチ公は渋谷駅に賭け戻った。駅長は、ハチがいれば時計をセットできると言うほどだった。

1925年5月、ハチを飼ってから15ヶ月目、上野教授は仕事中に突然死んでしまう。忠誠心のある彼の犬は、それでも駅で彼を待ちつづける。他の人が彼を飼おうとしても、だ。少年、ヤスオが5歳のときに最初に犬に会い、それから上野教授に出会って、教授が死ぬとハチの部分的な主人になるという、物語の脇筋は感動的で素晴らしい。美しい挿絵が、この本に輝きを与えてもいる。

これは、文化を共有するという意味で素晴らしい本だ。日本語が、日本の食べ物や伝統についての短い解説と用語集とともに入っているのもいい。

これは、あなたを泣かせるかもしれない美しい本であり、読む価値も十分にある。すべての年齢層の読者が、優しい教授と、主人の帰りを諦めずに待ち続けた忠誠心のある秋田犬を愛するだろう。

1935年、ハチ公は、揺るぎない献身的愛情の象徴として銅像になった。巻き尾のもう一匹の犬、マラミュート犬のバルトが1925年にアラスカの猛吹雪の中を薬を運び、銅像になったように、彼らは歴史の一部となり、その不屈の魂をもって讃えられたのだ。●



最後にたった1件だけついていた4つ星のレビューを。

評価:★★★★ 短すぎる

私は13歳の読書が好きな女の子です。犬の本が大好きなんですが、これは短すぎました。●



最後の女の子、かわいいですねえ、アハハハ。「もう子供じゃないので」的背伸びもちょっと見えて、余計にかわいい。



↓励みになりますので、よろしければ、ひとつ。

人気ブログランキングへ

   
posted by gyanko at 21:00 | Comment(11) | TrackBack(0) | | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2009年07月03日

海外の評価 - 吉川英治の『宮本武蔵』-

宮本武蔵エントリの第3回は、『バガボンド』の原作としても知られる吉川英治の『宮本武蔵』です。宮本武蔵の本といえば本書と言ってもいいほどの国民的名作です。


宮本武蔵〈1〉 (吉川英治歴史時代文庫) 宮本武蔵〈2〉 (吉川英治歴史時代文庫) 宮本武蔵〈3〉 (吉川英治歴史時代文庫) 宮本武蔵〈4〉 (吉川英治歴史時代文庫)


学生時代、うっかり1巻だけ買ってしまい、次巻を求めて近所の本屋に駆け込んだのは、この本と司馬遼太郎の『竜馬がゆく』でした。続きものは最初に全巻買ったほうがいいという教訓を得た本でもあります。


宮本武蔵〈5〉 (吉川英治歴史時代文庫) 宮本武蔵〈6〉 (吉川英治歴史時代文庫) 宮本武蔵〈7〉 (吉川英治歴史時代文庫) 宮本武蔵〈8〉 (吉川英治歴史時代文庫)



米国アマゾンでは、この本にいくつかのプレス・レビューを付記しています。

「日本で120万部のベストセラー。読めばそれがなぜかわかる」-- Publishers Weekly

「魅惑的な作品」-- Atlanta Journal / Constitution

「感動的な英雄小説」-- Washington Post書評

「ドラマティックかつエキサイティング」 -- Philadelphia Bulletin




うんうん、そうでしょう、そうでしょう。
呼応するように、カスタマー・レビューも126件。評価も、88%が5つ星という高評価です。

5つ星:112件
4つ星:8件
3つ星:3件
2つ星:2件
1つ星:1件


こういう評価を見ていると、司馬遼太郎柴田錬三郎も、翻訳されれば、海外でも好評を博すのではないかなと思うのですが、残念ながら時代小説はあまり海外に紹介されていません。侍成分の入った娯楽作品は海外で需要が高いとはいえ、小説というのは、マンガや映画に比べれば、なかなか敷居の高いジャンルなのかもしれません。



では、米国アマゾンから、62人中60人が評価したレビュー。

評価:★★★★ 日本の最も有名な剣豪を描いた素晴らしい冒険小説。

20世紀初期に書かれた、この日本の小説は、昔の日本の偉大な剣豪、宮本武蔵の人生と時代を詳述している。宮本武蔵は、やる気に満ちてはいるが、かなり野卑な若者として人生をスタートさせ、剣の道の鍛錬を通して、彼が選んだ武器の達人となる。だが、この物語は、人生を鍛錬で過ごし、鋭い鋼の刀による殺人術を完成させた男の話というだけではない。古く神々しい日本の伝統の中で、自身に打ち勝ち、よりよい人間となるための道を探した男の物語でもあるのだ。

日本の武士階級の中で培養された仏教では、闘いや殺人といった、西欧の目から見れば、おびただしい血で染められた活動も、ある精神的な次元では許されている。それは、武蔵自身が自らを消耗させて打ち込む鍛錬という次元である。彼が出会い、かつ彼につきまとう人々が不利益を被ることにはなるのは、その結果なのだ。

武蔵は中世日本の封建社会の中で、平凡な道には落ち着くことができず、単純にいずれかの君主の藩に士官することもなく、浪人(君主に仕えない侍)として人生に乗り出し、そして、完全を求めて、終わりのないように見える旅路を進んでいく。

旅の途中、武蔵は、彼を愛する若い女と出会い、また、冒険の中で相手に損傷を与えた代償として、彼を破滅に追い込もうとする多くの敵と出会う。彼は、数多の日本の武術の達人と剣を交えるが、1人の僧侶との決定的な出会いによって、正しい道へと導かれていく。そして、最後には、ツバメ返しで名を馳せた、偉大なる敵との死闘の中についに聖杯を見いだす。ツバメ返しとは、そのあまりの素早さと痛烈さのために、急降下して宙返りする鳥を飛行中に空で斬ってのけるという剣術である。

この闘いは、それだけでも、武蔵が達人となるだけの理由をもった闘いではあったが、彼自身は受けるつもりがなかったかもしれない闘いであった。というのは、この敵は、日本で最も武術に長けた男だったのだ。

だが、武蔵が知っていたように、技術的手腕というより、侍としての技量が勝敗を分けた。単なる技術上の熟練度より、自らの人生を真に生きることが勝ったのだ。

武蔵は、彼の頂点とも言える、この闘いにおいて、事前に一種の心の平静を獲得していた。彼は、ツバメ返しの達人に勝利するためなら、危険を顧みず、死を恐れなかった。そうして一方で、敵対する相手を動揺させるため、彼の荒々しい人生を通じて学んだすべての戦略を応用したのである。

武蔵は最後に、かなり高齢になるまで生き、同時代の大多数の人々とは違って、彼自身の戦術を語った高名な『五輪書』を著したのち、床で死ぬこととなる。




19人中18人が評価したレビュー。

評価:★★★★★ 時代を超えた古典。

私が最初にこの本を読んだのは、1982年、日本の東京でアメリカン・スクールに通っていた学生の頃だった。数千頁に及ぶ、この本を一目見たときはかなりおじけづいたが、最初の数頁を読み始めるともう本を置くことはできなかった。

この本は、私の中にある日本の伝統をより素晴らしく理解させてくれただけでなく(私は半分日本人である)、私たちが追求していること、つまり、自身の理解、私たちの周囲の見えるもの、見えざるものへのアプローチ方法、人生に対する静かな覚醒といったものへの基礎的で、より素晴らしい洞察を与えてくれた。

読後、私は世界中で働き、暮らすことになったが(ラテン・アメリカ、西欧、東欧、ロシア、米国)、土地の文化と一体になることができる自分に気づいたし、この物語から得た「人生訓」が、各地の文化の考え方と織り合わされることにも気づいた。

「道」という言葉が現在、主要なビジネス書で引用されているのは興味深いことだと思う(トム・ピーターズ(訳注:米国の経営コンサルタント)の最近の素晴らしい著作を何冊か読めば、私の言っている意味がわかるはずだ)。こうした理解への追求はイーリアス(訳注:ホメーロスが書いたと言われる、ギリシア神話を題材にした叙事詩)にまでさかのぼるが、この本では1個人の(この場合は武蔵)の成長、成熟、開花を辿り、内なる悪魔を打ち負かすために彼が立ち向かった数々の闘いを経験することができる。

一乗寺下がり松の下での闘いは、困難な状況の中で完全に自己を抑制した状態で働く人間を描いていると言ってもいい。私は自分が困難な状況にいるときいつも、時間をとって、この章を読む。そして、その後、武蔵自身の著作「五輪書」を読むのだ。

最低限でも、日本文化をより深く理解したい人はこの本を読むべきだろう。



トム・ピーターズのサラリーマン大逆襲作戦〈1〉ブランド人になれ! (トム・ピーターズのサラリーマン大逆襲作戦 (1)) トム・ピーターズのサラリーマン大逆襲作戦〈2〉セクシープロジェクトで差をつけろ! (トム・ピーターズのサラリーマン大逆襲作戦 (2)) トム・ピーターズのサラリーマン大逆襲作戦〈3〉知能販のプロになれ! (トム・ピーターズのサラリーマン大逆襲作戦 (3)) トム・ピーターズの起死回生


13人中13人が評価したレビュー。

評価:★★★★★ ただの本ではない、人生訓である!

本屋の棚にこの本を初めて見つけたとき、僕はこう思った。「こんな分厚い本を読むやつなんて頭おかしいよ」。そう、全2巻、1080頁(ポルトガル語訳本)、週末に気楽に読む本ではないよね。

自分でもどうして買ったのかわからないけど、最初の100頁を読んだら、もう本を手放せなくなってた。トイレに行くのにも腕に挟んでもっていく本なんだ。強迫神経症的読書というのは、こういうことを言うんだろうね。

最初の巻を読み終わった後、次の巻を買うのをもう1日も我慢できなかった。そして、全巻を読み終わると、僕は、宮本武蔵の情報を探してネットを何時間もさまよったんだ。


この本はただの武術の本なんかじゃないよ。平凡な物語でもない。東洋の価値観、美徳、禅、仏教への偉大なる入り口だ。『宮本武蔵』とは、人生、そして人生の意味を追い求める本なんだ。すべての頁、すべての行、すべての武蔵の言葉が勉強であり、ゴール、完全、精神的充足を探して人生を過ごした1人の男からの真の人生訓なんだ。


僕は日々、この本を推薦して回ってるけど、まだ十分じゃない。だから、今すぐこの本を買ってくれ!!




最後のかたのレビューが一番、私の気持ちに近いものでした。『竜馬がゆく』を読んだ後もそうでしたが、ああ、もっと読みたいと思いましたもんね。興奮気味の気持ちを持て余しているのに、もう読む頁がないというのが寂しすぎました。


時代小説というのは敬遠される人も多いかもしれませんが、私にとっては当たり外れが最も少ないジャンルで、旅行に行くときなどに、かなり適当に本屋で選んでもあまり間違いません。

ちょうど梅雨どき、外に出る機会も減る季節ですし、まずは『宮本武蔵』からいかがでしょうか。



明日は、『バガボンド』です。


↓励みになりますので、よろしければ、ひとつ。

人気ブログランキングへ


   
posted by gyanko at 21:00 | Comment(3) | | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2009年07月02日

海外のロング・ベストセラー - 宮本武蔵の『五輪書』- その2

昨日からお送りしている宮本武蔵の『五輪書』の米国アマゾン・カスタマーレビュー。


昨日の正統派マーシャル・アーツ指南書レビューに引き続いて、今日は自己啓発書、そしてビジネス書として読んだレビューを紹介いたします。


五輪書 (講談社学術文庫) 五輪書 (岩波文庫) 五輪書 (ちくま学芸文庫) 対訳・五輪書


最初は、自己啓発書として読んだかたのレビューです。


評価:★★★★ 剣をもち、闘うこと。

この本は、すべての人が読むべきだろう。ここにはすべてがある。武蔵は、献身的情熱と自尊心と規律、そして、誠実で純粋な考え方に満ちた世界へ読者を誘ってくれる。この本は、まったく共通点のない時代と文化のもとで、武士のために書かれた本であるというのに、自分を啓発するための素晴らしい示唆の源なのである。

武蔵の教えは、明快である。武蔵は、「これを理解しなければならない」あるいは「これを勤勉に鍛錬しなければならない」という言葉を用いて、一般的だが、疑いようがなく基本的な武士道の考えを解説している。こうしたガイドラインは、私たちの時代や年齢では直接、応用できるものではないが、私たちが自分自身と闘うという意味では、この本は応用が可能だ。外面はもちろん、内面を改善するために努力する、ということだ。


この本が前向きな本だと言ってしまうのは嘘になるだろう。文字通り、これは、効率的だが、啓発的な人殺しになるための本なのである。この本の価値は行間を読むところから生まれる。この行間こそがあなたになにかを語りかけるものだ。本当に多くのものがそこに詰まっている。




次は、ビジネス書として読んだ人のレビュー。

評価:★★★★★ ビジネスと武術

本書は、侍、宮本武蔵によって1645年頃に書かれたものであり、軍事戦略に関する古典的著作と考えられている。武術本というだけなく、実に広く人々に楽しまれている。たとえば、仕事における紛争協議や相手より優位に立つといった方法を、この本の中に見いだすビジネス・リーダーたちもいる。


本書で使われている『一流』は、『五輪書』の他訳書で言うところの『二天一流』であり、この言葉は、文字通り訳せば、「2刀、1天」という意味である。


この本で一貫して明らかにされているのは、武蔵にとって主眼はゴールであり、ゴールに辿り着く方法は二の次であるということだ。彼はこう書いている。「二天一流では、長刀でも、小刀でも勝つことができる。言わば、二天一流の道とは、武器がなんであれ、大小に関わらず、勝利こそが神髄なのだ。」


同様のことがビジネスにも言える。仕事の尾ひれよりむしろゴールに集中するリーダーこそ、真のリーダーなのだ。例をあげれば、2000年のインターネット・バブル(訳注:米国市場を中心としたIT関連企業の投資の異常な高騰)は、ビジネスの本当のゴール、純利益を忘れた経営者たちによって引き起こされた。株価に取り憑かれた人々は、巨額の損失や減収から倒産した。彼らは、収益を産み出す資源より、洒落たオフィス・ビルだとか家具だとかに注意を払った。武蔵はこう書いている。「長持ちする馬に欠陥がないように、武器もまた同じである。馬は強く歩かねばならず、長刀と小刀は強く斬れねばならない。槍や矛は度重なる使用に耐えねばならず、弓や銃は頑丈でなくてはならない。武器とは、装飾ではなく丈夫さが肝要なのである」。


武蔵はまた、生涯を通じて自分の技術のバランスを保つように奨励している。このバランスとは、陰陽のことであろう。何かに精通しすぎてはならず、また精通しなさすぎてもいけない。1つの武器に慣れ親しみすぎたり、使いすぎることも武蔵は勧めていない。慣れ親しみすぎると、1つの考えに固執してしまうからだ。自分の心を敵に読み取られることになり、心の動揺や、過度な冷静さの原因になる。これは、ビジネスには大変重要なことである。ウォーレン・バフェット氏(訳注:アメリカの著名な投資家)が良い例であろう。


マンガ ウォーレン・バフェット―世界一おもしろい投資家の、世界一儲かる成功のルール (講談社+α文庫) バフェット流投資に学ぶこと、学んではいけないこと―個人投資家にとっていちばん大事なノウハウ 最強の投資家バフェット (日経ビジネス人文庫) ビジネスは人なり 投資は価値なり―ウォーレン・バフェット


バフェット氏の際立った性質は、氏の形態変換の能力である。彼は1960年代の資料では、70年代や80年代初期とはまったく違うことを言っている。初期、彼は、単純な統計上の標準株や典型的な小型株といった格安の株を買い始め、その後、人気株を買い、それから大企業の経営権を買う時期に入って長期投資家となった。そして、21世紀に入ると、価格に活気が戻ったということから、驚くべきことに、今度は再び小型株を買いだしたのだ。 彼は数十年にわたって、巧妙に戦略を用いて、つねに変貌を遂げている。どこかの期間から彼の戦略を抜き出して固め、次の数十年で再現しようとしても、彼の活動にはならない。武蔵はこれをこう書いている。「お気に入りの武器をもってはならない。1つの武器に慣れ親しむことは、それを効率的に使用する方法を知らないのと同じことだ。人まねをしてもいけない。ただ、自分に合った武器を使うのだ。好き嫌いは指揮官にとっても兵にとっても良くないことである」と。




16世紀の日本で書かれた本が、時代や文化や国を超えて、さまざまに読み解かれているというのは希有なことではないかと思います。(紀元前に書かれた兵法書、『孫子』もこうした意味で広く読まれているものの代表例ですが)。


背水の陣で雌雄を決するというのは、武蔵の時代ほど死を目前にした厳しいものではないにしろ、どこの世界でも起こりうることであり、このあたりが、物語上の伝説とは別に、宮本武蔵を後世まで語り継がせている大きな理由なのだと思います。



明日は、吉川英治の『宮本武蔵』。やはり、米国アマゾンのカスタマー・レビューです。



↓励みになりますので、よろしければ、ひとつ。

人気ブログランキングへ


   
posted by gyanko at 21:00 | Comment(3) | | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
×

この広告は1年以上新しい記事の投稿がないブログに表示されております。