2011年10月03日

海外記事 - 米国テレビドラマは、日本のドラマや女性向けマンガを参考にするべき -


本日はこちらから。

JEZEBELは、ファッションやセレブといった女性向けの情報を扱うサイト。月間1000万ビュー。ユーザーの70%が女性と言われています。


本日の記事は好評を博していた記事なのですが、いずれ…と思っているうちに忘れ果てておりました。ここらでやっておかねば、賞味期限も切れそうなので。


メディアのかたがたへご連絡:来年は、もっとダイナミックな女性キャラクターを作ってください。

2010年代も終わり、ベスト○○が取り沙汰される時期だが、はっきりしてることが1つある。『セックス・アンド・ザ・シティ』を除けば、米国にはメディアの象徴的女性キャラクターがリストを作れるほどいない。問題なのは、選べるほど数がないことだ。

ダイナミックな女性キャラクターがなかなか見つからない理由の1つには、アメリカ人の、性別に対する狭苦しい二元論がある。
このせいで、米国の娯楽作品は「男性層」と「女性層」にグループ分けされたうえ、誰もが「男性18〜30歳」の視聴者層をねらいたがる。この層の獲得に重点が置かれ、広告費もここにかけられるのだ。

その結果、現在、私たちをめぐる環境には、こうした女性層の「腰の低さっぷり」が当たり前のように組み込まれている。これを修復するにはどうしたらいいのか?

ここで1つの解決策になるのは、日本のポップ・カルチャーの現状、男女観、コンテンツ制作、そしてマーケティングに目を向けることかもしれない。

研究者、伊藤瑞子(訳注:、カリフォルニア大学アーバイン校、文化人類学准教授)は、『Beyond Barbie and Mortal Kombat: New Perspectives on Gender and Gaming』に「日本のメディア・ミックスにおけるジェンダーの力学」という面白い文章を寄せている。それによれば、日本文化は、性別を符号化するとき、米国文化とはやり方がちがうという。

伊藤はこれを、『ポケモン』や『とっとこハム太郎』を例にとって解説している。どちらも、男らしさや女らしさを符号化はしているものの、性別を問わず子どもに楽しまれているものだ。

伊藤はこう結論づけている。
「性差(訳注:でものを考えること)は他国と同様に日本でも盛んだが、流動性やクロスオーバーも存在するという点で米国とは異なる。日本のメディア・ミックス文化がますます海外に影響力を強めている昨今、このことを「情報としては有益だが、自分たちとは無関係な奇妙なこと」として片付けるわけにはいかない。
男の子ならこんな感じ、女の子はこんな感じという「文化として染みついた思い込み」のせいで、本来なら起こったかもしれない、ジェンダーに関する政治闘争や権利の主張が妨げられている場合もあるのだから」

なにか新しいものを読んだり見たりすると、伊藤の研究についてしばしば考えさせられる。私はかなりの量の米国産のメディアを消費する一方で、漫画ドロイド(訳注:Amazonで販売されているマンガを検索&購入できるアプリ)にとりつかれたり、mysoju.com(訳注:日本、台湾、韓国のドラマや映画紹介サイト)といったサイトに執拗に通う自分にも気づいている。なんといっても、米国と比べると、日本の女性向けコンテンツは数が多いのだ。

私がここで言いたいのは、日本のメディア・ミックスには性差別がないだとか(ないわけではない)、よくありがちなステロタイプに陥ってないなどということではない(ステロタイプはある)。
ただ、一般的に言って、女性モノのコンテンツを探そうと思ったとき、日本のメディア・ミックスのほうが段違いに多くの選択肢がある。しかも、作者が女性であることも多いとくる。

これからここで、ハリウッドや米国のテレビ産業にここを重視してほしいと私が思う5つの点を書いていこうと思う。


アクセサリってだけではない女性キャラクター

『ビッグバン★セオリー/ギークなボクらの恋愛法則』は面白いとは思うが、男二人の対決より、もっとペニーが大きな役割を果たしてくれていたらよかったのになあと思ってしまう。(ペニーが『ウォークラフト』にはまっていることを語った回で、彼女がストーリーを引っ張っていけることは証明済み)。


訳注:『ビッグバン★セオリー/ギークなボクらの恋愛法則』=ルームシェア中の二十代の仲良しオタクコンビ、レナードとシェルドンは、頭脳明晰な物理学者。が、どうも世間からズレていて、ルックスもイマイチなので女性にモテる気配もない。
そんな2人の部屋の向かいにある日、キュートなブロンドの独身美女、ペニーが引っ越してきたことから始まるコメディ・ドラマ。)

『ママと恋に落ちるまで』も見てはいるが、リリーとロビンがいっしょに登場するシーン(あったとしても全部で5回ぐらいだが)を見るたびに、テレビ画面に向かって「リリーを自由にしてあげて!」と絶叫したい欲求に駆られる。

訳注:『ママと恋に落ちるまで』=大都会にごく普通に暮らすテッドとその愉快な仲間たちの恋愛事情がコミカルに描かれたラブコメディー。
ロビンは、テッドの一目惚れの相手で、男勝りなキャリアウーマン。リリーは、テッドの親友の婚約者で、幼稚園の先生。)

私が言いたいのは、「気の強い親友」に恵まれない負け犬なんて立ち位置以外の女性主人公が見たいってことなのだ。(そう、『New Adventures of Old Christine(オールド・クリスティーンの新しい冒険)』、あなたのことよ!)

訳注:『New Adventures of Old Christine』=離婚し、シングルマザーとなったクリスティーン。子育てと仕事に忙しい彼女だが、元夫はすでに、一回りも年下のガールフレンドとラブラブであることを知る。しかも、自分と同名で、夫は彼女のことをニュー・クリスティーン、自分のことはオールド・クリスティーンと呼んでいるらしい。そんなオールド・クリスティーンの日常と友人たちとの関係を描いたコメディ・ドラマ。)

VIZ発行の雑誌、Shojo Beatが休刊するまで、私は2つのシリーズに惹かれていた。
1つは『紅色HERO』。これはバレーボールを愛するオテンバな女の子の話。私自身はスポーツに興味はないが、自分の運動神経の良さに申し訳なさそうにしつつも、一点集中型の主人公、のばらが面白かったのだ。
彼女が恋する相手はいるかというと、もちろんいる。でも、試合に備えて集中トレーニングとなると、恋もためらいなく振り切るのだ。


訳注:『Shojo Beat』=2005年にVIZ Mediaが北米で創刊した月刊少女漫画誌。年平均3万8000部を出すも、同じ時期に30万部以上を発行するShonen Jumpには遠く及ばず2009年休刊。が、サイトと単行本のShojo Beatレーベルは今も存在し、北米に少女マンガを紹介する役割を果たしている。)

紅色HERO 20 (マーガレットコミックス)

のばらはまた、他チームとの対戦のためにチームを結束させようと一生懸命だ。読めば、のばらに勝ってほしいと祈らざるをえなくなる。
こんなことを言わなきゃいけないのは変な話だが、男のためだけに存在するわけじゃない女性キャラクターを見られるなんてステキなことだ。

もう1つのシリーズは、私が大好きな『砂時計』。

砂時計 (1) (Betsucomiフラワーコミックス)

このコミックにも、恋する相手は登場するが、シリーズの最初の数巻は暗闇に包まれている。
主人公の杏は、母親の借金のため、島根の小さな町に引っ越さねばならなくなる。シリーズの大きな転機は、母親の自殺と、取り残された杏がそれに対処しねばならなくなるところだ。

表向き、『砂時計』は思春期のラブ・ストーリーに見える。が、読み進めるうちに浮かび上がってくる根本テーマは、成長だったり、愛情と貞節への考え方の変化だ。杏は、年をとるにつれて、人格の多くの面を成長させていく。
そうやって成長して大人になっていくキャラクターを見ていると、新鮮な気分になるのだ。


さまざまな人生を歩む女性を描いたストーリーを。

正直言って、23歳のとき、私はもうほとんどマンガを読まなくなりかけていた。輸入ものはどれも高校を中心にやりとりされていたし、ドラマとなると、さして人生経験のない人間にとっては、興味を持とうにも、初めて経験する要素が多すぎた。

が、幸運なことに、私がマンガを完全に読まなくなる前に、Tokyopop(訳注:米国でマンガの翻訳、出版を手がける会社)が『きみはペット』の連載を開始したのだ。これが私の「josei manga(女性マンガ)」への扉を開いてくれた。

『きみはペット』はもう、オープンニングからして私の心をとらえた。

きみはペット(14)<完> (講談社コミックスKiss (571巻))

スミレは、背が高く、高学歴の有能なキャリア・ウーマンだが、そこが理由で損をしているとも感じている。仕事でクタクタの中、上司を殴ってしまい、ついでに昔のボーイフレンドの泣き言まで聞かねばならない。

そこに、典型的なマンガの流儀だが、ありえないことが起こり、彼女と一人の少年を結びつける。彼女は少年をモモと名づけ、ペットと呼ぶことになる。
この物語の横糸は、年上であること、デート、寂しさであり、そこへ見る側の私たちの期待が重なる。

このマンガは実写版シリーズにもなり、人気作となった。ドラマのほうは、哀愁に満ちた原作より、かなり浮ついていて、間抜けな感じだったが、まあ、いい、松潤が出てるから。不平は言わない。

KImi Wa Petto


米国では、メリル・ストリープが、人生や愛のさまざまなステージにいる老いた女性たちを描くプロジェクトを一人で推し進めているところだ。同じような道を着実に進んでいる女優は他にもいる。

こうした、思い悩む、複雑な女性たちを描いた作品が見られるのは、興味深いことだ。なぜなら、そうしたイメージというのはおうおうにして削除され、かわりに、果てしなく明るくて、果てしなくビッチなガールフレンドだとか、複雑さなどみじんもない恋人なんてほうが支持されることが多いものだから。


働く女性

これは言っておこう。私は、リッチで有名な人たちのライフスタイルにはもう興味がないし、働く必要もなく、際限のない自由な時間を過ごす人々をテレビで見るのもうんざりだ。

『TVキャスター マーフィー・ブラウン』や『メアリー・タイラー・ムーア・ショー』を充実させていたのは、やはりワーク・ライフを描いたところだった。


訳注:『TVキャスター マーフィー・ブラウン』=アルコールとタバコへの依存から療養所に送られたテレビキャスター、マーフィー・ブラウン。療養所からテレビ局へ戻ってきた彼女と取り巻く人々を、時事問題や社会情勢を映しながらユーモアたっぷりに描いた大ヒット・コメディ。)

訳注:『メアリー・タイラー・ムーア・ショー』=30歳の独身女性が、婚約破棄の傷からミネアポリスへ引越し、テレビ局の秘書から、やがてプロデューサーになっていくというサクセス・ストーリー。)

ワーク・ライフが描かれていれば、『ザ・ヒルズ』への憎悪を飲み込み、『The City』の数エピソードをチェックすることだってできるというものだ。
いや、キャラクターはどうでもいい。ただ、私としては、ファッション雑誌で働くのってどんな感じなのかを知りたくてしょうがなかったのだ。(あれがテレビ用に作られたしょうもない番組だったことはわかってるべきだったとは思うけれども)。


訳注:『ザ・ヒルズ』=ロスアンゼルスの若者の私生活に密着した、建前上は「リアリティ番組」。)

訳注:『The City』=『ザ・ヒルズ』のスピン・オフ作品。『ザ・ヒルズ』シーズン1〜4に出演したホイットニー・ポートとその周辺を描いたドラマ。ファッション雑誌『Teen Vogue』の正社員の後、『ダイアンフォンファステンバーグ』のニューヨーク・オフィスで働く。)

スパイシーピンク』を読みはじめたのは、漫画ドロイドのおかげだった。これは、仕事と恋愛のバランスをどうとるかを描いた作品だ。
プロットは、私の好みからすれば少々進みがのろいとはいえ、キャリアを優先しつつ、女友達との関係もちゃんと維持する努力をし、20代後半の暮らしの多くを仕事に費やしている女性の話を読むのが本当に楽しかった。私にとって、これはリアルだった。

スパイシーピンク 1 (クイーンズコミックス)


取り繕わなくていい。

去年、友達の1人が、Jドラマのロマンティック・コメディ『ホタルノヒカリ』にはまり込んだが、これは当然といえば当然の話だった。

「蛍は、有名なインテリア・デザイン会社に勤めている。仕事は華やかだが、私生活といえば「華やか」などとはまったくかけ離れたものだった。一人暮らしの彼女は、仕事をしていないときは、ほぼぐうたら。部屋ではジャージで過ごしている。男に関心はなく、それどころか、何にも興味がない。遊びまわるより、ゴロゴロしていたいというのが彼女の信条だった。」

ビールをがぶ飲みし、ゲップまでする主人公。「干物女」(若くして乾き切っているという意味)な彼女への同僚からの忠告も完全に無視だ。

興味深いのは、この物語が、スタンダードな三角関係に面白いひねりをくわえていることだ。蛍は、「理想の女の子」である、彼女のライバルのことが大好きなのだ。男をめぐる女の争いの力学は、しばしば議論されることだというのに。

美しくつくろったJドラマは多くないのかって?もちろん、多い。けれど、ヒロインをあるがままに描いたドラマだって、Jドラマにはたくさんあるのだ。


『NANA』のような作品を一般的に。

私はよく、矢沢あいの人気シリーズ『NANA』の話をする。どうしてかといえば、この話には、女性を語る良質のストーリーの要素がたくさん組み込まれているからだ。

シリーズは、愛、生活、仕事、名声をテーマとしている。だが、物語のベースは大崎ナナと小松奈々の友情だ。キャラクターはそれぞれ自身の人格を備え、弱さももっている。

ツンとしていて、チェーン・スモーカーで、ヴィヴィアン・ウエストウッドを着た、未来のロッカー、大崎ナナ。ぼんやりしていて、恋に恋する、かわいい女の子、小松奈々。大崎ナナのファンになれば、一方で少しずつ小松奈々のことも知っていくことになる。

『NANA』がこれほど人気作になった理由は、自分の力で生きてはいるが、さほど成功しているわけでもない、20代の子たちの暮らしを決して見下すことなく描いているところだろう。

ハリウッドが2人の女性を登場させて映画を作ることに半信半疑であることぐらい、私たちはわかっている。おそらく、『NANA』の人気ぶりを彼らに説明すれば、こうした描写をハリウッドが描く余地もできてくるのだろうが。

備考:私は、百合やヤオイに関しては、どんな要素を米国に取り入れるべきなのか議論できるほど読んでいない。テンプレートを作れるほど十分な数の実写版が存在するのかもわかっていない。
けれど、日本のメディア・ミックスのホモセクシュアル表現に興味がある読者がいるのなら、知らせてほしい。将来、記事にするために調べておくのはやぶさかではないので。●



この記事についたコメントは次回。


   


<お願い>

かなり図々しいお願いなので、書くのを躊躇していたのですが。

IEでコメント番号がすべて1になってしまうという不具合について。……すみません、何度もご指摘いただいていたうえ、以前、コメントで修復方法をご示唆くださったかたまでいらっしゃったのですが(ありがとうございます)、恥ずかしながら「授業の内容がわからない小学生」状態で、具体的にどこをどう直せばいいのか理解できていないのでございます。

そもそも、コメント番号のタグも勝手にブログカスタマイズさんからのまんまコピペでございます(ありがとうございます)。

厚かましいのは百も承知でございますが、どなたかお時間のあるかたがいらっしゃれば、書き換えていただくわけにはまいりませんでしょうか。……コピペして修正いたしたいと思います…。すみません…。気長にお待ちしております…。

ちなみに、コメント番号のためにコピペしてはめ込んだ部分↓。


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posted by gyanko at 17:00 | Comment(133) | その他 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2011年10月01日

海外ゲーマーの反応 - 日本の最新ゲーム売上チャート:『ダークソウル』初登場1位 -

久しぶりのGAMESPOTのレギュラー・コーナー、『Big in Japan』記事です。


こちらから。


Big in Japan:9月19〜25日の週は『ダークソウル

デモンズ ソウル』の後継作が危なげなく1位。2位に、チームICOのバンドル版。ハードウェア売上チャートの1位は楽勝で3DS。



DARK SOULS (ダークソウル)(特典なし)

DARK SOULS プロモーション映像 第5弾



世界中のゲーマーたちがフロム・ソフトウェアの『ダークソウル』をいまだ待ち続けているというのに、日本では多くのゲーマーたちがすでに1週間以上、例の「ボコボコにされる体験」を楽しんでいる。

メディア・クリエイトの9月19〜25日分売上チャートによると、PS3向け『ダークソウル』は279,567本を売り上げた(本作は日本ではPS3独占)。

2009年に高い評価を受けた『デモンズ ソウル』の魂の後継作、『ダークソウル』では、ほとんど手がかりもないまま、ゲーマーたちが再びファンタジー世界へ放り込まれている。今作では『人間性』システムが導入され、ゲーム内でのプレイヤーの行動次第でさまざまな恩恵に浴することができる。
詳細は、最近のコラムを参照してほしい。
北米発売は10月4日、ヨーロッパが10月7日発売だ。

2位に入ったのは、『ICO/ワンダと巨像』の限定版コレクション。このバンドルは、ブルーポイント・ゲームズ(訳注:米国テキサスのゲーム制作会社)によるHDリマスター版で、初登場で91,902本の売上だった。別売りもされていて、『ICO』は13,420本で1420位、『ワンダと巨像』は7,941本で2014位。(訳注:修正いたしました。ご指摘ありがとうございました。助かります)

今週のチャートには、Xbox360のタイトルもトップ10に食い込んできた。『ギアーズ オブ ウォー3』が初登場4位、56,113本だった。本作についての詳細は、こちらのレビューを参照のこと。

マーベラスエンターテイメントの新作アクションゲーム、『閃乱カグラ -少女達の真影-』が6位で52,206本。このタイトルは、5人の忍者の中からキャラクターを選んで操作可能だが、キャラクターがダメージを受けると服が破れるという描写で有名だ。
ゲーム自体は2Dアクションだが、ダッシュや空中コンボで敵を倒せる。

閃乱カグラ -少女達の真影- 特典 少女達の秘密ファイル ~ビジュアルブック&サントラ・ドラマCDセット~ 付き

「閃乱カグラ 少女達の真影」 PV


ハードウェア売上チャートは、PS3のタイトルがソフトウェア・チャートで大きな存在感を示しているにもかかわらず、3DSがトップ。今週は70,159台の売上だった。PS3は39,452台。3位がPSPで28,533台。Wiiは14,034台で後塵を拝した。


9月19日〜25日の日本のゲーム売上チャート

・ソフトウェア


1. PS3 DARK SOULS (ダークソウル)/ フロム・ソフトウェア / 279,567本
2. PS3 ICO/ワンダと巨像 Limited Box / SCE / 91,902本
3. PSP 遊戯王ファイブディーズ タッグフォース6 / コナミ/ 64,350本
4. XB360 ギアーズ オブ ウォー3(限定版、同梱版含む)/ マイクロソフト / 56,113本
5. Wii ドラゴンクエスト25周年記念 ファミコン&スーパーファミコン ドラゴンクエストI・II・III / スクウェア・エニックス / 54,775本
6. 3DS 閃乱カグラ -少女達の真影- / マーベラスエンターテイメント / 52,206本
7. PSP 武装神姫BATTLE MASTERS Mk.2/コナミ/32,318本
8. PS3 ToHeart2 DX PLUS(限定版含む)/ アクアプラス / 24,429本
9. PS3 テイルズ オブ エクシリア(同梱版含む)/ バンダイナムコゲームス / 22,484本
10. PS3 ギャロップレーサー & ジーワンジョッキー / コーエーテクモゲームス / 18,281本

・ハードウェア・チャート
3DS - 70,159
PS3 - 39,452
PSP - 28,533
Wii - 14,034
Xbox 360 - 3,897
DSi XL - 2,991
DSi - 2,351
PS2 - 1,517
DS Lite - 86
PSP Go - 15●



この記事についたコメントです↓。


■日本人って、シューティングよりRPGとアニメ・ベースのゲームが本当に好きだよなあ。うん、なにも悪くない。

■いやあ、価値あるゲームがそれに見合うだけ売れるってのは、いつだって良いもんだ。

■『ゴッド・オブ・ウォー 落日の悲愴曲&降誕の刻印 HDコレクション』と『ICO/ワンダと巨像』のバンドル版、どっちを買うべきか。そりゃ、どっちも買えるならそうするけど、あんまり金を使えないんだ、『Rage』が今週火曜日に出るから。(訳注:前評判が非常に高い、idソフトウェアの完全新作FPS。10月6日、日本発売。世界観が、殺伐とした中にも色気と華があるといいますか、……ゲームがお好きなかたはご覧になってみてください↓。)

RAGE - ID SOFTWARE TEASER TRAILER HD


『ダークソウル』に関しては、ほしいけど、『デモンズ ソウル』ですらクリアしてないオレだから…。『ダークソウル』をクリアできるほどオレに技量があるか疑わしいんだよ。『デモンズ ソウル』でさえ超ムズかったってのに!!!

■『ダークソウル』がうまいことやってるみたいで、うれしいよ。ついに良作RPGってものを作ったやつがいるっていう事実がね。(+2)

■『遊戯王』が『ギアーズ オブ ウォー』より上なのか。なんつうか、昨今のゲーム・コミュニティってのは混沌としてるなあ。(-2)

■『ギアーズ オブ ウォー』のおかげで、Xbox360がようやくPS2の売上を超えられたってあたりがねえ。(-2)

■Xbox360の売上が上がったのって、『ギアーズ オブ ウォー』だろ、うん。(+3)

■『閃乱カグラ』、ローカライズしてほしいんだ。………

それと、3DS、悪くない売上じゃない?(+3)

■『ダークソウル』!!!!!!!(+6)

■今、『デモンズ ソウル』プレイ中。『ダークソウル』待ってるからね!(+6)

■オレ的には、『ダークソウル』と『テイルズ オブ エクシリア』だな。(+6)

■今、ここに宣言する。Xbox360が、日本の歴史上初めて、PS2の売上を2380台上回ったことを!(+6)

■どうして日本の人はXbox360を嫌うんだろう。…嫌いだって、一般には言われてるよね?(+2)

 ■↑Xbox360を嫌いなわけじゃないよ。あの国はプレイステーションが生まれた国だってこと。(-3)

  ■↑簡単な話。日本の人たちのほうがゲームの趣味がいい。Xbox360が一番多く出してくる『コールオブデューティ』だとか『Halo』だとか『ギアーズ オブ ウォー』みたいなシューティングばっかりじゃないんだよ、彼らは。だから、任天堂とソニーが日本じゃうまいことやってるのさ。(+3)

   ■↑そうか?彼らが本当に趣味が良いなら、Wiiがこんなに売れてるはずないと思うんだが。(-1)

   ■↑趣味なんて主観じゃん。正直言って、僕は、日本のゲームの90%はひどい出来だと思ってる。特に、紋切り型のJRPGね。でも、オレがそう言っても、否定する人のほうがぜんぜん多いんだよな。

  ■↑つうか、Xbox360は怠け者過ぎるんだよ。だいたい、日本で『ダークソウル』をXbox360にもってこれてないあたりがもうね(訳注:海外ではPS3とXbox360のマルチ)。

まあ、日本で『ギアーズ』と『halo』を売ろうとがんばりつづけるのは、大ヒット作なんだから(マイクロソフトとしては)王道なんだろう。けど、そんなもん、日本人はほしくないんだって。
真・三國無双6』だって同じこと。日本じゃ、Xbox360版は発売されないんだよ(訳注:日本はPS3独占、海外はマルチ)。だから、店だって、Xbox360のゲームを置きたがらない。

オレはXbox360はもってるし、大好きだけど、ファンボーイじゃない。ただ、事実を言ったまで。

まあ、話を戻そう。『ダークソウル』な。売れてよかったな。米国でも売れるといいなって思ってる。

   ■↑……これは知っておいてくれ。『ダークソウル』はもともとPS3独占だったはずのもの。『デモンズ ソウル』と同じようにね。つまり、開発側のフロムは、そもそも『デモンズ ソウル』を日本国内でのみ、PS3独占で出したんだってこと。

で、今回はそこへ、バンナムだよ。彼らが、北米発売元として『ダークソウル』をXbox360とPS3のマルチにした。北米以外の国でXbox360版が出るかどうかは知らんけど。

マイクロソフトはちゃんとやってるんだって。まあ、もちろん、すごいゲームだから、「北米で出すならXbox360版も」ってこともあるんだろうけどさ。

    ■↑いや、問題は、マイクロソフト側が買い取るなり、日本市場に投資するなりしろってことなんだよ。スポーツとかFPS以外にも、もっとゲームをXbox360にもってくる努力をしなきゃ。(+2)

     ■↑そんな努力いらん。実際、オレは『ダークソウル』がマルチになったことがちょっと嫌なんだ。独占タイトルは独占タイトルとして出すべき。手っ取り早く稼ごうってんで、複数のコンソールでゲームを出すとかいうんじゃなく。

(訳注:無理にマルチで出すなんて)十分に良作なのに、売れる自信がないってことじゃないか。
だいたい、ゲームがマルチになると、こんなはずじゃなかったって出来になることが多い。理由は、マルチにすれば、特定の人たちだけじゃなく、より広いゲーマー層に売れるから、必死になって作らないせいなんだよ。

『ダークソウル』は本来、一握りのグループのゲーマーを対象にして制作されたもの。それがどんどん人気が出た。素晴らしいゲームなのは疑わないが、もし最初からマルチを指向して制作されていたら、『FF XIII』みたいなことになっちゃうって。

『Halo』や『ギアーズ3』を見ろ。マルチになったら、たいして力を注いで作ってないじゃん。

そいや、『メタルギアソリッド』の新作はマルチだってね。オレが正しいか間違ってるかは、これで決まると思うよ。(−1)

      ■↑PS3もXbox360も両方もっててよかったよ。ちまたの人たちは両方買う余裕がないんだね。だから、選択肢が1つに限られちゃう。すごいゲームが出たってなったら、大事なのは金じゃなくて、この喜びを体験するってことだろ。

       ■↑独占タイトルの価値が下がってきてるんだよな。独占タイトルとして全うするゲームはいまどきはほとんどない。

でも、オレたちは、発売されてるゲームをすべてプレイするわけじゃないだろ。だから、一番やりたいと思ったゲームを買う。ただ、その一番やりたいゲームはちゃんと作られてないと嫌だよな?

そういう意味じゃ、オレは、PCゲームがコンソールへの移植を嫌がるのが心の底から納得がいく。だって、PC独占タイトルがマルチになると、もうすべてが本当に粉々になってしまうから。適当に作るせいだろうな。

一番いい例が、『クライシス1』(訳注:EAのFPS。PC版のみだったのが、のちにPS3、Xbox360のマルチに)だ。『クライシス2』(訳注:最初からマルチ)と比べてみろよ。

『ダークソウル』の続編が『クライシス』シリーズみたいなことになるのが、オレは怖い。

■イエー!3DS!カナダにもっと3DSユーザーが増えるべき!(+1)

■>4. XB360 ギアーズ オブ ウォー3(限定版、同梱版含む)/ マイクロソフト / 56,113本

日本でXbox360をもってるやつが全員、『ギアーズ オブ ウォー3』を買ったみたいだな……。日本じゃ、56000人がXbox360をもってる、と。(+5)

■『ギャロップレーサー & ジーワンジョッキー』かあ……。なんか違和感あるけど、日本の人たちって競馬もマジで好きなんだな、こりゃきっと。

■『ダークソウル』がイギリスでも売れますように。(+3)

■PS2がまだ売れてるってのが本当に喜ばしい。PS2、大好きなんだ。(+16)

■『ギアーズ オブ ウォー3』みたいな偉大なゲームが出て、日本人がXbox360を買ってくれたってのはすごいことだよね。(+2)

■PSP go、売上15台って、お前……(爆笑。(-4)

■おおお、3DS、気合入ってきたな。
『ダークソウル』、ダントツじゃねーか。来週も1位だろうな。こりゃもう、今年のGOTY、少なくともGOTY候補作だろ。ベイビー!(訳注:『デモンズ ソウル』は2009年のGAMESPOTのGOTY。記事はこちら)。

オレとしては、『L.A.ノワール』なんかがGOTYを獲った日にゃ、もうぐったりするからさ。あれって、何年も何度も使いふるされてるゲームプレイなんだもんなあ。

■『ダークソウル』、このまま行ってくれ!(+6)

■ワオ。3DSがかなり成功してるね。ま、オレ的にはとにかく、予約してある『ダークソウル』が待ち遠しい。んがぁぁぁぁ。(+2)

■マイクロソフトが独占タイトルを出すたびに、初週でトップ10に入るんだけど、他のXbox360のタイトルは何も売れないんだよな、そのへんがちょっと面白いよね。

3DSが売れたのは、『モンハン』が独占で出るって発表があったからじゃない?たぶん。

で、『ダークソウル』ね、オレはやるぜ!まかせろ!(+16)●



1UPで、『ダークソウル』デス日記の連載が始まりました。第1回は、ゲーム開始から2時間で10回ほど死んだ内容を記したものですが、おそらく死んだ回数を数えつつ、レポートしていくものと思われます。楽しそうに死んでるなあ…と、ちょっと面白かったです。


米国amazonのゲーム・ベストセラー・ランキングでは今現在、『ICO/ワンダと巨像 』が1位。2位が『ギアーズ オブ ウォー 3』。5位に『RAGE』。10位に『ダークソウル』(PS3)が入っています。



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posted by gyanko at 00:42 | Comment(107) | ゲーム | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2011年09月27日

英語版Wikipediaはそれをどう説明してるのか - アニメ -

久しぶりの英語版Wikipediaのご紹介でございます。
本日は、Anime


以前は、米国Wikipedia特集としてタグもつけていたのですが、どっちかと言えば「英語版Wikipedia」といったほうが適切ではないかとコメントでご指摘いただきまして、その通りだなあというわけでタグを付け替えております。

記事のタイトルのほうはまだ修正しておりませんが、そのあたりはいずれ…ということでご容赦ください。


では、早速。



アニメ


アニメは、アニメーションの日本語省略形。定義は、文脈によって変わる。英語圏の国々では通常、日本のアニメ形式のカートゥーンのことをいう。

日本のアニメとして知られている最も初期のものは、1917年にさかのぼる。ここから数十年にわたって、多くの日本オリジナルのカートゥーンが制作されていった。
1960年代には、手塚治虫の作品に代表されるような、特徴的なアニメ・スタイルへと発展し、1980年代には日本国外でも知られるようになった。

マンガ同様、アニメは、日本で多数の視聴者を獲得し、世界での認知度も高い。配給側は、テレビ放映、OVA、オンライン、また劇場公開などの形でアニメを配信している。

アニメには、手描きとコンピュータ・グラフィックの双方が存在する。アニメは、テレビ・シリーズ、映画、OVA、ゲーム、コマーシャル、インターネット配信などで使われ、すべてではないが、最も多いジャンルはフィクションである。

日本でアニメ市場が拡大するにつれ、東アジアや東南アジアでも人気が出た。アニメは現在、世界中のさまざまな地域で人気を博している。


歴史

アニメの登場は20世紀初頭だった。日本の映画会社が、フランスやドイツ、米国、ロシアで開発されたアニメーション技術を実験的に試みたのが始まりである。最も古いアニメとして最初に映像化されたのは、1917年に制作された2分間のクリップで、侍が新しい刀の試し斬りをしようとして、逆に敗北を喫するという内容だった。

初期アニメのパイオニアには、下川 凹天幸内純一、北山清太郎がいる。

1917年の、最も初期の日本のアニメーション・ショートフィルムのセル↓。

1917anime.jpg

1930年代までには、日本の実写映画産業において、アニメーションは、物語を語るためのもう1つの形式となった。だが、これが、海外の制作者や多くのアニメーターたちの間で競合を引き起こし、大藤信郎村田安司といった人々が、熟練した作品を出しながら、セル・アニメーションではなく、カットアウト・アニメーション(訳注:切り紙アニメーション)を安い料金で制作することになってしまう。

が、それでもなお、政岡憲三瀬尾光世といったクリエイターたちによって、アニメーション技術は大きく進歩した。これは特に、教育やプロパガンダにアニメーションを使うという政府側の後押しが強まったことによる。

初の音声入りアニメは、1933年、政岡が制作した『力と女の世の中』だった。初の長編アニメ映画は、1945年に瀬尾が監督した『桃太郎 海の神兵』で、旧日本海軍がスポンサーだった。(訳注:日本語Wikipediaによると、初の長編アニメ映画は『桃太郎の海鷲』(1943年))

↓『桃太郎 海の神兵』

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1937年のウォルト・ディズニー・カンパニー制作、長編映画『白雪姫と七人のこびと』の成功は、日本のアニメーターたちに影響を与えた。1960年代には、マンガ家であり、アニメーターの手塚治虫が、簡略化された多くのディズニー・アニメーション技術を導入、これによって経費を削減し、制作するフレーム数を抑えた。
手塚はこれを、経験不足のスタッフと厳しいスケジュールの中でアニメを制作することを可能にする一時的な手段にするつもりだった。

1970年代になると、マンガの人気が急激に高まる。マンガはのちに多くがアニメーション化された。特に、手塚治虫の作品は人々の注目を浴び、手塚は今にいたるまで「伝説」、「マンガの神様」と呼ばれている。
手塚の作品、そしてその他のパイオニアたちの作品は、アニメの特性やジャンルに刺激を与え、これは現在でも、アニメの基本要素でありづつけている。

たとえば、巨大ロボットのジャンル(日本国外では「メカ」として知られている)は、手塚のもとで形作られた。その後、永井豪らがスーパー・ロボットというジャンルへ成長させ、70年代終わりに富野由悠季によって革命が起こされて、リアル・ロボットというジャンルに発展していった。

『ガンダム』や『超時空要塞マクロス』シリーズのようなアニメは、またたく間に1980年代の古典になり、ロボット・アニメは今もなお、日本や世界で最も普及しているアニメ・ジャンルである。

1980年代には、アニメは日本の主流としてさらに浸透し(マンガほどではなかったが)、アニメ制作ブームが起こった。
こうした中、海外市場で改作アニメが数本、成功すると、これに続く1990年代になってアニメは海外市場へ受け入れられていき、21世紀の変わり目に状況はさらに進むことになる。

用語

「animation」という英語の用語は、日本語ではカタカナで「アニメーション」と表記する。「アニメ」という用語は、1970年代に「アニメーション」の省略語として使われはじめたが、フランス語の「dessin animé」から派生した言葉だとする説もある。
日本語では、アニメーション、アニメ双方が使われているが、アニメという省略形のほうが使用頻度は高い。

日本語でのアニメの発音は、[anime]。通常のスタンダードな英語の発音、[ænɪmeɪ]とはかなりちがう。母音も、アクセントの位置も異なる。(日本語では、すべての音節を平坦に発音する)。
これは、酒、ポケモン、阿部公房といった言葉も同様で、このため英語で書く場合は、フランス語のように最後の[e]に正確なアクセントがあることを示すために「animé」と書く場合もある。
これは、読み手側に、「e」が無音ではなく、きちんと発音するものであることを示すもので、英語の正書法的とも言えるかもしれない。

用法

日本では、アニメという用語は、アニメーションの生産国や特有のスタイルを意味するものではない。世界中のあらゆる形式のアニメを漠然と呼ぶ用語である。が、英語辞書は、「アニメ」を「動画アニメーションの日本式」、あるいは「日本で発展したアニメーションの形式」と定義している。

日本語以外の言語では、アニメから様式を借りたものを一般に「アニメに影響されたアニメーション」と言ったりするが、単純に「アニメ」と呼ぶことも、そうした作品の生産国を知らない人々にとっては珍しいことではない。

例を挙げるなら、日本以外の制作会社との共同制作で生まれている「アニメ」もある。ランキン・バス・プロダクションの伝統的アニメーション作品のほとんど、カートゥーン・ネットワークとプロダクションI.Gの『IGPX インモータル・グランプリ』や『オーバン・スターレーサーズ』などがそれにあたり、これを「アニメ」と呼ぶかどうかは見る人によって変わる。

英語で「アニメ」を普通名詞として使う場合、通常は集合名詞として使う。が、普段使いで、可算名詞として使うときもある。また、補助形容詞、あるいは名詞分類辞としても使うことができる("The anime Guyver is different from the movie Guyver"(アニメの『ガイバー』は映画『ガイバー』とは別物)といった使い方)。

類義語

使われなくなってきている言葉ではあるが、英語圏ではアニメを「ジャパニメーション」と言うことがときどきある。「ジャパニメーション」が最も使われていた時代は、1970〜80年代にかけてであり、1990年代中ごろに、アニメが英語圏の国々でより広く知られるようになると、「アニメ」という用語がこれに取って代わった。

一般に今は、「ジャパニメーション」という言葉は、回顧的な文脈の中でしか使われなくなっている。ただ、「アニメ」は日本語の用法では日本産であることを示す言葉ではないので、「ジャパニメーション」は日本の作品とその他の国の作品を区別するために使われたりする。

日本では、「マンガ」という言葉に、アニメーションとコミック双方の意味が含まれるときがある。一方で英語圏では、日本国外での「アニメ」の用法と同様に、「マンガ」はもっと厳密に「日本のコミック」という意味である。
「ani-manga(アニマンガ)」という用語は、アニメーション・セルから制作したコミックを指す。

視覚的特徴

アニメを1つの芸術形式と呼ぶ評論家は多い。視覚媒体としてのアニメは、そのビジュアル・スタイルに力点を置くことができる。

スタイルはアーティストやスタジオによって変わる。ワイルドで誇張された定型の1つとして評価が高い『フリクリ』のように、よくある定型をフルに利用している作品もあれば、『おもひでぽろぽろ』や『人狼』のように、よりリアルなアプローチを採ったり、『ポケモン』のように、様式を誇張してキャラクターの国籍がはっきりと見分けられないような描き方をするものもある。

作品やアーティストが違えばアート・スタイルも異なるとはいえ、アニメ様式の要素は多くが非常に共通するもので、こうした要素が一般に「アニメであること」を決定づけるものとされる。
しかし、だからといって、すべての現代アニメが、一つの厳密に共通するアート・スタイルをもっているということではない。

「アニメ・スタイル」と呼ばれているものとはかなり異なるアート・スタイルをもっているアニメは多いのだが、ファンはこうした作品にもやはり「アニメ」という言葉を使う。

一般的に、アニメの描法で最も共通しているのは、「身体的特徴を誇張すること」だ。つまり、大きな目、豊かな髪、長い手足……そして、ドラマティックに表現された吹き出し、スピードを表す線、擬音、デザイン化された感嘆表現といったものだ。

アニメ・スタイルの「線」のクオリティを特徴づけているものとしては、日本画や書道からの影響もある。漢字や画を描くのに伝統的に使われてきた毛筆は、さまざまな種類の厚みの線を生み出せる。

また、背景や枠の中に文字を入れるなど、マンガから多くの要素を拝借する傾向もある。たとえば、オープニングで、ストーリーを語ったり、ユーモラスな効果をドラマティックに表現するためにマンガ式の枠を使ったりする。これは、『彼氏彼女の事情』が例として挙げられる。


キャラクター・デザイン

・プロポーション
アニメで描かれる「体のプロポーション」は、人間の体のプロポーションを元にしている。アーティスト側は、頭の長さをプロポーションの基本単位と考える。
ほとんどのアニメ・キャラクターは7〜8頭身で、極端な場合は9頭身に設定される。

プロポーションのバリエーションは、アーティストによってさまざまだ。
SDキャラクターになると、頭に比べて体が不釣合いに小さい。足などの特定の体の部位が、短くされたり長くされたりして、強調される場合もある。ほとんどのSDキャラクターは2〜4頭身。

『クレヨンしんちゃん』のようなアニメ作品では、プロポーションは完全に無視されていて、このあたりは西欧のカートゥーンに似ている。強調するために、特定の体の部位のプロポーションが大きくされている。

・目のスタイル

アニメやマンガのキャラクターの多くが、大きな目をもっている。この技術を最初に使ったとされているのが手塚治虫で、『ベティ・ブープ』や『ミッキー・マウス』、ディズニーの『バンビ』といったアメリカのカートゥーンのキャラクターの誇張された特徴からインスピレーションを得ている。

手塚の発見は、大きな目にするとキャラクターの感情がはっきりとわかるということだった。『リボンの騎士』を書き始めた頃、当初のターゲットは明確に若い女の子たちだったため、手塚は目のサイズをさらに誇張した。
『リボンの騎士』で手塚が様式的なテンプレートを設定しているのは確かなことで、のちに少女マンガ家たちがこれをまねる流れとなった。

目に色を塗る場合は、特に角膜に多少の深みが与えられる。この深みは、色の濃淡を加えることで出す。一般には、明るめの影、暗めの影、カラートーンを混ぜて使う。

文化人類学者のマット・ソーンは、日本のアニメーターや視聴者たちは本質的に、こうした様式の目を多かれ少なかれ外国風なものだとは感じていないと論じている。

もっとも、すべてのアニメが大きな目ばかりだというわけではない。たとえば、宮崎駿や川元利浩の作品には、リアルな髪の色、リアルなポロポーションの目をもつキャラクターが出てくることが知られている。

・顔の表情

アニメのキャラクターには、「お決まりの表情」がさまざまあり、これでそのときの気分や考えていることを表現する場合がある。感情や気分を手短に伝えるために、ある一定の描き方をされることがあるのだ。
この技術は、西欧のアニメーションの顔の表情表現とは、形式がしばしば異なる。

伝統的なアニメに共通する様式要素は他にも数多くあるが、「お決まりの表情」は特にコメディで頻度が高まる。
ショックを受けたり、驚いたりした場合、キャラクターはフェイス・フォルト(face fault=直訳:顔面不良)(訳注:顔に影線、汗、青筋など)で表現される。フェイス・フォルトは、極端に大げさな感情を表すものだ。

キャラクターが怒っているときは、血管やストレスを表すマークで表現されることもある。つまり、額に血管が浮き出ていることを示す線のことだ。
女性キャラクターが怒っている場合だと、どこからともなく金槌が現れ、相手キャラクターを殴ることもある。これは、主にドタバタ喜劇で使用される。

男性キャラクターが、恋する相手を前に鼻血を出したりもする(性的興奮を示す典型だが、これは迷信だ)。戸惑ったり、緊張したりしているキャラクターは、巨大な汗の粒が描かれたり(これは伝統的アニメのモチーフとしては、最も広く知られているものの一つ)、あからさまに顔が真っ赤になったり、目の下に2本ずつの線が描かれることもある(波線の場合もある)。
こうした表現は、特に、恋心を抑えている状態の現われとして描かれる。

相手を子どもっぽくからかうときは、「アカンベー」で顔を引きつらせる(指で目の下を引き下げ、下側の赤い部分をさらす)。また、目が大きな「X」の形になる場合もあり、これはノックアウトされたことを示したり、体調が悪いことの現われである。これも、コミカルに見せることが目的で使用される。
また、なにも映っていない、空白の目で、なかば自失している状態を示すこともできる。


アニメーション技術

どんなアニメーションであっても、絵コンテ作り、声の演技、キャラクター・デザイン、セル制作といった制作プロセスは変わらないが、コンピュータ・テクノロジーの発達にともない、コンピュータ・アニメーションが制作プロセス全体の効率を上げている。

アニメは、リミテッド・アニメーションの1形態として考えられることが多く、大掛かりな制作の場合でも、リミテッド・アニメーションの常套手段が使われる。これは、視聴者の目をあざむいて、実際(訳注:に使われているフレーム数)より動きが多いように見る側に思わせる手法だ。
こうした技術の多くは、限られた予算で動く場合に経費を削減する手段である。

アニメの場面は、3D視点を作り出すことに重点を置いている。背景は、その場面の雰囲気を描く。
例をあげると、アニメではしばしば季節の移り変わりを重視する。これは、『天地無用!』など、多くのアニメに見ることができる。
実際の舞台がアニメにそのまま書き写される場合もある。『涼宮ハルヒの憂鬱』の背景は、日本の兵庫、西宮の郊外のさまざまな場所がモデルになっている。

カメラ・アングル、カメラの動き、光の当たり方も、アニメの場面では重要な役割を演じている。特に背景に関しては、監督がおうおうにして、場面の視角の決定権をもつ。加えて、カメラ・アングルで遠近を表現する。
パン、ズーム、顔のクローズアップ、パノラマといった映画撮影術のカメラ効果を監督が採用するときもある。

アニメの大多数は伝統的なアニメーションであり、このおかげで、分業、ポーズ・トゥ・ポーズ式アプローチ(訳注:キーとなるフレームをまず描き、あとでその間を埋める手法)、撮影前の作画チェックといった、アニメ産業で人気が高い制作方式が可能になっている。

これ以外の媒体となると、ほとんどが、大藤信郎の影絵やカットアウト・アニメーション、持永只仁、川本喜八郎、村田朋泰らの静止画人形アニメ、富岡聡のコンピュータ・アニメーション(『ウサビッチ』が最も有名)のような、独立系が制作するショート・フィルムに限られる。

配給

アニメは1960年代に日本以外の市場へと参入した後、1980〜1990年代に市場を拡大し、主要な文化的輸出品として成長した。日本貿易振興機構によると、米国のアニメ市場だけでも「約43億5000万ドルの価値がある」という。

アニメは、アジア、ヨーロッパ、ラテン・アメリカでも商業的成功を収めていて、こうした地域では米国以上のメインストリームになっている。
たとえば、『聖闘士星矢』のヨーロッパでの人気は、シリーズの放映が終わって数年経っても衰えず、ゲームが発売されたほどだった。

アニメ配給会社は、日本国外でのアニメのライセンス取得や配給を扱っている。ライセンスされたアニメは、その国の言語に吹き替えられたり、日本語音声に字幕を載せる過程で、修正がほどこされる。
アニメの配給は、ハリウッドと似たような全世界配給形式になっており、5つの地域に分けられている。

日本文化に関連した部分は、その地の文化にならって編集したほうがいい場合も起こる。その国の法律に準拠するため、好ましくないコンテンツを削除する配給会社もある。

こうした編集プロセスは、かつては非常に広く普及していた(例:『ボルトロン』)(訳注:米国で、『機甲艦隊 ダイラガーXV』と『百獣王ゴライオン』という、全く関連性のない2つのアニメを統合して作られた)。しかし、こうした手法は、オリジナルのアニメへの需要が高まるにつれて、使われなくなってきている。
以前はアニメに馴染みがなかった視聴者たちも、今はローカライズを軽めにした作品を好むようになったのである。

『ロボテック』(訳注:米国で『超時空要塞マクロス』、『超時空騎団サザンクロス』、『機甲創世記モスピーダ』の3作品を連続する一つの大河シリーズとして翻案、再編集した作品)や『スターブレイザー』(訳注:『宇宙戦艦ヤマト』)などは、暴力部分や成人向けテーマを厳しく検閲することなく、北米の視聴者にアニメ(改変はされていたが)を提供しようという最も初期の試みだった。

また、DVDの出現によって、複数の言語トラックを1つの製品にまとめることが可能になった。これはVHSビデオテープではできなかったことで、VHSの場合、言語ごとに別々のテープに入れ、それが1枚のDVDと同じ価格設定だった。

検閲を軽めにするアプローチは、DVDのリリースの際にも適用された。DVDには、吹き替え音声とオリジナルの日本語音声に字幕が付いたものが入り、大概は編集されていない。テレビ放映のために編集された部分も、DVDでは普通、編集なしの「アンカット」版として、すべての場面がオリジナルそのままでリリースされる。

ファンの中には、自分たちで字幕をつけ、毎放送分を配信するものたちもいる。これはファンサブとして知られているが、こうしたファンサブを集め、ウェブにアップロードしたあげく、広告を入れて金を稼ぐものも多い。これは、多くの国々で著作権法に違反する行為である。

こうしたファンサブの配信や視聴の倫理的影響については、たとえファンサブ・グループが利益を得ていない場合でも、多くの物議をかもしている。日本国外でシリーズがライセンスされれば、ファンサブ・グループは大概、配信をやめる。

株式会社メディア・ファクトリーが、彼らの作品のファンサブをやめるように要請し、ファンサブ・コミュニティ側がこれに従ったという一例もあったが、一方ではバンダイが、英語圏で『涼宮ハルヒの憂鬱』をヒットさせる一助を担ってくれたということで、ファンサブ側にはっきりと感謝の意を示したということもあった。

日本国外でのアニメの認知度には、インターネットが著しく大きな役割を果たしている。1990年代以前は、アニメが日本の国境を越えて公開されることには限界があった。
インターネットの普及と同時に、アニメへの関心も高まり、アニメ・ファンダムの多くがインターネットを通じて成長した。インターネット・コミュニティと、アニメ関連物の量の増加があいまって、ファンダムの成長に拍車をかけたのだ。

インターネットはますます利用の幅を広げ、ネット広告による収益も1995と2005年では、16億ドルから1800億ドルへという成長を見せている。


放映

日本では、テレビ局が定期的にアニメ番組を放映している。テレビ東京のようなメジャーな国民的テレビ局がアニメを放映するのだ。地方の小さなテレビ局も、UHFでアニメを放送している。

米国では、カートゥーン・ネットワーク、ディズニーSyfyなどのケーブル・テレビのチャンネルがアニメの時間を設けている。特にアニメ番組を放送しているのは、アニメ・ネットワークやファニメーション・チャンネルといったチャンネルである。
ソニー傘下のアニマックス、ディズニーのジェティックスは、世界の多くの国々でアニメ放映を行っている。

イギリスとなると、アニメを放送しているのはアニメ・セントラルのみだ。


世界の文化への影響

初期、『鉄腕アトム』のようなアニメの西欧改変版が商業的に成功することがわかり、アニメは西欧諸国で利益が上がる商品になった。
90年代後期になると、現在でも世界中で放映されている任天堂の『ポケモン』のスピンオフ・アニメ・シリーズが開始され、これが『ポケモン』の数十億ドルにものぼる社会現象的成功に大きく寄与した。

こうした流れの中で、アニメは西欧文化に大きな影響を与えている。19世紀以来、日本に特別な関心を示してきた西欧人は多いが、アニメによって、西欧人の日本文化体験は飛躍的に増えた。

日本文化は、アニメ以外の他方面でも人気が高まってきている。世界規模で見ても、日本語を学習する人々の数は増え、この大きくなりつづける需要に応えて、1984年に日本語能力検定試験が創設された。

各国の国内アニメーション産業ですら、日本アニメをまねようという試みがあった。「アニメに影響を受けたアニメーション」とは、アニメのビジュアル・スタイルをまねた、日本以外の国の作品を言う言葉だ。

こうした作品のほとんどは米国、ヨーロッパ、日本以外のアジアのスタジオで制作され、一般に言って、『アバター 伝説の少年アン』のように、アニメの法則に則った定型化や手法、ギャグを組み込んでいる。

この場合、制作スタッフはアニメのファンであったり、アニメを見ねばならない立場であったり(訳注:レビュワーなど)することが多かった。アニメは自分たちが制作するシリーズのインスピレーションの源であると言うクリエイターたちもいる。

さらに、フランスの『オーバン・スターレーサーズ』制作チームにいたっては、日本の制作チーム、ハル・フィルムメーカーとコラボするために東京に引っ越してしまった。だが、批評家や一般的なアニメのファンたちは、彼らの作品をアニメとは考えていない。

アニメを風刺の対象にしているアメリカのTVアニメーション・シリーズもある。たとえば、『サウスパーク』だ(『Chinpokomon』(訳注:日本未公開。『ポケモン』の任天堂からの抗議や、昭和天皇と同名のキャラクターが出てくるため右翼団体からの抗議を危惧したと憶測されている)や『Good Times with Weapons』の回(訳注:ABC振興会さんで詳細がわかります))。

『サウスパーク』は作画スタイルが際立っているが、これ自体も『FLCL』の第5回『ブラブレ』でパロディになり、『Chinpokomon』の放映数ヶ月後にリリースされた。

FLCL Episode 5 Part 1 English


(訳注:↑動画の「評価の高いコメント」に「サウスパーク?うわー!」というコメントがございました。)

ニックトゥーン・ネットワーク制作のカートゥーン、『Kappa Mikey』(訳注:米国のアニメーション)になると、アニメを風刺しようという意図が基本設定を作るきっかけにすらなっている(訳注:日本のアニメ全般をパロディ化。アメリカ人の主人公が、人気アニメの主演に抜擢され、日本へやってくる…というのが基本設定。詳しくはアメリカTV/映画ノーツさんで)。

『Perfect Hair Forever』のように、アニメのお決まりをパロディにしているものも見受けられる(訳注:詳しくは英語で!アニメ・マンガさんで)。

アニメ・ブームのさなかの1990年代初めには、アニメ・コンベンションが登場しはじめていた。Anime Expo、Animethon、Otakon、JACONなどだ。現在、アニメ・コンベンションは、米国、アジア、ヨーロッパのいたるところ、さまざまな都市で年一度の割合で開催されている。

コンベンションでは、参加者の多くがアニメ・キャラクターのコスプレをする。また、日本から、アーティスト、監督、音楽グループといったゲストが招聘される。

コンベンションの他、アニメ・クラブも、日本文化の理解を広めつつアニメを公開する1方法として、大学、高校、コミュニティ・センターなどに広く普及している。

視聴者たちは、アニメに関連したもの、アニメ用語であれば、日本の言葉も理解できる場合がある。ときとして、こうした言葉は(本来の日本語の意味とは)異なる含意をもつときもあるが。
たとえば、オタクという日本語の言葉は日本国外では、アニメ・ファン、特に過剰なほどの関心をアニメに抱くファンという意味で使われるが、日本語では否定的な含みがある。この否定的含みが海外では薄まっていて、その代わりにアニメ・ファンたちのプライドが暗に込められた言葉となっている。●



『サウスパーク』の作者、トレイ・パーカーは日本通として知られたかたのようです。大学で日本語を学び、日本在住経験もおありだとか。『Chinpokomon』は2000年度のエミー賞にノミネートされています。



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posted by gyanko at 18:54 | Comment(56) | マンガ・アニメ | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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