宮崎駿ファン、一斉に呪文を唱えて、Twitterの記録更新。
去る8月、ビヨンセ妊娠という天地を揺るがすニュースが、Twitterの1秒当たりの記録を作った。このときの驚くべき記録は、1秒間8,868ツイート。
ところが今回、日本のTwitterユーザーたちが、この記録を破った。先週末、1986年の宮崎駿の古典、『天空の城ラピュタ』が年に一度の恒例で放映されたのだ。
このとてつもなくラブリーな映画では、悪人ムスカが天空の城ラピュタを我が物としようとし、これを阻むために、ヒロインのシータは滅びの呪文を唱えざるをえなくなる。「ラピュタを悪人の手に落とすぐらいなら」と、シータはパズーと声を合わせて呪文を唱えるのだ。「バルス!」と。
この『天空の城ラピュタ』最大の山場で、Twitterは、大変な記録を打ち立ててしまった。なんと、1秒あたり25,088ツイート。このツイートの大半が、シータの声とともに、呪文をタイピングした人々によるもの。
簡単に言えば、シータが「バルス!」と言ったと同時に、Twitterが狂乱状態になってしまったのだ。
無邪気に笑っておけばいい話ではあるけど、……これでみんなにTwitterで騒ぐ、新しいネタを教えてしまったことにはなるなあ。●
古い日本のアニメが、Twitterの記録を破る。
日本はアニメが大好きだ。Twitterも大好きだ。
そんなわけで、先週、この国は、その二つが結びついたらどんなことが起こるのかを見せてくれた。つまり、世界記録樹立だ。
先週末、スタジオ・ジブリの古典アニメ、『天空の城ラピュタ』がテレビ放映され、日本では「バルス祭り」が開催された。「バルス祭り」とは、「バルス」の瞬間に「バルス!」と書き込むというシンプルな祭り。
『天空の城ラピュタ』のクライマックスは、滅びの呪文「バルス」が唱えられ、ラピュタが崩落していく場面だ。
この場面で「バルス」が唱えられた瞬間、まるで日本中がTwitterに集まり、「バルス」とツイートしたかのような有様となった。Watashi to Tokyoが伝えるところによれば、最高潮時で1秒あたり11,349ツイート。Twitterはこの乱打に耐えたのだ。
ツイート数は、ビヨンセの妊娠が発覚した際の1秒あたり8,868ツイートを抜いた。
前回、『天空の城ラピュタ』がテレビ放映されたときは、2ちゃんねるやニコニコ動画といったサイトが舞台となり、激しい乱打を受けた。今年、ニコニコ動画は、生ビューイング・パーティを開き、大変な騒ぎとなった。2ちゃんねるにいたっては、バルス祭りと同時に繋がらなくなったところもある。
日本の子どもたちは、ジブリを見て育つ。小児科医院や学校でも、ジブリの映画を観たり、音楽を耳にすることができる。
これは著名なオタクの学者が言った言葉だが、「日本の濃いアニメ・ファンで、「好きなアニメ監督は宮崎駿です」と言う人はいない。…つまり、宮崎駿が好きだというのは、「好きなバスケットボール・プレイヤーは、マイケル・ジョーダンです」と言うに等しい。わかりやすすぎるのだ」。
だというのに、『天空の城ラピュタ』が放映される前から、掲示板やTwitterでは、人々が「バルス祭り」が近づいてきていることを確かめ合っていた。
全体的に、フラッシュ・モブ的な要素がここにはある(訳注:ネット、特にEメールを介して不特定多数の人間が公共の場に突如集合し、目的を達成すると即座に解散する行為)。「だってみんながやってるんだもん」的な要素だ。
が、その核にあるのは、宮崎駿がいまだにネットの人々の心をとらえているということ。それも、数十年前の古いアニメなのに。
それにしてもだ。何万人もの人々といっしょに、今か今かとウズウズしながら、この映画を観るなんて、ただ観るよりもっと楽しいことではあるよね。●
■ハハハハハ。こりゃすごいわ。
ついでだけど、ジブリ作品をもっとブルーレイで出してくれよ。待ってるから。
コレクションをコンプリートしたいんだけど、今更DVDで買うのって馬鹿みたいだろ。
■最初に思ったのは、『ロッキー・ホラー・ショー』みたいな観客参加型の娯楽がTwitterに舞台を移したのかなってことだな。
(訳注:『ロッキー・ホラー・ショー』:1975年のイギリス映画。カルト映画の代表格。今で言うコスプレをした観客が週末ごとに集まり、映画を見ながら全員でお約束のツッコミを叫んだり、紙吹雪や米をまき散らす、更にはスクリーンの前で俳優が同時進行で演技するといった、パーティ形式の上映が定着した。)
■↑ワオ。…次のハロウィーンはそれだな。『ロッキー・ホラー・ショー』をテレビで見ながら、みんなでTwitterで騒ぐ、と。これは最高のアイディアかもしれん。
ロッキー、お前もなんか、呪文っぽい賢いこと言えよ!
■今日、私が驚き、まさに驚天動地だったのは、人々がビヨンセの妊娠に1秒間9000ツイートするほどの価値があると思っていたという事実だよ。ネットってのは、どうなってんだ、いったい。
■ちょっと、待てよ。ってことは、ネットで一斉にみんなで「バルス!」ってツイートしたってこと?……そりゃすげーわ。
■すごいよな。けど、宮崎の作品は確かに、人々にそれほどまでに愛される価値あるものだよ。
いっそのこと、Twitter全部、落ちちゃってもよかったな。そしたら、マジでものすごいニュースになったろうから。
■これ、僕が一番好きな宮崎映画であり、最高に好きなアニメの1つ。複雑なキャラクター、背景設定、引き込まれるストーリーが入った素晴らしい作品。しかも、CGもモーション・キャプチャーも使わずに作られてる。全部手書き。すごいだろ。
この作品の透明度、透光性を注意して見てくれよ。これで、手書きなんだぜ?
■↑嫁が日本人なんだけど、彼女に見せてもらったのが最初だった。素晴らしいよね。結局、二人でジブリ美術館にまで行っちゃった。
■↑オレもこれがお気に入り。これ見て育ったようなものだから。今、30歳。昔は、オリジナルのVHSテープで観てたなあ。まだ流通してなかった、唯一のまともな英語版吹き替え版をもってたことは、たぶんオレの最大の自慢だ。
この映画のテーマは、オレの幼少期の文化的体験に一番大きな影響をもたらしたものだったなあって、よく思うよ。
■僕も今、シータが滅びの呪文を唱える場面を思い出しながら、「バルス!」って子どもみたいに吼えてみた。
■Twitter、それでも落ちなかったとは。Twitterのサーバはラピュタよりも頑丈ってことか。
■『ラピュタ』大好きだ。宮崎の映画で一番好き。DVDももってる。ブルーレイで観れたらいいのになあって思う。まあ、DVDで満足しようとは思ってるけど。
■つまり、日曜の夜に家族で映画を観るっていうイベントが、まだ日本じゃ生きてるんだね。
それにしても、ムスカって、エルトン・ジョンに似てるよなあ。
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■>宮崎駿がいまだにネットの人々の心をとらえているということ。
皮肉だよね。宮崎は、現代テクノロジーが大嫌いなのに。
■さあ、みんなも、『ラピュタ』のエンディングを見ながら(この映画をもってる人なら、01:55:12あたりね)。
「バルス!!!!」
■見たか!ディズニー!
■真面目な話、みんな、ビヨンセの妊娠なんてことで9000近くツイートしたわけ?!?! マジかよ!
ビヨンセの記録を抜いてくれてよかったよな。マジで。
■アニメは大好きだけど、ジブリ作品は大嫌いなんだ。他のアニメでTwitter記録更新してくれよ。そのほうが、気分爽快だし。
■↑「大嫌い」か。きつい言葉だ。…僕には、ジブリ作品を「大嫌い」になれる理由がわからん。そんなきつい言葉で嫌われるようなことをやってるか?ジブリは?
■↑ま、ジブリに「萌え」はないからってことでしょ。
■アニメは好きじゃない(アニメだって言われたら、見には出かけないけど、良い映画だよって言われたら、アニメでも観るけどね)。でも、ジブリはほぼ全部好き。
僕が知ってる人たち(アニメ・ファンじゃない人たち)で、ジブリが嫌いだって人は、あまりに考えすぎなんだよな。
■ワオ。この記録がしばらく破られずにいてほしいなあ。ビヨンセとはちがって、これは本当に本当にクールだもの。感嘆した。
■『ラピュタ』は傑作でしょ。ハリウッドがもう何年も作れてない(『タンタンの冒険』は別として)、純粋な冒険映画。
■ああ、思い出すよ、『ラピュタ』。地元のテレビ局で放映したのを見たんだ。すっごい子どもの頃だ。中国語の吹き替え版に、さらにベトナム語をかぶせてるやつ。たった一度しか見てないのに、脳裏にまざまざと刻み込まれてる。
この映画の本当の名前を知るのに何年もかかった。ジブリのことを知るまでも長かった(だって、その頃のベトナムじゃ、ネットって新しいものだったから)。その後、アニメやらマンガやら、いろいろ僕の人生ではじまったんだよなあ。
日本で、この古典が再放映されてるなんて知らなかったよ。ありがとう。これから『ラピュタ』をまた見てみる。
■ここで、イギリス人にお知らせ。今月、Film4(訳注:英国の無料デジタルTV・チャンネル)でジブリ特集を放送中。『ラピュタ』は来週月曜。放映が朝の4時からってのが、唯一つらいところ。
■大っ好き、『ラピュタ』。自分で買うまで、毎月図書館から借りてたぐらい。僕のは日本版のオリジナル・テーマソングのやつ。でも、正直、米国版のほうが好き。だって、フル・オーケストラだもの。日本版はテクノっぽいんだよね。
■たぶん、一番好きな宮崎映画。
■↑オレも。米国だと、ものすごい人気ってわけじゃないけど、日本の人たちの大お気に入り作品なんだろうな、たぶん。
■大学生になるまで、宮崎映画は観たことなかった。でも、最終的には、僕と奥さんで、結婚式のときの最初のダンス曲に『ハウルの動く城』のワルツを選ぶことになったぐらい。ジブリ、最高だよね。大好き!
■↑可愛い話だねえ!『ハウルの動く城』のベーコンと卵の場面。めっちゃうまそうだったよなあ。
■宮崎映画を観たことがない、またはたくさん観てないというキミ。…今こそ、出かけて、観るときだ。幸福というものを具現化して、アニメ形式に結晶化したものがジブリ作品。この世界がもつ最も影響力のある力。
■『ラピュタ』、しばらく観てない。最近、ディズニーからブルーレイの『ナウシカ』が出てるのを発見してさ!もう永遠に出ないのかと思ってたよ。ジブリで一番好きなのが『ナウシカ』だから。ランラ〜ラララ〜ラ〜ラ〜♪
■古典映画が、二流のありふれたポップ・スターを打ち負かした。世界は正しく回ってるってことだろ。
コメントにあった『ハウルの動く城』のワルツ、『人生のメリーゴーランド』でウェディング・ダンス(結婚式で新郎新婦が初めていっしょに踊るダンス)↓。良い曲だなあ…とあらためて思いました。
Wedding dance Joe Hisaishi "Howl's Moving Castle Waltz" - Свадебный танец
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