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『下妻物語』は、嶽本野ばら原作、ロリータ少女とヤンキー娘の友情を描いた2004年の映画。カンヌ国際映画祭と同時開催の、青少年向けコンペ、カンヌJr.フェスティバルで邦画初のグランプリ。フランスでは、邦画としては過去最大約100館で上映されたヒット作です(Wikipedia)。
英語タイトルは『Kamikaze Girls』。一見、ベッタベタですが、存外に作品内容と合ってはいて、これはこれでよろしい気もいたしますが、レビューでは不満の声がちらほらとございました。
そんなわけで、評価の内訳です。46件のレビュー中、
5つ星:29件
4つ星:14件
3つ星:2件
2つ星:0件
1つ星:1件
93%が4つ星以上という高評価。
まずは、17人中17人が役立つと評価したレビューから。
(あらすじ紹介も兼ねており、ネタバレ満載なので、ご覧になる予定のかたは読み飛ばしてください。)
評価:★★★★★ ありがちな、安っぽい生き方ではなく、自分が思うように生きるということ。
近年、私が見た愉快な映画の1本が、嶽本野ばら原作のこの奇妙な映画だ。
夢見る少女、竜ヶ崎桃子は、東京の北、茨城県の下妻、要はド田舎で居心地の悪い思いをしている。彼女は、人目を惹くピンクのロリータ服に身を包み、白いパラソルをかざし、白の厚底靴をはきながら、ここがフランスの華麗なロココ時代(1715-1770)なら、もっと居心地が良いはずと感じている。
この彼女が、この映画の主人公であり、ときにカメラに向かって話しかけてもくる語り部である。
桃子は、祖母、負け組の父親とともに、平屋のみずぼらしい家に住んでいる。彼女の生まれ故郷、大阪湾の北東の海岸沿い、大阪の郊外にある兵庫県の尼崎という、騒々しい安売り天国とは大違いの場所だ。
彼女は、人生に対して個性的な考え方をしている。まず、一つに、値の張るロリータ服を買うために、クラスメイトがトラブルに巻き込まれたと作り話をして、父親の同情を買い、金を引っ張りだすことを平気でする。
人を騙したからって、何だっていうの?私の幸せがかかってるの。気持ち良くなることは悪いことじゃないわ。でも、私の心根が腐ってるのは確か。……自分が幸せになれるなら、そうしろっていう、60年代のメンタリティの再来だ。
一方、白百合イチコ。顔立ちは強面。話口調も乱暴。ときに短気で、レディース暴走族、ポニーテールのメンバーでもある。桃子の上品さには嫌悪を示し、唾を吐く。
そんな彼女が、コピーのヴェルサーチのジャケットがたった2000円で桃子から買えると知って、驚き、感謝する。これが、どう考えてもありえない友情の始まりだった。イチコは、桃子より現実的だし、人々に無関心でもない。言葉にマジ切れすると、桃子にヘッドバッドをかましもする。
イチコは、東京、代官山の閻魔という伝説の刺繍家を探そうとしていた。ちょうど、ポニーテールのリーダー、気性は荒いが品格のある亜樹美が引退することがわかり、イチコは、自分の特攻服に特製の刺繍を入れて、彼女に感謝の意を表したいと考えていたのだ。それには、金が要る。桃子はイチコに無理やりパチンコ屋へ連れ込まれることになる。
原作にはない場面もある。これがあなたの新しい友達よ。そう言って、桃子がキャベツを買い、それをイチコに手渡すというシュールで笑える場面。見なければ信じられないヘアスタイルをした竜二という下っ端のヤクザ。…ヒントは、竜二のニックネームが一角獣だということ。
それから、ヴェルサーチとユニバーサル・スタジオがコラボしたブランド品。桃子の父親が権利を無理して勝手に作った偽造品だ。映画中では、ヴェルサーチやユニバーサル・スタジオという言葉には、ピー音がかぶせられている。
また、日本のウォルマート、ジャスコで買い物をして節約する人々を皮肉る場面もある。チラシのモデルのようにポーズを決め、わざとらしい笑顔を作りながら、「このポロシャツがたったの800円」。桃子は顔をしかめて、「この街の人間は狂ってます」と嫌悪する。
『下妻物語』は、桃子役の深田恭子と、イチゴ役のロシア人とのハーフ、土屋アンナのダイナミックな演技に拠るところが大きい。深田は、スーパーキュートなロリータ服が大変に似合う。彼女の黄褐色の肌とミルクティ色の髪のコントラストは見事だ。子どもっぽい表情も、目を見開く様子も、見ていて楽しい。
土屋は、いつくかコミカルな演技を見せる。深田の気を引こうと、喫茶店、貴族の森でおどける場面。だが、失恋のシーンは、見るものの心を痛ませもする。桃子よりずっと人間らしいのだ。土屋のほうが、明らかに女優として良い。実際、この映画では、深田より多くの賞を勝ち取っている。
多岐に渡るサウンドトラックは、ペトゥラ・クラーク(訳注:60年代イギリスのガール・ポップス歌手)っぽい『Lucie Est Amoreuse』、感傷的なリサ・ローブ(訳注:米国のシンガーソングライター)といった趣の『She said』、ビートの効いたパワーポップ、『タイムマシンにおねがい』。管野よう子の曲は、甘いバイオリンの音から、ラグタイム・ピアノ、フレンチ・カフェ風アコーディオンのメロディーと幅広い。
この映画のもう1つのテーマは、自分にしかないものを見つけるということだ。桃子は、ロリータ服を身に着けていると安らぐし、刺繍に素晴らしい才能をもつ。イチコは土浦のバイクショップでバイクを修理していると幸せ。だが、人にどうしろといわれるのは好きではない。
また、ありがちな安っぽいものより、自身のスタイルを大事にするということでもある。つまり、ジャスコより、代官山のBaby The Stars Shine Brightというブティックってことだ。
『下妻物語』を見て、僕は、日本旅行のときに牛久大仏と下妻を訪ねた。下妻駅の内装は、映画とは違っていた。あの大きなテレビスクリーンはない。だが、桃子が電車を待っていたフラットフォームはそのまんまだった。
『下妻物語』は、おかしくて、突拍子のないカルト・コメディだ。日本好きには、面白いはず。特に、日本の若者やファッションに興味がある人には。
不満点が1つ。どうして『Kamikaze Girls』なんてタイトルにしたんだ?オリジナルのタイトルだと、なにか問題があったのか?
このレビューは、ヴェル○ーチとユニバー○ルの提供でお送りした。●
次は、10人中10人が役立つと評価したレビュー。
評価:★★★★★ 誰が見ても楽しい!
『下妻物語』は、キュートでおかしくて賢くて、目に楽しいゴシックロリータがいっぱい詰まった映画!主役の二人とも、意志が強くて、自立した少女。世の中の動きや、その中でどう生きるかということに、独特の感性をもってる。クエンティン・タランティーノやガイ・リッチー風の撮影方法が好きなら、この映画は大好きになると思います。男性でも女性でも楽しめるし、脇の登場人物もとても楽しい。この映画は誰にでも薦められます。
14人中13人が役立つと評価したレビュー。
評価:★★★★★ 現在、一番のお気に入り映画!
この映画は笑えて、泣けるんだ。超おかしい場面だけじゃなく、登場人物に同情させられる場面もある。最初、この映画を観たとき、完全にハマって、その後、数回観るはめになったぐらい!
登場人物は、好むと好まざるに関わらず、二人の正反対のキャラクターがお互いにどんなふうに惹かれ合っていくのかを見せてくれる。
それと、カンフー映画っぽいスタイルで撮られているね。
この映画は二人の少女の友情を描いたものかもしれないけれど、男だって大好きになるよ。この映画は、絶対に「ほしいものリスト」に入れておいてくれ!!
8人中8人が役立つと評価したレビュー。
評価:★★★★★ 素晴らしい。
二人の、表面上は似ても似つかない少女の話だ。でも、似ているのは、心の奥底ではわかってる。
こうした話は以前にもあったと考える人もいるかもしれない。でも、真実を言おう。あらゆるものは、以前にすでに作られている。ただ、僕の考えでは、これまでこれほどうまく出来たものはなかったと思う。
この映画の奇妙さとバカバカしさの奥底に、10代の少女たちが、大人になりながら、探しているものが垣間見える。…それは、簡単に言えば、みなが友達と呼ぶものだ。
まず、二人の少女がいる。一人は弱く、一人は強い。だが、彼女たちは二人とも聡明で、的確な描かれ方をしている。フリルの桃子は、ロココとロリータのファンタジーの衣の裏に隠れ、無作法なイチコは、突っ張ったしかめっ面の裏に隠れている。でも、二人の少女が見ないふりをし、ときとして、そこから逃げ出そうとしているものとは、この空虚で冷酷な世界で本当の友情を探すことなのだ。
これは、本当に美しく、賢い映画だ。桃子のジャスコの大衆ファッションへの嫌いっぷりや、逃げ出すためのイチコの作り話など、大爆笑の場面もしょっちゅうある。
購入してくれ。試しに一度観てみてほしい。…そうして、小さなニュアンスを楽しむために、繰り返し観て、自分が更なる深い部分に気づけるかどうか確かめてみてほしい。
8人中8人が役立つと評価したレビュー。
評価:★★★★★ 『下妻物語』は、感動するよ!!!
『下妻物語』のことを最初に知ったのは、Yahooグループの日本のロックで。Tommy heavenly6の音楽が、映画のテーマソングだったから。日本のサウンドトラックにどうしてこの曲が入っていないのか、よくわからない。たぶん、Go-Go'sの『Head over Heels』っぽすぎるとか思ったのかな。でも、すごい曲ってだけじゃなくて、この映画にすごく合ってたと思うんだけど。
初めて観たのは、ファンサブ。VCLメディア・プレイヤーのやつしかなかった。字幕を別で開かなきゃいけないっていう、ダッサい、よれよれの。別ウィンドゥで開いて、映画を流しながら、字幕をスクロールして観たんだよ。本当に最悪の映画の観方だったけど、映画はとても良かった。だから、たいした問題だと思わなかった。
この映画には、アニメが挿入されてるのだけど、『セーラームーン』みたいな感じとはちがう。もっと、通常の日本のテレビアニメっぽくて、ものすごく大げさな演出がされてて、これが面白いの。
『下妻物語』は、もうただ、おかしいの一言!でも、同時に感動もする。アニメのシーンは素晴らしいし。
ただ、ファンサブで、たった一箇所だけDVDより良いって思ったところがある。それは、冒頭の場面。アニメで暴走族のリーダーが、「あたしのバイクが火を噴くぜ」って言うところ。DVDの翻訳は、「点火するぜ!(ignite)」って訳してたけど、ファンサブは「火を吐くぜ(spit fire)」って訳してた。……ファンサブのほうが、ぜんぜん鮮やかだし、ドラマティック。でも、このDVDは買わないとだめよ。最初のところだけ、「火を吐くぜ!」って頭で変換して、あとは映画を楽しんで。その後の翻訳は見事だから。
Vizの公式リリースまで半年も待たされちゃった。でも、待った甲斐はあったな。本当はSuncoast(訳注:米国のショッピングサイト)のギフトカードを持ってたんだけど、注文しないとないっていうから、アマゾンへダッシュ。2005年のベスト映画よ!!!お願い、今日、注文して!!!!!
7人中7人が役立つと評価したレビュー。
評価:★★★★★ ファンタスティックな映画!
映画を勉強している学生として、この映画はとことん楽しめた。ばかばかしいお笑いだとか、アクションって以上のものがある。心を楽しませてくれる素晴らしいストーリーってだけじゃなく、びっくりするような様式的な感覚で目も楽しませてくれるんだ。
星1つの最低評価もございましたが、これは映画の内容ではなく、ワイドスクリーンで正常に見れないDVDフォーマットに関してでした(内容に関しては、この映画が大好きだと書かれていました)。
見はじめると、もうそのままついつい最後まで見てしまう映画ですので、週末にでもぜひ。
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